207話 空の勇者達よ、暗黒暗礁空域を駆けろっ!突撃せよっ!ザタン・アタック作戦っ!20
アースティア暦1000年・7月1日・午後12時15分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域南西部地方・ローラーナ帝国・ローラーナ帝国南東部地域ゾルモン地方・ゾルモン内陸海・ゾルモン大島諸島・ローラーナ帝国・第四方面軍本拠要塞基地・ゾルモン要塞にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ゾルモン要塞は、ローラーナ帝国南東部地方の防衛拠点にして、東方勢力を征伐平定をする為に作られた、難攻不落の大要塞であると言う事は、以前にも説明をしたと思う。
その大要塞に対して、ローラーナ帝国が建国史上、初めての大規模な本土へと攻撃の刃が、迫ろうとして居た。
イギリス・フランス空軍の所属のボーイング E-3D早期警戒管制機(E-3・セントリー)は、両国所属のユーロファイターの護衛を受けながら、ローラーナ帝国・南東部地域、ゾルモン地方・ゾルモン内陸海・ゾルモン大島諸島に点在して在るゾルモン要塞の上空へと、威力偵察を兼ねた侵入に成功して居た。
「こちら先遣偵察隊。ローラーナ帝国・南東部ゾルモン地方・ゾルモン内陸海・ゾルモン大島諸島・ゾルモン要塞上空の侵入成功した。」
「これよりゾルモン要塞周辺に措ける。今現在の敵軍勢力圏の情報収集活動の為に、偵察活動に入る。」
ボーイング E-3D早期警戒管制機は全部で7機。
護衛機であるユーロファイターは35機である。
その中の一部には、F-35も少なからず混じって居た。
2030年の地球世界では、ユーロファイターは退役が近い主力戦闘機の一つで、2020年代頃からアップグレードをしながら使われて来たユーロファイターもそろそろ次世代機体への入れ替えの話が持ち上がって居たが、一から真新しい戦闘機を造り出すよりも、アメリカのF-35を試験的に導入した方が安上がりだった事から、EU諸国内でF-35の試験導入と教導隊の創設が始まって行った時代背景があったからである。
そんな新旧戦闘機に乗り込む、各機のパイロット達や乗員達は、緊張しながらも本作戦の成功の為に、黙々と職務を遂行して行く。
「・・・・・・・・・作戦前に予測された予想通り、ゾルモン要塞周辺は、殆んどもぬけの殻だ。」
「ああ、敵は全力を挙げて、ゾルモン要塞軍団の全軍を北部のオローシャ帝国へと差し向けた向けたらしい。」
「如何やらゾルモン要塞軍団の総大将は、俺達EU諸国を含めた地球人南部勢力圏を脅威とは見て居ない様だ。」
「まぁ、そうで無くとも、俺達が此処に現れる以前から、地図上周辺には、奴らの敵は居なかったからな。」
「EU諸国も周辺に敵対勢力圏のど真ん中だ。アーノルド・ドズールとか言う司令官は、そう言った事を織り込んだ上で、オローシャ帝国に全軍で攻め込んでも勝てると考えての大侵攻なんだろう。」
そう、カリフア大陸東側・ユーラシナ大陸南側カレールーナ大海洋地域は、ローラーナ帝国と事を構える国々は存在しては居ない。
アマラーラ半島は、カリフア大陸北東部地域とユーラシナ大陸・カレールーナ帝国領西側地域は広大な砂漠と乾燥平原岩盤地帯、草原地域が広がって居る半島地域一帯のこと。
そんな砂漠と草原地帯に跨って居る半島地帯には、大地を潤す大河が二つも流れて居り、カリフア大陸の南から北東部へと横断するナイールン大河が、アマラーラ半島とへと流れ、ユーラシナ大陸北東部からはインスーダラ大河もアマラーラ半島へと至り、その二つの大河の終着点は、同半島東部のカレールーナ大海洋へと注いで居る。
そんな乾燥地域に在る国家なのが、アマラーラ王国・アマラーラ半島地方首長連合と言う国である。
そして、そのアマラーラ王国と彼の国の庇護と親族部族の元首をして居る属国が点在してして居るアマラーラ半島地方が この地方で唯一の中立独立国であり、ローラーナ帝国が唯一武力で、手を出して居ない地域でもあった。
何故、強欲な帝国がこの地域に手を出して居ないかと言うとだ、この国は国土の大半が砂漠地帯と岩石乾燥地域であるが故に、ローラーナ帝国からは旨味の無い地域と見られて居た為に、600年も歳月を経ても独立を維持してこれた主な理由であった。
