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異世界の国々が驚いた異界国家日本は本当にすごーいデス~ネ。  作者: 伊達教宗
第3章 動くシベリナ連合諸国と雷帝魔導師の過去
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25話 とある魔導師の雷撃魔法 1

これは紅葉の初めての親友と成ろう者の苦難と成長を描いた回顧録である。


ユーラシナ大陸の北部、東の海岸国ラクロアナ王国が在り、パイプ・ライン大河と言う大河が、この世界の太平洋へと注いで居る。


 其処から西へとパイプ・ライン大河沿いに進んで行くとアルガス公国、アセリナ王国と続いて行く。


 その北側には、険しい山脈であるドラグリア山脈が在り、多くの野生の竜種が生息して居る。



 それらの中で最も進化した種族を龍人族と言い。龍人は幾つかの色別の部族に分かれている。


 その中の白龍人部族が起した国をドラグリア白龍大帝国と言う亜人族の大国が在る。


 代々大帝と言う地位をこの地方の部族たる白龍人族の長が、皇帝の地位に就いている国である。


 冬は極寒地であり、人間とそれに近い亜人種達が暮らす土地としては適さないと言われて居る。


 越冬の時期に成ると、海と山から一斉に龍人族以外の種族が、退去する姿が見られるのだ。


 アセリナ王国から更に西へと行くとダバード・ロード王国が在る。


 ダバード・ロード王国は、この世界でも屈指の魔導技術を持った大国の王国であり、魔法と魔動力の研究機関が多数存在する。


 この国では初等科の学校から簡単な魔法を学べるこの世界でも数少ない国家だった。




 今回語るのは、ダバード・ロード王国の出身で、紅葉と深い関係を持って居るとある魔導師の幼少期と、少し前の出来事の話である。



ダバード・ロード王国は、魔法関連に関わらずとも、学問を盛んに推奨し、周辺国よりも発達した技術と国力を有していた。


 首都はインディクス、現国王はアーヤ・シュチュード女王、26歳。一つ下に弟ユウミール・シュチュードが居る。


 その他複数の王族が居るが、長い戦争のせいも有って、その多くが女性で占められて居た。



 そして、王都から南東に100kmの場所に、この国の二番目に大きい都市、トキアード市が在る。


 ダバード・ロード王国から総合学園研究都市に指定され、魔法と原理の研究と人材の育成が行われている学園研究都市だった。



この世界には科学という学問概念は、600年前以来、徐々に失われつつある為、科学と言う言葉の代わりに原理と呼んでいた。



後に日本の原理探求の概念の言語である科学と言う言葉が、再びこの世界の原理の言葉の成り代わる事と成るのは、もう少し先の話。



・・・・・・と言っても現時点でのこの世界の科学技術は、簡単な物でしかない。



 例えば投石器で、物を遠くに飛ばす。


 風を使って帆を受けて船を動かす。


 火薬で爆発し物を破壊する。


 歯車を組み合わせて、物を動かす等の基本概念は有るが、機械を動かす動力が魔力、荷車の動力として使われているのは家畜と言った物が主流を占めている状態なのでは、再び機械文明の発達はし辛い事だろう。



況してや、旧時代の如く、再び優れた技術文明立国の復刻を成し遂げ、日本の様に高度な機械化文明を持つに至る事も無かったのも、長い戦争のせいであり、その文明水準レベルが、地球で言う中世ヨーロッパ程度にまで後退して止まってしまって居る国家が大半を占めていたからだった。



 トキアード市立総合学園。この学園は中等部から大学まで試験さえ受かれば、誰でも通える国営の公立学校である。


 ちなみにダバード・ロード王国は、小学校のみが義務教育とされて居る。



 他の国では学校に通える事すら珍しいとされていて、学校と言う施設すら少ないからであった。


 かつてこの学校に通っていたリナ・ミーサガ・リンバースは、成績もそこそこも容姿もパッとしない平凡で、前髪を垂らしていた恥かしがりやの女の子だった。幼い頃からミドルネームが変だとからかわれていた。



