アースティア大戦史・歴史紀行・第5回
アースティア大戦史・歴史紀行・第5回
4月11日。この日、国会議事堂では、アースティア世界での日本国が進むべき、安元総理の力強い指針演説が執り行われました。
その一方では、安元総理は紅葉の要望とアドバイスを元にし、高見竜史を総理官邸へと招き、無所属民間人採用枠で内閣特別担当大臣と成って欲しいと三顧の礼を以てして頼み込んだと言われて居ますが、詳細は未だに明らかにされては居ません。
これは外国人である紅葉と星読みの力によるアドバイスを受けたと言う体裁が良くないとも言われて居り、安元総理と竜史の二人が総理官邸で何を話し合って居たのかは、高見家にし伝わって居ないとされて居ます。
安元総理の演説は以下の通りです。
「本日、国会議員の皆様のご尽力により、極めて重要な法案である新世界大陸調査使節団派遣法案と特別省庁の交援省の設置法案が認めらました。」
この演説で与野党の皆様とは使われませんでした。
反対派の野党と言う単語を出すと、大反発を喰らってしまうからです。
でも建前上では在りますが、国会議員と言えば誰とは言っていないし、後で私は反対してたと野党関係の議員は言えるので、このスピーチ文が採用されたのでした。
「この新世界大陸調査使節団派遣と交援省の役目は真に重大であります。更に自衛隊の権限拡大。これは簡単に言えば日本国は侵略戦争を絶対にしない、やらせない、指示しないと言う三原則を元に軍事行動を取るという物です。」
「この日本に措ける新戦争三原則を元に、これから日本は歩んで行きたいと思います。」
「我が国は、自由、主権、人権、生存権を守り、これを共有できる友好国と共に守り育んで行き、平和で豊な明るい未来を築きたいと思っております。」
「これに対して大陸では横暴で身勝手な強大な帝政軍国主義の国家が、先のあさくら号救出事件で明らかと成りました。」
「そして、新たな隣国であり友好的な国家、コヨミ皇国の要人との接触に成功を致しました。先のあさくら号事件、これは大陸西方に存在するローラーナ帝国、通称帝国と呼ばれている国家があり、日常的に侵略戦争をしているとの事です。」
此処で安元総理は、全ての国民達に向けて、声を張り上げて言いました。
「この帝国海軍によるあさくら号襲撃事件は、日本にとって極めて重大な問題であります。」
「不審船や遭難した船舶は、先ず、臨検をすべきなのに彼の国はあさくら号の造船技術の珍しさに目を付けて、事もあろうに民間船である船を拿捕せんと襲撃したのであります。」
「この時、唯一あさくら号を助けたのは近海を警戒中だったコヨミ皇国・南西国藩の嶋津義隆公が率いるコヨミ水軍の一団であります。」
「彼の水軍船団が駆け付けなければ、我が国の海自護衛艦隊はあさくら号救出時に苦戦を強いられたかも知れません。」
更に安元総理は、当時国内で日本国政府とコヨミ皇国政府との調整仲介役として滞在して居る紅葉にも、メッセージを送りました。
「彼の国の勇敢な行為に対して日本国総理大臣として、また、日本国民を代表して厚く御礼申し上げます。」
「この映像見ていらっしゃる紅葉皇女殿下、貴女様が仰いました対帝国との共同戦線に付いても前向きに検討を致します。」
「しかし、日本国は平和国家です。無用な戦争はする積りはありません。」
「先ずは、周辺国の経済支援、農業支援、技術支援、そして旧式軍事装備を中心として軍事支援を柱に、国家の底上げをして簡単に侵略されない強い国にして行こうじゃ有りませんか。」
「最後に成りますが、日本は自由と平和を共有する全ての国家との平和友好条約を必ずや締結をし、平和的な外交と貿易による交流をすると日本国民ならびに地球同胞の地方地域及び国家郡の皆様。」
「そして、まだ見ぬ新世界の全ての人種と種族の皆様に誓う事をお約束致します。ご清聴有難う御座いました。」
この長い演説が終わると、安元総理は退出し、高橋官房長官が記者達から質問が始まります。
その日の夕方、報道各社は政府の報道規制を受けていた情報を一斉に報道をし始めたのです。
その規制され居た物とは、異世界の情報と新隣国のコヨミ皇国及び皇女である紅葉の写真と素性関係の情報は、政府の公式発表が有るまで規制が敷かれて居ました。
これは余計な混乱を避ける為なのと、紅葉に対する配慮でした。
反戦団体が彼女の事を日本を戦争に巻き込んだ張本人として、居場所を突き留めて、吊るし上げたり、襲撃したりと過激な行動に出れば、外交問題に成るからです。
この時解禁された政府の公式発表後の彼女に対する好感度は、物凄い鰻上りでした。
特に美しい刀を差した和装姿の彼女の写真は、正に大和撫子だと多くの日本国民が絶賛したのです。
予断では在りますが、日本で撮った彼女の写真は本人の希望で額縁入れられて持ち帰るというエピソードが在ったのです。
その写真は、その後も多くの歴史書や雑誌にテレビ報道で使われて、末永く残って行く事に成るのです。
紅葉と竜史が切り開く事に成るアースティア世界の未来は、此処から始まりと言えるのでした。