アマラーラ半島地方はエジプトとアラビア半島を合わせたかのような形をした西アジア地域の様な地域で、パイプ・ライン大河とは繋がって居ない為に、ローラーナ帝国からの武力での侵攻を防げている要因でもあるのだった。
アマラーラ半島地方の南東部に300キロの距離に欧州諸島連合国とジブチ・スリランカ・ソマリア地方が転移して居た。
ローラーナ帝国の北と西の勢力圏のとの距離は僅か600キロ程度と言われて居るが、ローラーナ帝国側は、日本と同じくする異世界の国家勢力圏である事を知った今でも、小国が集まって何が出来ると見て居る様で、その軍事上の実力が、シベリナ連合主要国であるダバード・ロード王国並みだと言う事実を彼の国は、まだ知らない。
「軽口を叩くのは、それまでだっ!直ぐに偵察結果をザタン・アタック作戦司令本部とゾルモン要塞奇襲攻撃隊の本隊司令本部に報せるぞっ!!」
「了解っ!!」
「こちら先遣偵察隊。ゾルモン要塞奇襲攻撃隊・本隊司令本部へっ!!」
「敵要塞は、北方征伐に全力を注いで居る故に、その迎撃能力を殆んど持って居ないっ!!直ちに総攻撃を求むっ!!」
「こちらザタン・アタック作戦司令本部がが。了解した。直ちに攻撃命令を発動するっ!!」
「こちらザタン・アタック作戦・欧州諸島連合国・フォークランド諸島方面司令本部。了解した。」
「直ちに航空攻撃隊の発進を開始する。」
歴史の賽は投げられた。
アースティアの戦史に措いて、数百年ぶりに行われた、大規模な航空攻撃隊による奇襲攻撃作戦が開始されようとして居た。
アースティア暦 1000年・西暦2030年・7月1日・午後12時18分頃・アースティア暦1000年・7月1日・午前12時15分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域南西部地方・カリフア大陸東側・ユーラシナ大陸南側・カレールーナ大海洋・欧州諸島連合国とジブチ・スリランカ・ソマリア国内にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
異世界アースティアへと転移してまった欧州連合の離島地域や軍民官の関係の人間や乗り物の類は、欧州諸島連合国とジブチ・スリランカの港や空港へと集められて、一括して管理されて居る。
ソマリア・ジブチ・スリランカ側でもアデン湾・紅海・インド洋沖で活動して居た、その他大勢の国々の船舶や航空機をも巻き込んでしまった、地球での有史以来の大災害でもあり、日本以外でこの災害に巻き込まれた人数は、実に数百万人を超えると言われて居る。
祖国に近い文化圏の者達は、まだマシな方であり、帰る国を失った者達は歴史的に系統が近い国々に身を寄せるか宗教観的に近い国へと国籍を鞍替えするしか無かった。
まぁ、それでも行く先が無いと言う者の行く宛ては二通りだった。
一つは日本国に帰化申請を申し出て日本国籍にする事だが、これは審査が相変わらず厳しい物が有るらしく、未だに許可を得るのに手間取って居るらしい。
もう一つはハワイを含む国土を有するアメリカ合衆国に移民申請を出す事だった。
だが、こっちは申請は通り易いが、国土が狭い事も有って、最終的に帰化する事が、形だけと成る可能性が高い。
そうなると、出先の国でアメリカ国籍を持った外国人として居住権を得て生きて行く事が求められるし、居住先での援助が少しだけ少なくなると言うリスクも孕んでしまって居た。
最終的に行き場で生き難い者達は、居着いた先の国で、外人軍部隊の兵士として働いた上で、恩賞として名誉国籍を得る事に成るのだが、それは大変な道でも有るのだった。
アースティア暦 1000年・西暦2030年・7月1日・午後12時18分頃、日本国を中心とした北部大陸間海洋国際平和維持連合軍、略称名・北国連合軍の軍勢は、このジャンブロー要塞の嵐戦役での戦いの決着を決定付ける作戦を遂行しようとして居た。
欧州諸島連合国とジブチ・スリランカ・ソマリアが在るカレールーナ大海洋の北部の沖合いでは、アメリカ合衆国軍を中心とした大艦隊が展開して居た。
不運にもこの世界にやって来てしまった欧州各国軍や先進国海軍や空軍は、半ば強引にジャンブロー要塞の嵐戦役に参加する事に成ってしまった。
特にタダ飯を食べて居る国無しの国軍の軍関係者達は、この戦いで実績を出す事を求められた、言わば外人軍と言うべきお雇いの傭兵軍である。