彼女のミドルネームは、今ではどう言う読み方だったのかは分からないが、コヨミ皇国系の名前だったと言う話を聞くだけで、詳しくは分からない。



リンバースの家は中流貴族の家系であり、昔から一族は領地を持っておらず、発明や研究、技術官僚を職業として居た代々研究者の家系貴族である。


家はそこそこ裕福で、両親の他に姉1人と王都から勉学の為にやって来ていた従姉妹が二人いた。


 彼女の幼い頃は、両親と姉達と一緒にシベリナ地方の各国を歩いて回った思い出が有った。



 5歳の時に、リナとその両親は諸国会議の出席する為に、コヨミ皇国を訪れていたリナの両親は、魔法関連の技術者であり、同時に古代文明や転移文明の遺跡の研究者で、戦争に必要な技術関連の会議に出る為であった。


 その会議の合間は、貴族の子供等に取っては、とても退屈な時間だった。



 彼女に限らず会議に政府関係者の子供等が連れて来れるのは見合いか、知り合いを増やすのが目的だった。



幼い時から互いを見知って置けば、何かと便利と考えての事である。



 リナと紅葉の出会いは、リナの両親がコヨミ皇国での会議に、出席する為に訪れた時の事だった。



 リナは東洋の果てに在るコヨミ皇国のとても珍しい古い町並みに目を奪われ、大使館の近所を探検していた。



 リナの将来の姿は、抜群の容姿とスタイルに加え、天才的な魔導師と謳われている。


更には、敵対するものを全て滅すると言われた彼女も子供の頃は、もっと地味で恥かしがりやで、平凡な女の子だったが、時より見せる一面に、負けず嫌いな部分を持ち合わせた所があり、人一倍気の強い所が有った。


