外伝29話 南郷どんっ! 2
アースティア暦1000年・西暦2030年・5月30日・午後14時00分・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・コヨミ半島・コヨミ皇国・万代藩・万代港にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
異世界アースティア世界での日本国とコヨミ皇国の初期の国交開設に向けての下準備は徐々に進められ、ようやく日本国側は国会内を纏め、コヨミ皇国との貿易を含めた国家交流を押し進める為に、港の開設に伴う改築工事を開始すべく、自衛隊を含めた民間船団を送り出すのに至ったのだった。
その護衛と港工事の支援の為に、コヨミ皇国内の地方領主達は、コヨミ皇国中央政府と皇室の命令を受けて、自領内から人手を派遣して来て居た。
その護衛や作業要員として主に派遣されたのは、建築に関係する専門職を有する領民や護衛警備の任に当たる藩士達であった。
その中で十沙国藩の下級藩士である松本達馬は、万代藩の万代港を遠目に見ながら、転移災害によって異世界から現れたと言う異国の日本国船団や海自艦隊を眺め見て居た。
「まっこと凄いもんじゃ、アレが異界の船かえ?」
「途轍もないデッカイ船じゃのう・・・・・・・」
感慨深げに日本国からやって来た鋼鉄船を眺め見て居ると、その近くで交通整理をしていた萩野国藩の上級藩士である柱小次郎が怒鳴り付けて来た。
「松本っ!!サボってないで、少しは野次馬整理を手伝えっ!!」
「なんじゃヅラっ!!カリカリばかっかして居ると、何れは本当に頭が剥げるぞっ!!」
「誰がヅラだっ!!僕の名は柱だと、何度も言って居るだろうがっ!!」
この二人は皇都・星都市に在る北斗・一刀流を教えている一派、千葉道場の門下生だった縁で、お互いに顔見知りであった。
そして、柱小次郎は、その名字から良く桂と言う読み方に間違われ、最後には千葉道場の門下生たちですら、ワザと彼の事をヅラ扱いを受ける羽目と成ってしまったのだった。
そんな柱小次郎は、今や知り合い全員からヅラ又は桂扱いをされて居る残念な侍と成ってしまったのであった。
「分かっちょるっ!分かっちょるっ!ヅラはホンに糞真面目じゃのう。」
「ヅラじゃないっ!!ハシラだあああぁぁぁーーーーーっっ!!」
柱小次郎の声が万代港に響き渡る。
それは万屋や読み間違われ、世間一般からは歴史上の人物のパチモンとまで言われ、日本史のテストで間違うから止めてくれと訴えの在るキャラクターの様な反論を訴えて居るが、そんな事は松本達馬には、馬の耳に念仏であった。
(それはそれとして、これからは鋼鉄船を多く持ったもんが有利と成るじゃろうな。)
「わしゃも欲しいのぉ・・・・・・・・・」
日本国の鋼鉄船を初めて見た達馬は、後に日暦社中と言う会社を設立、後に海洋支援隊へと社名を改名し、コヨミ皇国の近代化改革に関わって行く事に成る。
アースティア暦 ・1000年・5月30日・午前10時05分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・コヨミ皇国・コヨミ半島・コヨミ半島南部・南西国藩・加古島市・南西山城城下の嶋津義隆屋敷にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
万代港改修工事も終わり、日本国との交流が更に盛んに成って行く中で、南西国藩は、日本国との意思疎通をしっかりと行う為に、コヨミ皇国の中央政府から更なるお役目を命じられた。
それは交援省の敷地近くに在る異世界各国の国交開設交流連絡事務所と成って居る区画への職員の派遣である。
その為にコヨミ皇国の各諸藩は、藩士達の出向が命じられ事に成った。
特に日本国との交流に反対する勢力を含めない人員で構成される事が求められて居るので、その派遣要員として、南西国藩の次期藩主である嶋津鳴彬は、日本人外交官との交流も深く成って居た南郷幸之助と小久保仁蔵の二人を適任者である考え、二人を派遣する事にしたのであった。
多忙な日々を送って居る父親の嶋津義隆に成り替わって、南西山城で留守を預かる鳴彬は、 若き下級藩士である南郷幸之助と小久保仁蔵の二人を前にして新たな命を下した。
「これまでの二ホン国外交官達の世話役を良くぞ立派に務め上げた。」
「勿体ないお言葉でごわす。」
「同じく勿体ない、身に余るお言葉です。」
