272話 会議は踊るっ?されど進まずっ?けれどもみんな集まれば、其処はお祭り騒ぎの東京サミットっ!! 19
アースティア暦 1000年・西暦2030年・8月14日・午後20時20分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・西太平洋地域・日本列島・日本国・関東地方・東京都・千代田区・皇居・豊明殿・天皇陛下・日本国政府主催・東京サミット開催式典祭・国際交流晩餐会場にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
いよいよ明日から始まるアースティア国際大会議・IN・東京サミットこと、通称名は東京サミットっ!!
それを前にして、アースティア世界に措いて6割五分程度の反帝国同盟諸国・中立国家諸国・地球系転移国家諸国が日本国の首都である東京都に集まり、地球系転移国家諸国との国交開設に伴う交渉を経てから、国交樹立を成立させ、次いで新たな多国間国際条約の制定。
・・・・・・・詰まりは国際条約を決め、ローラーナ帝国が盟主国として支配地域を率いて居る西方バルバッサ帝国同盟を中心とした国家群によるアースティア世界の世界統一国家の樹立と覇権支配統治を阻止すると言う話し合い。
これは中立国家を覗く全ての国々の将来を決定付ける歴史的な国際会議である。
その前夜祭が始まろうとして居た。
東京都・千代田区の・・・・ほぼど真ん中に位置して居る旧江戸城こと、現皇居に在る豊明殿では、天皇陛下・日本国政府主催・東京サミット開催式典祭・国際交流晩餐会場と言う題名が掲げられて居た。
その晩餐会場には、立食パーティー用のテーブル席が置かれ、席は基本的に自由席と成って居るが、パーティーが開会される直前までは各国のグループに分かれて開会宣言を待って居た。
そんな中で、何の因果かは分からないが、天皇皇后両陛下や時の総理大臣に、外国から来賓らに顔と名前を覚えられ、政界と外交社交会に、それぞれ片足つづ足を突っ込んで居る交援省大臣こと、高見竜史。
そんな彼は、天皇皇后両陛下と安元総理と諏訪部外務大臣らを含めた日本国政府の閣僚幹部らと供に、天皇皇后両陛下と安元総理の近くに立たされて居た。
(はぁ~、僕は政界と外交社交会とは、出来るだけ距離を置きたいのに・・・・・何でこうなったんだろう?)と心の中で呟く。
彼は政治が嫌いだと言う人間では無く、場違いな感じがするので、こんなパーティーに出席をする事に、とても引け目を感じて居るだけだった。
因みに日本国政府の招待客の中には、政府関係者だけで無く、自衛隊・海上保安庁・警視庁・消防庁からも、今後の新しい姿の国際交流を築く意味もある事から、功績の有る幹部や責任者に、これはと言う人物が招待を受けて居る。
これはアースティア世界の国軍幹部と警備隊責任者も、国防・治安・災害救援を担う組織機構の関係者が来て居る事が要因と成って居るので、地球系転移国家諸国も相手に合わせて、関係者を出席をさせていた。
他にも経済界・芸能界に、各地方の商工会。
更には地方自治体知事・議員会や官僚・職員幹部で、東京サミットや今後も交流の可能性が有る人物を招待をしていた。
でないと、アースティア世界諸国の相手側の数が多く成ってしまうので、数合わせに招待客をやや増やして居た日本国政府であった。
そんな晩餐会は、午後20時に成ると、天皇陛下がグラスを片手に乾杯の音頭を取る事で開始され、和やかなムードが漂うパーティーが始まった。
「ふぅー、疲れた。」と呟くと、竜史は真っ先に顔見知りである紅葉たちの元へやって来た。
「ご苦労様。」とアリス。
「ふっ!!」と、竜史の疲労困憊ぶりに、軽く苦笑交じりの笑いが漏れ出るクリス。
「私の顔を見て、恨めしいと想うのは勝手なのだけれども・・・・」
「いいや、紅葉さんには、感謝をして居る。経緯はどうあれ、場違いな仕事とは言え、給料が貰える真っ当な仕事をさせて貰って居る。」
「今は文句を言うが、今は無いよりはマシだよ。」
「そう・・・・」と言うと、新潟県は湯沢町の清酒たる湯沢八海山と言う、辛口純米吟醸酒をゆっくりと味わって居た。