両親と供に連れられて来た姉、レナは別の所にいる親友達の所に遊びに行っていた。



 その親友らは、何時も彼女の事をシゴキまくって、いや、虐めて、でもないか。


 兎に角、出来の悪い親友の妹を実の妹同然に可愛がり、鍛えてくれて居た。


 リナは、小さな時から姉の事が憧れであり、恐怖の対象でもあった。無論、その親友達も・・・・・・・・・


そして、今はその姉達が居ない。



 モタモタしていると自由時間を姉達の暇つぶし、いや、強制特訓と証する姉達のお遊びが始まりかねないと大使館を抜け出していた。 


 そんな時だった。街中の広場で、町の子供達に混じって相撲を取っていた紅葉と出合ったのは。


少しだけ高いそうな着物を着て、20人ばかりの男の子と女の子の子供達の人だかりの中で、取っ組み合う姿があった。着物は既に薄汚れた状態で取っ組み合っていた。


 やや女子率が高い場では有ったが、彼女は楽しそうに暴れまわっていた。



 今の彼女の姿とこの場のやり取りの風景を竜史が見たらこう言うだろう。



 女版の織田信長だと・・・・・・・・・・・・・・・・


19歳の現在では、かなり落ち着いた雰囲気の女性と成っているが、幼少期はとんでもないお転婆でじゃじゃ馬な性格だった。


 彼女の一番の不満は、謙る貴族諸侯の子供らを紅葉の遊び相手に宛がわれて居る事である。



 その事に彼女は物凄く頭に来ていた。


 コヨミの皇家は、身分が煩い家ではないが、皇女と言う身分のせいでマトモな友達が居ないのが、周囲を困らせて遊ぶ原因だった。



 其処で大人達は、少しでも紅葉を落ち着かせ様と年の近い近衛隊の関係の子女を付けると、今度は皇城から町へと抜け出し、町人らの子供と遊び始めた。



その後どうなったかは想像できるだろう。


 彼の織田信長と同じ様に、皇都の市中であれこれと問題と騒動を起こし捲った。


 町の人々は、ある程度は見逃して居たが、ほんとに困る事をした時だけ容赦なく叱った。


 紅葉は身分の上下の関係の無く、損得の無い対等な付き合いが出きる友を欲していたのである。


 なまじ生まれながら持っている予知・読心能力のせいで、嫌なものを聞いたり見たりして来たのも原因でも有るのだが・・・・・・・・・・


これには流石の父の力仁も困り果てて居た。


 一方の母の葛葉は「放っておいても大丈夫。その内、心から気の許せる相手と出会いますから」と言い。


 気にも留めていなかったりするのだった。



リナは、金持ちな感じのする子が、こんな所で取っ組み合いしているのが珍しかった。



 紅葉が1人の女の子を投げ飛ばすと、何かを感じ採ったのか振り向いてリナの元へと駆け寄って来た。



「随分と大変な目に遭って居るのね。」



「えっ?!」



「貴女、西から来た子でしょ?」


「でも其処に何時までも立って居ると、怖ーい人達に掴まるわ。私と一緒に遊びましょう。」



 このコヨミ皇国で、西の子とは自国以外の西側全ての友好国の子供達の事を指して言っている。


 偶にやって来ては、見ず知らずの地元の子供と適当な付き合いをし、遊んで帰って行くからである。


 兎に角、これがリナと紅葉の最初の出会いである。



「ちちょ、ちょっとっ!!そんなに引っ張らないでよっ!!!」



「あそこで、皆に囲まれて居れば平気よ。」



 リナは訳が分からずに、強引に地元の子供らの居る輪の中に入れられた。



 そして、相撲とか言うコヨミ皇国の伝統的な格闘技をやらされていた。


 リナは相撲をやってみると何をやっても紅葉に先を読まれ手が出せずに居たのである。



(この子、どんな攻撃を仕掛けても、何をやっても通じない。)



 一方、相手の紅葉はと言うと。



(何よ、この子。本当に相撲が初めてなの?)



(それに何て持久力なのよ。こんなにも細身の身体の何所に、そんな力が有るの。)



 周りの子供らも二人の組み合いに目が離せずにいた。



 リナは姉達との特訓のせいで、有る程度の筋力と持久力が付けられて居た。


 細いヒョロヒョロな感じで、少々恥かしがりやな所が有るが、紅葉とガッチリと組み合って、一歩も退かなかった。



「お嬢さま、相撲が初めての子相手に、何やってるのよっ!」



「西の子も頑張れーっ!」



15分もの間、両者共に一歩も引かずに居たが、決着はあっさりな物だった。



(もう、何やっても無駄なら適当で良いや。)



 リナは何も考える事を止めて捨て身になった。



「へっ!?」



どうにも決着が付かないと踏んだリナは、心の中を無心と成って適当な戦いを始め様としていた。


 そして、リナが無心に成ってしまい、リナの心の内が読めなく成った紅葉。思わず紅葉口から間抜な声が出てしまう。


 リナは、紅葉と組み合った体勢を止めて、適当に突き放し、自らの感に従って彼女の後ろに素早く回って輪の外へと叩き出した。



「ふんぎゃっ!!」



 盛大に転びつつ、可愛くも間抜けな悲鳴を上げた紅葉。町の子らの目には、負け知らずだった彼女が、初めて負けたの瞬間である。


 それもチートな能力を使った勝負である。



 正にずる賢い方法で勝ち続けた事に武神から天罰が下った瞬間だったとも言えた。



 彼女は後に、こう語って居る。



 あれ程、間抜けな声で、突き飛ばされながら、転ばされたのは、あの時だけだったと言って居た。


 これまで卑怯な手口を散々に使って勝って来た紅葉に、天上に居わす、天の神々は、彼女に罰を与えた様な出来事だったとも言って居た。



「だ、大丈夫?」



 リナは涙目の紅葉に、手を貸しながら彼女を気に掛けた。



「くずっ、別に平気よ。痛くなんかないしっ!」



 (なっ、何か可愛い。)



