20話 ゼロから始める異世界の外交政策 5
アースティア暦1000年・西暦2030年・5月20日・午後12時00分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・西太平洋地域・日本列島・日本国・九州島地方・福岡県・福岡市・博多港にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
この日、安元総理大臣と小西防衛大臣は、福岡市の博多港にて、コヨミ皇国へ向う日本異世界外交大陸調査派遣団の送行会と自衛隊の出陣式が行われた。
日本がアースティア世界に転移して1月余りの間に、両国の往来と貿易を目的としした形の先遣隊によるコヨミ皇国・万代市の港や街道などの改築と改装、拡張が始まって居る。
この工事による現地の商会の活動の妨げに成って居るであろう、一部の業務を日本の関連する職業会社が業務提携する形で手伝って居た。
初期の取引としては、現地の商会からの評価は、大変に好評だとの報告が日本政府へと寄せられている。
コヨミ皇国の皇都である星都市の東には、日本大使館を併設させた巨大な自衛隊の基地が出来上がっていた。
建物の多くは仮設だが、格納庫と滑走路の方は、完璧に仕上がって居る。
星都市から万代市へと続く街道は、まだコンクリートの舗装はされていないが、車でも馬車でも問題なく走り抜けられる使用に成っている。
アフリカを始め、紛争や災害などで民間のNGO活動や自衛隊のPKOでの活動が、思わぬ形でこんな所で役に立っていた。
日本政府は、現地の住人や土木関係の技術者とコヨミ軍の工兵部隊等に、自国の建築技術と道路施設技術を指導した。
パワーショベルを始めとする建設機械の運転指導やコンクリートの配合方法、現代式測量法、架橋における溶接指導など現地には無い技術指導をし、兵士や住人等を大いに驚かせた。
現地の土木工匠の商会からも、分かり易く見た事も無いやり方を伝授されて、感謝して居ると言われていて、評価は上々であった。
このコヨミ皇国での道路改修工事の募集は思いの外、応募者が多かった。暦力仁国皇の鶴の一声も有ってか、多くの応募者がやって来ていた。
何やら羽振りの良い仕事が有るとか、今なら誰でも最新の土木技術がタダで学べると言う触れ込みの話を聞いてやって来る人々が大勢居たのだ。
その中には、女性の応募者が多かった。
土木仕事と言えば大抵の場合は、男性の力仕事と言うイメージがあった。
日本の土木機械を使えば、訓練しだいで土木建築の仕事が女性でも、出きるらしいとの噂を聞きつけてやってきた女性達が大勢居たのであった。
その女性達は、真面目に陸自隊員や建設会社の従業員らの指導を受けて仕事をこなしたと言うのだから、この世界の人達からすればスゴイ事だった。
更に同時に2車線の線路も同時に敷設している。
既に力仁国皇とは、国交結ぶべく基本条約に付いての協議が行われ、日本使節団の車両と物資運搬をスムーズに行う為、コヨミ皇国内二ヶ所の港の開港と整備を行い。
南西国藩の加古島市から東周りに道路と線路を北上させながら万代市へと入る。
其処で万代港と皇都である星都市までの道路と鉄道の敷設をする計画が進められて居るが、日本とコヨミ皇国の二国会談の為に、先行して万代港と星都市の道路と線路の建設計画が進められ、その計画の許可が降りていた。
此処までの日本政府の要望が通った背景には、皇女である紅葉の書状と彼女が手にした写真付きの資料が送られたからである。
一皇女の意見の申し立てとは言え、普通は簡単には通らない。
事前に送りつけた分厚い日本の資料に加え、先遣隊の巨大船や車両の数々とヘリコプターの姿を現地の政府関係者や軍関係者達が直に見たからであった。
日本の文物を初めて見た兵士や官僚、更には出迎えの藩主や将軍に至るまで、驚き過ぎて呆然と立ち尽くすしかなかったのである。
かくして、一週間掛けて200キロ以上の距離を区割りと人海戦術を用いての簡単な道路建設を完了させるに至る。
ちゃんとした物に舗装されるのは数ヶ月は掛かるが、砂利と整地するだけの道路だったが、自動車を通すだけには十分な道と言えた。
また、この道路事業と同時に鉄道建設が平行で始まって居るのだが、此方の場合は出来上がるには、それなりの時間を要する。