「其処でだ、そんな二人に新たな任に当たって貰いたく、今度は二ホン国へと渡って貰いたいのだ。」
「「えっ!?」」
「この度、コヨミ皇国の皇国政府は、二ホン国と正式な国交開設へと向けて、外交交渉に入る事にした。」
「そして、お前達二人には、日本国が用意してくれた在日本コヨミ皇国・国交開設交流連絡事務所と言う領事館に準じた施設の管理を任せたい。」
「それは・・・・・」
「鳴彬さま、これはコヨミ皇国の中央政府の・・・それも外務省の仕事の筈では?」
南郷と小久保の二人は、余りの大役に驚き、その役目を一地方の下級藩士である身分に過ぎない自分達が、その様なお役目を務めても良いのだろうか?と迷い怖じ気づいてしまう。
「ふふ、その点は心配無いぞ二人とも。これは我が南西国藩が、彼の二ホン国に最も近いからと言う理由から来る物だ。」
「今、万代藩の万代港は二ホン国の手に由って大々的に改修工事が進められて居るが、その次は、我が藩の加古島港に成る予定なのだそうだ。」
「おおっ!!」
「それは本当で、ごわすか?」
「本当だとも。父上からの確かな情報だ。」
「しかし、 鳴彬さま。今更ながら都たる皇都・星都市に近しい万代藩の万代港の開発改修工事が進められる中で、我々藩内は大した事には成らないだろうと思って居りました。」
「その通りだ小久保。二ホン国の交易に由る商売等を考えれば、都たる皇都・星都市と近い立地である万代市に拠点を築くのが妥当と言える。」
「だが、二ホン国の国力は我が国の想像を遥か先に有るのだ。」
「恐らくは万代港だけでは、貿易に由る物の集積場所が足りないのだろうな。」
「二ホン国とは、それ程までの国力が在るのでごわすか?」
「主上さまは、その事を見越して、先ずは我が嶋津と南西国藩に二ホンとの関係構築を任せたいのであろう。」
「それに他藩と違って、直接的に二ホンと面識の在るは、父上と我が藩だ。きっと何かのお役に立てる筈だろう。」
「分かりもうした。」
「そのお役目、立派に務めて参りたいと思います。」
「頼んだぞ、二人とも。」
「それとこの度は長いお勤めと成る。二ホンで、身の回りが落ち着いたら、各々の家族を呼び寄せても構わんぞ。二人は新婚なのだから各々の奥方と離れ離れにするのは、私としても気が引けるからな。」
「「それは・・・・・・」」
流石に公務のお勤め先に家族を全員を連れ出すのはと迷う二人。
「留守中の今の邸宅や田畑を含めた財産管理は、我が藩が責任を持って管理して置く。」
「お前達が邸宅や田畑を手放すとでもしない限りは、現状維持にして置くし、田畑の管理も人を雇って毎年作付けをして置くから、安心してお役目を励むが良い。」
「数々のご高配を賜り・・・・」
「まっこと有難うでごわす。」
こうして、コヨミ皇国の中央政府の命令で南郷幸之助と小久保仁蔵はの二人は、在日本コヨミ皇国・国交開設交流連絡事務所の職員として派遣される事に成り、日本へと渡る事と成った。
アースティア暦 ・1000年・6月1日・午前10時05分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・コヨミ皇国・コヨミ半島・コヨミ半島南部・南西国藩・加古島市・南西山城城下・コヨミ皇国・南西国藩・在コヨミ皇国・南西国藩・日本国領事館にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
南郷と小久保の両名が新たなお役目を拝命した日から遅れる事2日後のことである。
コヨミ皇国・南西国藩・在コヨミ皇国・南西国藩・日本国コヨミ皇国臨時領事館では、一人男が訪ねて来ていた。
「じゃから、このわしを二ホン国へ留学させてくれんかのう?」
「そんな事を急に言われましても・・・・・・・・・・」
「まだまだ日本国とコヨミ皇国は、接触したばかり、国交交流相互協定を確認したばかりですし、これは国交開設に向けての仮条約ですので・・・・・・」
「人同士の自由な往来は、早くても半年から来年に成るかも知れません。」
「それじゃ、遅いんじゃっ!」
「わしはな、おんしらの国の鉄船にまっこと惚れ込んじょるんじゃ、アレで商売がしたいんじゃっ!何とかしてくれんか?」
「でも・・・・・・・」
領事館に派遣された職員達は困ってしまう。
行き成りやって来て、日本国で操船を含めた船乗り技術の留学がしたいと詰めかけた変わり者程度と考えて居た好青年風の侍の男は、松本達馬と言う十沙国藩出身の藩士。