 其処へ遠くから二人を呼ぶ声がした。



「ひ~め~さ~ま~っ」



「紅葉さまっ!何処ですかーーっ?」



 キョロキョロと辺りを見回して探す二人の従姉妹同士の従者達、身形はとても裕福そうである。



「リナ~何所にいるの~?」 




 今度はリナの姉であるレナ声だった



 二人は互いに何かを鋭く感じ取ったか、揃ってバッと、駆け出しその場を去った。



「お嬢、もう帰えるの?」



「ゴメン、また今度ねーーーっ!」



子供らは紅葉の突然の行動には、慣れている様子で、直に迎えの者が現れるのも知って居たのである。



「姫様は?」



「もう居ないみたい。絵美里お姉ちゃん、紅葉さまは、とても感がお宜しいから。」



 声の主は絵美里と香織であった。



「お嬢ならもう居ないよ。」



 一人の男の子が答える。



「そんな~っ!」



「はあ~・・・・・・」



子供らは皇女の事を告げ口をする事をしないのが暗黙の了解だった。



 へなへなと座り込み落胆する絵美里であった。




 遅れてリナの姉であるレナが、二人の友人と共にその場に現れた。



「可笑しいわね。この辺りをうろついて居ると思ったのだけれど、他を行ってみましょ。」



紅葉は自らの能力で、リナは日頃からの経験から来る感で、難を逃れたのである。二人は、とある甘味処に入る。



「雅美、居る?」



紅葉は人気の少ない店内で店の主の名前を呼んだ。



出て来たのは二十代半ばの女性だった。



「これは姫様、いっらっしゃい。また、城を抜け出して来たんですか?」



「うん、そんな所。それよりこれ。」



 紅葉が差し出したのは小銭だった。



「何時もので良いんですね。」



「構わない。そりよりも何時もの奥座敷を借りるわよ。」



「はいはい、どうぞ。そちらのお嬢さんも、一緒にお入りなさい。」



リナは訳が分からず、取り敢えず今思って居る疑問を雅美に聞いて見た。



「あの~先ほどから姫様って言いましたよね。ひょっとして、この子は、何処かの貴族の娘か何かですか?」



「ああ、貴女はコヨミ皇国に来たのは、初めてなのね?」



「あ、はい。」



「そう、皇都に良く来る異国の人や皇都の市民は、姫様のお転婆ぶりを良く見て、見慣れて居るから、不思議には思わないでしょうげど、初めての人が事情を良く知らないのも無理ないわね。」