これ等の設備は、日本政府と自衛隊が使用するが、本格的な国土開発が始まると次第に現地政府と住人に技術指導が終わり次第、移管されて行く予定だ。
「本日、外交団と自衛隊は、新たなこの世界での大陸の調査及び平和維持の為、異界の地へと出発します。諸君らの役目は非常に重大です。」
「新世界の大陸で何が有るのか、何が起こるのか、それは日本人である我々には想像が出きないでしょう。」
「それでも諸君等は必ず、この世界の国々と友好を結んで来てくれると私は信じています。」
「また、帝国の侵略に脅える人達の希望となり、外交団と自衛隊は、この異世界にて様々な支援を行い全員が無事に日本に帰還する事を願って居ます。」
安元がスピーチを終えると、高橋官房長官が二通の書状を諏訪部外務大臣に渡す。一つは天皇陛下からの親書。
もう一つは、安本内閣総理大臣及び日本政府の親書である。また、竜史には、日本政府と防衛省から日本国自衛隊の最高司令官代理の委任状である。
これは日本国における大陸での軍事行動に関する事を高見に一任すると言う事である。
この世界には、まだまだ完璧な通信設備や情報通信網が設置しておらず、また通信設備が整ったとしても、議会での決議を待っていられない状況を考慮しての法整備である。
勿論、好き勝手気ままに軍事行動を取って良いわけではない。
交援省の軍事関連行動は、日本政府と友好国政府及び地方自治政府の承認または駐留先の民間人等の救援要請等の何れかの承認か要請を求めた来た場合が必要と明記されている。
書状が渡されると護衛艦とチャーターされた民間の大型客船に外交団員と自衛官等が乗船して出航して行くのであった。
福岡市内では、反戦活動団体組織ピース・シールドと言う組織が、未だに根強く、日本国の新世界の大陸への進出と自衛隊派遣を声を張り上げる様に反対を訴えており、かつての日中戦争や朝鮮の併合、満州事変の再来だと彼らは言っているのだ。
「日本の新世界大陸進出っ!!はんたーいっ!!はんたーいっ!!はんたーいっ!!」
「異世界国家との外交っ!!はんたーいっ!!はんたーいっ!!はんたーいっ!!」
「日本を戦争に巻き込むなああぁぁぁーーーーーーーっ!!」
「ならず者の集まりであるシベリナ連合諸国との外交を断固阻止せよーーーーっ!!」
「帝国と講和をっ!彼の国に賠償をっ!日本が悪いっ!戦争するから悪いっ!」
「戦争をやめろっ!総理をやめろっ!内閣解散っ!防衛省解体っ!自衛隊解散っ!」
「政府に戦争をさせるなっ!!戦争するくらいならっ!!異世界国家との貿易はいらなーいっ!!」
「戦争はんたいっ!戦争はんたいっ!余所者と手を組むなっ!余所者と手を組むなっ!」
丸で昭和時代に有った安保闘争や赤軍の活動家か、共産主義活動家等が復活したかの様な光景である。
彼らは本当に何処へ向って主張して居るのだろうか?
もう中国共産党や北朝鮮のような脅しや強盗紛いの外交や、ヤクザみたいなやり方で済む国家は、もう近くには居ない。
純粋に領土覇権を争う戦乱の世界に、平和運動と言う物は笑いものでしかないし、無力であるという事から目を逸らしている風にしか見ないのである。
後に彼らは自らの信念と行動に因って、後に凄惨な悲劇に見舞られる事に成るのだが・・・・・・・・・・・・・・・・・
福岡市の博多港出発した日本国使節団。
その派遣人員の概要は、主に外務省、防衛省および自衛隊、交援省から成っている。
特に交援省は各省庁から派遣異動して来た特別編成派遣異動して来ている職員達が居る。
そんな派遣職員が居るお陰で最小限の人員で、外交使節団が派遣が出きたのだった。
現在、日本使節団を乗せた大型客船と護衛艦隊は、南西国藩の沖合に到着しつつあった。
派遣される護衛艦の内訳はむらさめ・きりさめ・こんごう・しらね・いずも・かが・ひゅうが・いせ。
さわぎり・うみぎり・とね・ちくま・あたご・やまゆき・まつゆき等が来ている。
物資運搬も兼ねて掃海母艦のうらが、ぶんごの二隻。
改めて出陣式に参加する為にスケジュールを調整している輸送艦も福岡港で見られていた。
先週あたりから自衛隊の車両の輸送開始して居る第一輸送艦隊のおおすみ型輸送艦を中心におおすみ、しもきた、くにさき。
2020年に配備されたぼうそう型輸送艦ぼうそう、ちた、さたの6隻。
更にそれらに続く旧式輸送艦を有する第二輸送艦隊のであるあつみ型輸送艦あつみ、もとぶ、ねむろ。