「ペース、気を付けて下さいね。」
「それを言う相手は私じゃ、無いわよ。」と言って、紅葉が指を指す方向に、浴びるとぼ酒を飲み捲くって居る集団が居た。
「ぷははははーーーっ!!実に美味いのじゃっ!!」
「本当ね。」
「・・・うん、美味しい。」
ドラグリア白龍大帝国の大帝エリン ファイヤーランド亜大陸レッドグリア部族国の部族長バーネット。
ルナルノワール・ブラックドラグリア部族・月面都市国の部族長のクロらは、真っ先に日本国政府の指示で、経済産業省が中心と成って全国各地と地球系転移国家諸国内の各地方から搔き集めたお酒を飲み捲くって居た。
お陰で酒コーナーに集まるのが、竜人族やドワーフ族、その他にも酒にうるさい人たちでごった返して居た。
何せ、他人の財布を使って、タダで飲める酒ほど美味い物は無いからである。
其処から晩餐会場の最奥中央に目をやると、天皇皇后両陛下と改めて挨拶を交わし、歓談をして居るのは、アースティア世界の王族や地球系転移国家諸国の立憲君主制の王家の国王夫妻が集まって、互いの事を質問をし合って居た。
特に跡取りたちは、熱心に話をして居る。
それは互いの将来に関わるからで、王政国家は政治に関われるが、立憲君主制の王家は政治に口は挟めないが、政務執行者である首相が何らかの形で、他国と会談する事で、両国に必要な条約・協定を発行する事も有るからだった。
その際に国家元首が相手国を良く持て成して置くと、その後の首相との話し合いも良くなると言うもの。
日本国政府も含めて、既に政治・外交に措ける駆け引きは始まって居ると言えた。
天皇皇后両陛下との歓談を終えたダバード・ロード王国のアーヤ・シュチュ―ド女王は、次に歓談をしようとする相手として、日本国内でも4大バイクメーカーとして知られて居る社長たちと会う事にした。
案の定、4大バイクメーカーとして知られて居る社長たちは、日本国を代表する重工業会社の重鎮としても知られて居ると言う事も有ってか、アースティア世界各国の外交官や経済部門官僚らに取り囲まれて居た。
「失礼を致します。モトダ技研工業の元田浩太社長でしょうか?」
「その通りですが・・・ああ、貴女は・・・・確か、アーヤ・シュチュ―ド女王陛下でしたね。本来ならば、此方から挨拶に行くべきでした。」
「いいえ、構わないわ。この様なパーティーでは、この世界の仕来たりとして、先ずは王侯貴族と挨拶。次に閣僚幹部。」
「その次に官僚と首長。最後に有力者と成って居ますので、地球系転移国家諸国では、その様な常識はありませんので、特にこちら側の慣例をあなた方には求めません。」
「それよりも、先に我が王政府の外務省を通じて、日本国政府と貴社を始め、カワカミ・ヤマナへもご提案をさせて頂きました。」
「我が国との取り引き、工場の誘致と魔導騎兵の改良と新型機体の開発・・・・このプロジェクトをご検討を頂ければ幸いです。」
アーヤは、事前に自国の外務省を通じて、諏訪部外務大臣と小野阪経産大臣を経由して、カワカミとヤマナにも根回しをしていた。
カワカミは軍艦や鉄道部門、それに航空機の他にも様々な分野に長けて居る重工業メーカーとして、ヤマナは小型発動機・・・・発電機や小型船舶のエンジンに加えて、農作業機械にも長けて居るからであった。
モトダには、自社開発したロボットであるアッシモダの開発成功は、地球世界を震撼させて居る事に加えて、四輪車や二輪車の生産量も高く、その性能が優れて居る事にも着目して居たからである。
加えて、ヤマナと並んで農耕機械の製造業部門も在る事から、国土がソコソコ広くて、耕作地帯が豊富なダバード・ロード王国。
その農作業の近代化を目論んで居るアーヤに取って、モトダ・カワカミ・ヤマナの三社だけは、自国の国益に適うので、絶対に押さえて置きたい会社だった。
それら技術企業を押さえられれば、下請けをして居る中小企業の工場たちも、我先にと続く筈だから、多くの日本企業を自国へと誘致する必要があると見て居たからでも有るからだ。
噂では、既にトヨカワとオッサンは、別の国々に抑えられるとの話。
アーヤもトヨカワに取り引きを持ち掛けては居るが、その結果は分からないと言わざるを得ない。