「このお方はわね、コヨミ皇国・第一皇女、紅葉皇女殿下ですよ。」



「へっ、えっ、えっ、ええええぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーっ!!??」



 リナの驚き様は凄い物で、叫び声が店の前の通りに聞えるほどだったりする。



「私は先に行ってるわ。雅美、説明は手短にね。」



履いていた草履を手に取り、勝手知ったる場所である為、何の躊躇もせずに彼女は店の奥へと消えて行った。



「貴女、お名前は?」



「リナです。リナ・ミーサガ・リンバース。」



「変わった名前が入ってるわね。こっちの方の名前みたいだけど、発音が訛りのせいか、元が何なのか分からないわね。」



「良く言われます。それよりコヨミ皇国の皇女様が、何で市内の中を護衛も就けずに徘徊して良いんですか?」



「う~ん、それは姫様にしか分からない事だから、わたしが知っている事は、単に普通の遊び相手が欲しいだけなのかも知れないわね。」


「現に此処に連れて来られる子供達は今の所、御付きの絵美里お嬢様達ぐらいですもの。貴女は、余程姫様に気に入られたみたいね。」



「えっ、そうなんですか? 良く分からないのですけど。」



「姫様は滅多に、他人には、お心を開かないお方だから、かつてわたしは、お城で侍女をしていて、養育とお世話係をしていたわ。」


「今は結婚を切っ掛けに引退して、此処で甘味処しているの。良く姫様が隠れ家代わりにいらっしゃるけどね。さてと、そろそろ行かないよと姫様が待ちくたびれているわよ。」



リナは雅美に言われた部屋へと行くと放蕩姫様は、縁側で待っていた。二人は雅美が持ってきた白玉のぜんざいを黙って頬張っていた。



 ちなみにこの時代のコヨミ皇国には、甘味処の定番の餡蜜がまだ無い。



 砂糖やフルーツをふんだんに使用したお菓子が出回るのは、日本転移後の生産体制が整い材料の価格が下がってからである。


 コヨミでは砂糖の変わりに甘葛煎(あまづらせん)を使用している。



 甘葛(あまづら)とは、ツル状の植物の事である。


 この植物から蜜の様な液体を抽出させて御菓子の混ぜて食すのが、昔の人々の間では一般的だった。



 よく分からないと言う人は日本版のシロップだと思えば良い。


 今でも奈良県などの一部で個人の手で作られて居るらしいが、入手と生産量も少ない為に、今では殆んど知られていない。古くは縄文時代辺りから食べれていると言われている。


 安土桃山時代に砂糖が輸入され始めて、江戸時代には国内生産が始まるとイミテーション的な味の甘葛煎は、次第に全国から消え始めたのである。


 二人はこの日を境に友達となり、この数日の間に出会った者らと親友と成るのである。それは後に、鉄より固い絆と言われる事になる。




時代は変わってリナが15歳の時、トキアード市立総合学園の高等科への進学を控えた春の頃だった。



 中等科の学生寮から高等科の寮に移る間、市内の実家に一時帰省した日の事である。


 実家の屋敷が、何者かに襲撃されていたのだ。両親は怪我をしていたものの、命に関わるほど事は無かった。


 だが、南方のとある古代遺跡に出向いて調査研究に関わっていた姉が攫われてしまうと言う知らせをダバード・ロード王国政府と軍から受けたリンバース一家。


 その研究とは新型の魔導機兵である。魔導機兵とは、正式名はナイト・マギアと言い。




 魔動力炉で動くロボットの事であるが、一般的には魔導機兵また、機兵と略されて呼ばれている。


 元々機兵は古代遺跡で発見された機体の技術元に、コピーされた人型兵器である。



 ・・・・・と言っても劣化コピーであるが故に、元型とは随分とかけ離れた姿をしている機体であった。


 仮にロボットアニメオタクかロボットプラモマニアが、これ等を見たとしたら「ファンタジーロボットキターーーッ(゜∀゜)!!」と叫んで興奮するに違いない。


 その古代遺跡も異世界からの転移物だと言われていた。


 機兵は、この世界の学者や技術者には理解できない構造で作られていた。



 ここ数年で帝国も別の国と共同で魔導機兵を量産を始めて居ると言う。