みうら型輸送艦みうら、おじか、さつまの6隻。
第三輸送艦隊つがる型揚陸護衛艦のつがる、おしま、おが、おもえ、まつまえの5隻も陸自車両を満載にして出港して居た。
更にはやっとの思いで国会での使用許可が降りて整備を済ませた航空護衛艦であるあかぎ型大型航空護衛艦あかぎに加え、しょうかく型航空護衛艦しょうかく、ずいかく。
2023年に試験導入され、F-4・ファントムを無理やりに空母使用に改修して、運用し始めた経緯の有るしょうほう型小型航空護衛艦しょうほう、ほうしょう。
F-4の空母の使用は時代遅れと言われたが、空母運用が何時禁止と言われても良い様にと、当時の政府が考えた苦肉の策でも有るのだ。
国際社会からも笑いものにされたが、これはしょうかくとずいかくの建艦への布石で、F-15JとF-2の改修も数機だけ改修し、搭載していた時が有った。
特に中国・韓国・北朝鮮・ロシアから大いに馬鹿にされた。
税金泥棒の無駄と言う以外の何者でも無いと官民上げて大笑いされる始末。
逆に欧米諸国からは、一から空母技術を復刻させ、インド・太平洋地域と自国の防衛に寄与する国策だが、風が吹けば簡単に消し飛び兼ねないと心配する声も聞かれた。
その後、世界の国々の予想を大きく裏切り、中国やロシア、南北朝鮮を見事に欺いて2028年にあかぎの建艦まで漕ぎ着けるのにどれ程の苦労があった事か。
対中国に対抗するべく建造された航空護衛艦の配備は、ある意味、日本の悲願に成りつつあったのである。
2020年代中国が、続々と空母が増強される光景と海洋進出に、流石の日本政府も国防の危機と待った無しと考えていた。
また、航空護衛艦の建艦と配備には重要な意味と目的が在った。
それはミサイル攻撃や戦闘機の先制攻撃で、最寄の自衛隊の航空基地が使えなくなった場合にも備えるべきだとの声もあり、戦闘機や陸自車両を積み込んで使用でき、災害時には民間車両も運搬可能な洋上運搬基地船としての機能を持たせた日本独自の航空護衛艦として建造されていた。
そして、日本国防に取っての悲願であり、配備の最後としていた最新の大型航空護衛艦あかぎは、就航してからたった2年で異世界転移してしまい、結局の所、戦争に使用されて行くのは何の因果だろうか?
この航空護衛艦の艦載機は陸上運用している既存の戦闘機をも使用できるように設計建造されている。
また、運用されて居る戦闘機の方も、改造と改良が成されている。
日本は新たな艦載機を作る予算の余裕は全く無く、航空護衛艦を作るだけで精一杯だった。
其れならば、既存の戦闘機を運用するしかないと開き直って現在に至るのだ。
F-35の配備が今だ30機の配備に留まって居る事も、防衛費の予算不足が原因でもあったからである。
輸送艦隊に随伴する燃料や補給物資を積み込んだ補給艦とわだ、ときわ、はまな、補給艦ましゅう、おうみ。
万が一の事態に備え潜水艦の救助の為に護衛艦隊へと随行する潜水艦救難艦ちはや、ちよだ。
そして・護衛艦隊が停泊中の海岸警備と沿岸攻撃の事態も考慮して、はやぶさ型ミサイル艇・はやぶさ以下7艇が艦隊陣形に入ると言う珍しい光景を目にする。
本来ミサイル艇は、不審船や国境監視が任務だが、防衛省は護衛艦が追尾し辛い沿岸部周辺からの襲撃等に備えての派遣を決めたのだった。
極め付けは潜水艦を8隻も連れて来て居た事だった。
そうりゅう型4隻とおやしお型4隻である。そして陸自の装備は第一師団を筆頭に、各種の陸自車両のオンパレードの上、第一次派遣は3千人程度を予定している。
戦時に突入とも成れば、5万に以上の大陸派遣と成るが、今はまだ、その時ではない為、最小限に留めて居る。
取り敢えず拠点基地を作り、機材や車両を送って有事に備える。
この方針が今の日本政府の対帝国外交政策に措ける第一方針と成って居る。
派遣部隊の選出には竜史の意見が書かれたレポート基に編制されていた。
数多くの国家転移小説作品を参考に書かれた資料集である。
その内容の参考にした元ネタはと言うと、ネットや出版モノも含めて序盤冒頭で、平和的外交を推し進めようと武装の少ない護衛や海保の巡視船で外国を訪問したり、接触を図ろうとすると必ず異世界の諸外国は日本を舐めて掛かり、外交官にや自衛官らが犠牲となる惨事と成る上に、最後には戦争に発展してしまうと言う結果が書かれていた。