何故ならば、何所の企業も住み分けをしようと、話し合って居るし、自分の体力も転移災害で削られて居るので、大掛かりなプロジェクトに参加する先を見極めて居るとの事であるからだった。
今さら新世界で、共倒れに成る様なヘマをする事も無いし、ライバル企業と成り得る企業も無い。
アースティア世界に措いて、近代国家的な企業と言うのは、日本の大企業と言う物無いし、争う理由も無い。
今ならば、土地と利益分配が簡単に出来る。
言うなれば・・・・・ピザとケーキの取り分けが、簡単に仲良く出来ると言う訳である。
「その話に付いては、安元総理と諏訪部外務大臣。それに小野阪経産大臣からも聞いて居りますし、我が社の社員である望田隆史くんからも概要書を貰って居ります。」
「戦時体制有事の貴国への協力要請に措ける自動車生産工場を含めた、各種部門の製造ライン工場の誘致に付いては前向きに考えて居ります。」
「しかしながら、この一件・・・魔導騎兵の改良と新型機体の開発プロジェクトの事ですが、我が社だけと言うのならば・・・お断りをする事も検討して居ります。」
「?!それは・・・何故でしょうか?」
「第一に、貴国から譲渡された魔導騎兵ですが、正直に言って、機体自体が大きすぎる上に、我が社、一社だけでは開発コストが掛かり過ぎます。」
「あれを改修や改良機の開発は、我が社の技術力を持ってしても、非常に難しいと言わざるを得ないでしょう。」
「あんなちぐはぐな兵器を造るくらいならば、既存の技術を使ったロボット兵器を一から造るか、車両兵器に予算を回した方が無難です。」
「・・・と言うより、空想科学映画やアニメでは無いのですから、地球時代常識が強い国々に措いて、戦車やミサイルよりも動きの鈍い兵器が、今更ながら戦場で何の役に立つのかと、鼻で笑われますよ。」
「報道機関によるニュースや防衛省の発表によれば、ローラーナ帝国の魔導騎兵は、我が国の10式戦車や携帯式対戦車誘導爆弾に、あっけなく敗れたと言うではありませんか?」
「ハッキリ言って、そんな物を軽量化させる意味が果たして、有るのか如何と言わざるを得ませんね。」
「そうですか・・・・・・」と、その道のプロに突き付けられた現実に、ガッカリとしてしまうアーヤ。
手持ちの兵器の改良と言うのは、国産工業力を高める目的も有るからだった。
「ですが、複数の重工業企業による共同研究であれば、お引き受けしても良いと考えて居ります。」
「・・・・それは本当ですか?」
「はい。ですが、日本国の経産省が音頭を取りつつ、交援省が仲介を取ると言う体裁で、入札と投資金が集まり、尚且つ量産が可能であり、試作機の出来具合が良ければと言う見込みに成ります。」
「しかし、企画段階で開発費が高額と言うのであれば、地球系転移諸国で使われて居る様な兵器に、採用変更をした方が無難ですので、アーヤ陛下も、その辺りの事はご承知して置いて下さい。」
「・・・・・分かりました。ご協力をお願いし、それに応えて下さって居るのは、此方としても、大変に有り難いと思いますわ。」と言って、アーヤは別れた。
「元田くん。」と後ろから元田浩太を呼んで来たのは、カワカミ重工の現社長で、カワカミ重工の創業者の孫としても知られて居る人物・・・・・山口幸次社長であった。
「これは山口さん。」
「少々、キツイ物言いだったのでは無いかね?アレでは折角の商取引が、お流れに成ってしまうよ。」
「あはは、そうですね。ですけど、此方もモトダの進退と社運、それに日本国の存亡の危機が掛かって居ます。」
「祖父が興したモトダを・・・・・戦争で潰す訳には参りませんからね。」
「ふふ、確かに、あの女王陛下・・・肝が座って居ると見るが、色んな意味で修羅場を経験をして居る訳では無さそうだ。」
「だがね元田くん。気を付けたまえ、あの手の女性は、以外と化けて来るものだよ。」
「それは怖いですね。何事も女性を敵に回すのは、怖い事の一つであると承知はして居りますので・・・・・・」
「・・・・それは・・・経験かね?」
「あはははは・・・・・それは、山口さんのご想像にお任せしますよ。」と言う 元田浩太であった。
噂では元田浩太の奥さんは怖いとの事である。