 ここ最近では、ダバード・ロード王国との戦闘にも、投入され始めていた。その為、新型の開発が急がれていた。



 その開発とは魔鉱石と言う鉱石を利用した専用の魔導力銃の開発と機体の反応速度やオリハルコン製の巨大な剣の試作が進めらていた。



 リナの両親は、この計画に少しだけ関わりが有った。



 姉のレナは新たに南方で発見されたと言う遺跡の調査に関わって居たのである。



リナはダバード・ロード王政府、地元のトキアード市の警備隊や王国軍に噛み付くように姉の捜索を嘆願したが、その調査・追跡の結果は不明だった。



 政府や軍も殆んど手を尽くし探したが見つからなかったと言うのだった。



 だが、帝国は、この事件が起きるタイミングを合わせたかの様に、例の遺跡のある王国領を目指して帝国軍が攻め込んで来たのである。


 その事でダバード・ロード王政府は、リナを呼び出したのである。



 本来なら両親が行くのが筋だが、今現在は病院に入院している為に行けずに居た。



 そして、怪我をした両親に代わって訴えを起していたのは、リナだったからである。






ダバード・ロード王国 インディクス城にて・・・・・・・・





リナは旅装束のまま戴冠したばかりのアーヤ・シュチュ―ド女王に謁見を許された。



 桃色の装束を着た女王が、少ない軍関係者と近衛の護衛だけが居る変わった陣容でリナを出迎えていた。



「さて、妾が貴女を此処に呼び出したのは理由は言うまでもない。」



「其方の姉であり、我が国でも有数の魔導師にして、優秀な魔法学者でもあるレナ・ミーサガ・リンバースに付いてである。」


「結果を言えば残念では有るが、完全に我が国の国外へと連れ去れたと見るべきでしょうね。」



「そんなっ!!」



リナが大きな声で叫び声で女王に前に飛び出す勢いで何か言おうとすると、周りの者らがリナを取り押さえ様とするが、女王であるアーヤが周りを嗜める。



「良い、これは我が国に取っても危機的な事である。重要な人物と情報と戦略的な拠点、更に領土が奪われたのです。」



「これは・・・近い将来我が国は、帝国との決戦の時期が早まったと見るべきでしょうね。」



 周り者達は重苦しい顔していたがアーヤは構わず話を続けた。



「皆の気持ちも分かります。」



「ですが、我が王国と帝国との最後の戦は避けられません。」


「我が祖先はこの東の地に逃げ延びる事に拠って、彼の国との正面決戦を避けて先送りしたが、此度は逃げる事は叶わずだ。」


「隣国に逃げ込んだ所で数年を経たずにその国を追われるか共に滅ぶしかないのです。」


「話が逸れたがリナよ、此度は妾と政府や軍は、貴女の力に慣れそうにないわ。」


「妾は国を守るので精一杯なのです。本当にすまないと思って居ます。」



「陛下・・・・ですが・・・あたしは一体どうしたら・・・・・・・」



 アーヤは一つの提案を出した。



「リナ、貴女は暫くの間、ドラグリア白龍大帝国に行きなさい。」



「えっ、あの龍人族の国ですか? ですが、あそこは人が暮らすには決して良い場所では有りませんが・・・・・・」



「まあ、お聞きなさい。あなたのご両親は、妾と王政府が匿まいましょう。従姉妹や親族にも護衛を就けます。」


「他の親族らは狙われる心配は先ず無いと考えて良いでしょう。」



「それでも念の為ではありますが。狙われたのは政府のある計画メンバーだったと噂を流しておきます。」



「貴女は将来の目標は国家魔導技師と聞いて居ます。リナ、貴女は今回の一件で魔導技師への道へは進めなくなりました。」



リナはアーヤの話を黙って聞くだけであった。いま、彼女の将来の目標のであり、就職先のである国家採用試験を受けて入る国家魔導技師官僚と言う道が絶たれたのである。



「政府のと妾の都合で、貴女の将来を潰すのは酷だけど、代々の魔導技師と学者の家系のリンバース家の一族であるリナは、別の意味で狙われる可能性があるわ。」


「貴女がもし、最低の学力でも大学を受験し卒業したら、帝国から狙われる可能性があるわ。」


「帝国はリンバース家が持っているこれまでの研究成果を狙っている。今回は貴女のご両親はあまり政府の深い所には関係無く。」