最終的に帝国との戦争に成るとしても、日本が友好国に国防軍とし見られる自衛隊の軍事力を中途半端に見せるのは、返って相手国の反発勢力を助長させて内乱や一部の地域の独立心を煽る可能性も有ると言える。
更に諸侯が地方を治める封建体制国家の多い世界では、武力と国力がシッカリと見える形でないと協力的でない者達が多いとも書いていた。
見たことも聞いた事も無い国家が、如何に優れて居たとしても、実在の物を見せなければ嘘を言って喧伝し、自国を大きく見せたいだけと言われて、笑われるのが関の山だろうと進言した内容が書かれている。
この報告書を読んだ与党や野党議員らは、外交や妄想癖のある絵空事の空想ホラ話に過ぎないと鼻で笑って居たが、内閣メンバーと竜史は言った。「今、正に我々は、その空想世界に我々は来ているのだ。」と。
此処で中途半端な姿を晒すとかえって友好国に成る可能性の国家の国内で国論が二分し、内戦か反日状態に陥る可能性が出て来る。
そして、自衛隊の装備を諸外国に披露すれば、相手国内情勢の安定化と信用を得られると同時に、日本製品のデモンストレーションにも成り、一石二鳥成るとも訴えていた。
それにそんな反対派にも分かり易い例え話で説明すると、幕末史の黒船来航から始まる攘夷論者達や開国反対派らによる無知な蒙昧な外国勢力へのテロ行為や戦争へと突入した事が如何に無謀な行為であったと事は今現在の日本人なら分かる筈と言われてしまうと、押し黙るしか無かったのである。
日本は帝国以上の大国だと、帝国を含めた諸外国にアピールする事が、戦争と内戦の抑止力にも成るとも訴えているが、現地では何が起きるか本当に分からない。そこで政府は、万が一の事態も考慮しての自衛隊派遣もそれなりの装備と人数を派遣させていた。
アースティア暦 1000年・西暦2030年・5月20日・午後20時05分頃・ユーラシナ大陸・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・コヨミ半島・コヨミ皇国・万代藩・万代港にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
出航から約8時間、現地時刻は午後20時05分頃と成り、夜を迎えて居た。
コヨミ半島の周辺の海底の地形と海流に注意しながら護衛艦隊は、遂に目的地である万代藩・万代港に到着した。
竜史ら一行は紅葉の案内で、明日は万代藩の居城である万代青葉山城に登城する事に成って居る。
今夜は船舶や近くの自衛隊施設に泊まり、明日に備える事に成って居た。
アースティア暦 1000年・西暦2030年・5月21日・午前9時00分頃・ユーラシナ大陸・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・コヨミ半島・コヨミ皇国・万代藩・万代港にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌朝、港では日本国使節団を出迎えようと、コヨミ水軍東部方面軍・万代藩方面水軍所属の高雄瑞樹水軍大将と愛宕千棘水軍中将に出迎えられて居た。
そして、それ二人の案内で万代藩の中心地である万代青葉山城へと向かい、万代藩藩主である伊達愛海との会談に臨む事となる。
昨夜は夜遅くの万代港入りをした為に荷卸し作業は最低限に抑えられて居た陸海空自衛隊。
早朝の8時30分から荷卸し作業が開始され、各輸送艦からは、第1師団と第10師団そして全国から集められた陸自混成派遣師団の車両と物資が下ろされていた。
近くの桟橋ではチャーターした民間船から、船内待機を命じられて居る陸自隊員等が続々と下りて来ていた。
また、主力を担う第2師団、第7師団、第5旅団からなる北部方面隊混成派遣師団は、輸送艦から戦車を中心とした車両部隊を降ろし終わると、南の自衛隊基地の駐機場へと移動させ、宿舎へと移動を開始する。
北部方面隊の派遣は、今も猛威を振るって居るロシアの脅威が消えた事と北方の大陸国家がコヨミ皇国の同盟国家と判明した事での大規模な機甲師団の派遣が決まった。
だが、あくまで彼らは保険であり、何事も起きなければローテーションが組まれるようになり、残る者と引き上げる者に分かれるのである。
日本政府は、自衛隊を大陸での抑止力とし、資金援助と技術指導を行い、日本企業の大陸進出をさせ、各国の国力の底上げさせる。