いや、正確には元藩士だと言って居た。
どうやら留学の為に彼は、二日前までやって居た万代港の警備員を辞して、実家や出身藩に迷惑を掛けまいと、わざわざ脱藩して来たらしいのだ。
(この人、やってる事が丸で坂本竜馬だよ。)
(困ったなぁ、単純に追い返すのも遺恨に成り兼ねないし・・・・・)
(それに無下に追い返しでもしたら、冷たい仕打ちをしたとの評判が経つかも。」
(今は我が国とコヨミ皇国の関係性は微妙な時だ。)
(そんな時に、一個人だと言う彼を追い返して、変な波風を立てたくない。)
(ホンと参ったなぁ・・・・・・・・・・・・・)
そんな時である。交援省の外務課に出向派遣されて今は、福岡市内の交援省や皇都・星都市内の在コヨミ皇国・日本国大使館を往来しながら外務仕事に当たって居る 藤原敬二が、在コヨミ皇国・南西国藩・日本国コヨミ皇国臨時領事館として使われて居た、在コヨミ皇国・南西国藩・日本国領事館の引っ越し状況を確かめる為に、 領事館へとやって来ていた。
ホンの少し前まで臨時領事館であった、在コヨミ皇国・南西国藩・日本国領事館の主要機能は、今は皇都・星都市内の在コヨミ皇国・日本国大使館へと移って居る為、今は南西国藩とその周辺地域に関する外交業務を担うことを業務として居た。
臨時領事であった藤原敬二は、目まぐるしく変わる情勢下の中で、引継ぎ業務を円滑に進める為、この領事館の引継ぎが滞りなく終わるまでの間は、必要に応じて顔を出して居たのであった。
「おやおや、受付前で何やら騒がしいですね。如何したんですか?」
「ああ、藤原さん。実は・・・・・・・・・・・・・・・・」
領事館の職員の中には、外務省の職員だけで無く、少数だが交援省の外務課に出向派遣されて居る外務省職員が居るのだ。
そんな交援省の外務課の職員達は、上司である藤原に事のあらましを話した。
「ほう・・・日本に留学したいと言うのですか?」
「それは、それは、最近の日本では、すっかり見られなく成った向学心の有る若者ですな。」
「確か・・・松本達馬くんだったね?宜しい、私が話を通して置くので、暫くはこの加古島市内で待って居なさい。」
「おおっ!!ホンマか?」
「ええ、入国等の手続きに手間が掛かりますが、何とかして見せましょう。」
「ホンにおおきにじゃ、これでわしは一旗揚げらるぜよっ!!」
「藤原さん、良いんですか?」
「構いません。遅かれ早かれ留学生は、何れはやって来ます。それに彼は真っ先に我が国の門を叩きました。」
「その情熱を買うのも面白いかも知れませんね。」
松本達馬は、交援省の外務課の課長である居る藤原敬二の手に由って、日本国への留学が許される事に成った。
行き先は操船関連の専門学校である。
後に商業専門学校にも通い卒業した彼は、コヨミ皇国初の輸送商船ベンチャー企業を起こす事に成る。
幕末の英雄である坂本竜馬が、そうしたように、松本達馬もまた、己が運命を切り開くべく、その第一歩を踏み出して行ったのだった。
それから数日後・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
加古島湾港に大型客船と海上保安庁の巡視船を含めた5隻の船団が現れた。
「まっこと二ホン国が現れて以来、驚きの連続でごわしたが、今度はおいどん達がその二ホン国へと渡る事に成るとは、思いもよらない事でごわしたな仁蔵どん。」
「そうだな幸之助。」
二ホン国の大型客船に乗り込んだ南郷と小久保の二人、行き先ではどんな事が待って居るでろうかと思いを馳せる。
そんな二人とは別に、船首では・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「わしは必ず鉄船を手に入れて、一旗揚げるぜおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」
十沙国藩出身の松本達馬は、大きな大志を抱きながら、日本へと渡海する事に燃えて叫んで居た。
「騒がしい奴だな。何処の誰だ?」
「聞いちょっとた限りでは、十沙国藩訛り様に聞こえた様でごわすが・・・・・・・・・・・・」
同じ船内に在って、まだ面識の無い3人は、やがてコヨミ皇国の近代化改革に関わって行く事に成るが、それはまだ少し先のお話・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