「貴女の自宅からは、何も持ち去って居なかったので、難を逃れたと妾達は見ているの。」



「でもレナは違う。レナは遺跡の場所と軍の研究を一部を知って居たのよ。」


「殺されはしないでしょうけど重要な情報を持っていないと成ると、今度は魔導機兵に関する情報を欲しがるでしょう。」


「レナは設計技師でも有るわ。其処で妾は貴女を技師への道を強制的に諦めさせ、戦闘魔法に特化した魔導師に成ってもらうわ。」


「因みに拒否権は無いわよ。どうしても嫌なら僻地で幽閉処分になるわ。」



自国の女王から魔導師に成る為に、強制修行しろ言われたリナ。此処で彼女の言う事を拒否したら極寒の地へと強制幽閉と言う処分まで言うのだ。



 何故、王政府は、此処までの事をするのかがリナには疑問だった。




「陛下、何故ですか、あっ、あたしに国から此処までの仕打ちする理由が、何所に有るのですかっ?」



アーヤは冷たい目線でリナに言う。



「これは酷ですが、貴女を守る為です。リナ、貴女が学業を励めば近い将来、帝国は貴女を攫うか殺しに来るでしょう。」


「レナで得られなかった成果を手にするまでは、彼の国は他国の技術や知識、血筋を欲してる節が有ります。」



「そして、今回の一件は、我が政府の機密をリンバース家が隠していると勘違いして居る事です。」


「帝国は、任務の成功の有無を対象となる先を文字通り狩り尽くすまで調べます。つまり、狩り尽くされれば、レナの命が危なくなる可能性が有るのです。」



「姉さんの命が・・・・・・・」



「リナ、強く成りなさい。誰にも狙われる事も無く、誰にも屈しない強者になり、この国が滅んでも1人でも生きられる様に・・・・・」


「但し、高等科の卒業だけは許します。ドラグリア白龍大帝国の隠遁先での試験による卒業と成りますが・・・・・・」



「はい。」



「直に荷を纏めて国を発ちなさい。生家に有るもので私物は後で届けさせるわ。」



こうしてリナは、祖国を追われる事になった。表向きは国の重要機密の漏洩による連座とされた。


 つまり、姉のレナが誘拐によって漏洩されるであろう国家機密を知る一家を事実上の離散処置を王政府が取った事に成る。



 リンバース家は罪に問われる事は無いが、リナは厳しい処分を怪我をした両親代わって取らされたと公式記録には残されて居る事に成った。


 リナは祖国の機密と無縁の立場を強制的に取らされて、1人で龍人族が治める国へと追放されたのであった。


 最後にアーヤは、修行の合格を受けるまでは、ドラグリア白龍大帝国での貴女の幽閉を解く事を許さないとリナに言っていた。



 修行が終われば自由になるが、祖国の国籍を持つだけの流浪の旅人に身を落とす事に成った。



「うぐっ、ぐすっ、ぐすっ、姉さん、あたし、強く、強く、誰よりも絶対に強くなってやる。」


「だからあたしは、引っ込み思案な弱い性格を封じるっ!この自己催眠暗示魔法で・・・・・・」


「今日を限りに、弱い性格と感情だったあたしは消える・・・・・」


「少女時代に別れを告げて、帝国に・・・復讐と、姉さんをあたしが必ず助けるっ!」


「その為だったら、何だってやってやるわっ!!」


 此処に1人の少女が身の安全の為に故郷を追われた。この数年前に彼女は、帝国の戦争の影響で、親友達との繋がりを絶たれてしまう。



 両親が襲われ、姉が攫われた。


 この日を境に、リナはやや引っ込み思案な性格の有る自我を封じる。



 そして、最も激しい感情的な性格を無理やりに常時、出す性格へと変貌する。



 これが後に雷帝と呼ばれた史上最強の魔導師リナが生まれた瞬間であった。


 そして、故郷と将来を奪われた彼女は、数年後に帝国打倒に関わるのである。



 奇しくも親友である紅葉と共に・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 そして・・・・・・・・リナは、生涯を通じて二度と故郷で暮らす事をしなかったと言う。


結婚も墓も全ては異界の国、一生涯の暮らすべき終の棲家の土地と成った日本の地で幸せを掴んだと言われて居る。


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