その後、日本とシベリナ連合の動きを見ていた日和見の国家や遠方国との交渉に持ち込み、反帝国同盟の国力と結束力の強化、参加国の増加等の外交政策計画の進行を更に加速させたい思惑だ。
その為の自衛隊であり、仲介役の交援省である。
そして、最後の纏めと仕上げを各省庁の担当官僚がする方針だ。
使節団の中心人物達を乗せたヘリコプター搭載型護衛艦いずもから下りて来た使節団一行は、日本の手によって近代的に綺麗に整備された港に、出迎えのコヨミ水軍部隊と陸軍部隊が旗や槍を持ち並び建って居る中央には、和装正装姿の将校と思わしき二人の女性が待って居た。
黒髪のショートカットでキキリとした印象の有る高雄瑞樹水軍大将と北方人特有の金髪であり、コヨミ人の父とアルガス王国人の母を持つハーフであり、ほんわかしたお姉さんタイプの愛宕千棘水軍中将。
この二人は、後に行われる日帝東洋戦役と言う日本近海海戦の戦争に措いて、日本を中心とした連合艦隊の一員として参加する事に成るのである。
そう、この二人はこの世界で異世界各国が初めて配備される近代式戦艦の指揮を取って戦い、歴史に知られる存在となる。
だが、そうなる事は、もう少し先の話。
両者が近付き、先に挨拶を始めたのは、日本使節団の諏訪部純二外務大臣が代表して挨拶をした。
「朝早くからのお出迎え有難う御座います。外務大臣の諏訪部です。この日本使節団の団長しています。此方が副団長の高見交援省大臣でず。」
諏訪部の紹介を受けた竜史は、前に一歩ほど踏み出して進み出て挨拶をした。
「高見てす。今日は宜しくお願いします。」
「歓迎します。ようこそコヨミ皇国へ。私は高雄瑞樹と言います。コヨミ水軍東部方面軍・万代藩方面水軍の司令長官職を勤めています。階級は水軍大将であります。」
「は~い、あたしは、愛宕千棘で~す。此処の副司令をしていまーす。階級は水軍中将よ。日本の使節団の皆さんよろしくお願いしま~す。」
ぽわわんとしていて、元気の良い挨拶してくる中で、彼女の巨大で豊な胸がユサユサと揺れていた。
見る人に由ってはバインバインと言った擬音やティンパニーを叩く音にも聞えて居ただろう。
それ位の印象に残る女性将校だった。
そんな彼女の容姿に対して、だらしなく見とれて居る陸海空の若い自衛官を叱責する者がいた。
「コラっ!!女性とは言え上級将校に対して敬礼も出来んのか?!」
その声にビックリした自衛隊員らは大慌てで、ビシッと敬礼を決めた。
その声の主は羽佐間道直海上幕僚長53歳、自衛隊統合派遣隊の最高指揮官である。
その後ろに居るのは、陸将の家中正と空将補の池田秀三である。
政府は自衛隊の運営を陸海空の自衛隊から選出し、対帝国戦やその異世界の同盟国や害獣生物との緊急時や国外の有事に措いて、高見交援省大臣と協議で出撃させる。
それ以外では首相と防衛省の元で動かされると国会で決まって居た。
「済みませんな。若いものが失礼を致しました。わたしは海上幕僚長の羽佐間道直と言います。この度、全陸海空自衛隊の指揮を任されています。」
「あらあら、日本兵の若い皆さんは可愛くてとても親近感を感じますわ。羽佐間提督。」
千棘がほんわかニコニコとした笑顔で言う。
「では皆さん、この地の藩主である伊達愛海様の所までご案内を致します。」
挨拶を終えて港を後にする一同。使節団と同行するのは、羽佐間を中心として自衛隊幹部と護衛の陸自隊員と武官として同行する海自と空自隊員達。
移動の為に、公用車と陸自車両に乗り込み、コヨミ皇国の面々は、日本の移動用の車の速度に合わせる為に階級が低くても乗馬する事を許可していた。
コヨミ皇国に取って最高位クラスの国賓待遇の使者である。
その使節団より遅い速度での先導と護衛の公務を行う事は許されない行為だからだ。
万代青葉山城に向う途上で港や市街で多くの万代市民が大通りの両側を日本使節団を見ようと見物者で一杯に成っていた。
改装改築の際に、商会関係者と漁師関係者の多く者は、事務所や店舗を市街地の境界に在る市場に移し、漁船や輸送船は北へと移した。
序でに倉庫も移して藩主には、そのままで良いと言って居着いている。
どうやら、船着場と店先を別にして自分達なりに日本の巨大船の邪魔にならない様にする積りらしい。
彼らは日本の商品を小回りの利く自分達の船や輸送手段で商売を続ける気で居るのであった。