幾ら給与と権利が国持ちの軍隊と同等でも、のんびりとして居られない立場でもある宮仕え的な立場なのだ。
カレールーナ大海洋の北には、その海の名の由来とも成って居るカレールーナ帝国の在るカレールーナ平原半島が見えて居る。その形は何となくインド半島に似ていた。
そしてその西側でありEU諸国からすれば北東に見えているアマラーラ半島地方が見えて居る。
そして、この海洋諸島地方は地球人勢力圏の西端であり、後の対帝国戦線の最前線となる地域でも有るのだった。
そんな特異な地方と成ってしまって居る欧州諸島連合国とジブチ・スリランカ・ソマリア内に整備された空港と空母機動部隊から戦闘機と爆撃機、軽装の武装を施した偵察機等が、一斉に飛び出そうとして居た。
「こちらザタン・アタック作戦司令本部ががより、ザタン・アタック作戦・欧州諸島連合国・フォークランド諸島方面司令本部へ命令を発する。」
「直ちにゾルモン要塞への奇襲攻撃を開始せよっ!!奇襲攻撃を開始せよっ!!」
「こちらザタン・アタック作戦・欧州諸島連合国・フォークランド諸島方面司令本部。了解した。」
「これよりゾルモン要塞への奇襲攻撃を開始する。」
「全航空隊は発進っ!!全長距離ミサイル発射装置と全艦隊はミサイル発射せよっ!」
「了解っ!!各発射台及び発射車両はスタンバイっ!」
「此方ザタン・アタック作戦遂行地球連合諸国艦隊っ!!!ミサイル発射スタンバイ完了っ!!!」
「各艦隊及び各ミサイル発射車両部隊っ!!!撃てえええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーっ!!!」
ズガガガガガガッ!!バシュウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーッ!!
ゴオオオオオオォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーッ!!
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「各航空隊は直ちに発進っ!敵要塞基地を撃滅せよっ!!」
キイイイイイイイィィィィィィィィィーーーーーーーーーーーーンンッ!!!ゴオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーンンッ!!!
欧米軍を中心としたMIG-27・ユーロファイター・F-35戦闘機・B-52戦略爆撃機・B-21戦略爆撃機は、ザタン・アタック作戦の最後の締め切りであるゾルモン要塞への直接的に奇襲攻撃を加えるべく航空基地と空母機動部隊から飛び立って行った。
アースティア暦 1000年・西暦2030年・7月1日・午後12時25分頃・アースティア世界・カリフア大陸北東部側・カレールーナ大海洋海域西側・西ユーラシナ大陸地方東部南西地域・アマラーラ半島地方南西部・アマラーラ王国・アマラーラ半島地方首長連合中央政府王国・アマラーラ王国・王都カイロン市・カルナック宮殿にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
この日、アースティア世界の東西の大国同士の争いから完全に孤立した状態下に在るアマラーラ王国を含めたアマラーラ半島は、外界とは違って、争いとは蚊帳の外であり、平和で穏やかで静かな日常生活の時が、今日も刻まれて居た。
アマラーラ王国・アマラーラ半島地方首長連合中央政府王国であるアマラーラ王国の王都カイロン市・カルナック宮殿でも、何時もの様に、優雅で静かで穏やかな時間が流れて行く筈であった。
アマラーラ王国とその属国は、主な産業が小麦を中心とした農業で、その恵みの源はナイールン大河とインスーダラ大河の二つの大河が在るが故の大地からの恵みで生活をして居た。
他の食料の恵みと言えば、大河と海から得られる漁業で取れた魚介類だろう。
その他にも嗜好品として、砂漠地帯や草原地帯に生えて居るボスウェリア木々から採取される樹液を基にした乳香。
サンゴや真珠と言った装飾品も、この地域国家の貴重な収入源として、諸外国との貿易を行って来た事で、アマラーラ王国と、その属国の国々は餓えずにやって来れたのである。
しかし、それは表向きの話で、実はアマラーラ半島地方では貨幣に使われる金・銀・銅の鉱山が豊富で有り、その他の鉱物資源が所彼処に点在して、隠し持って居るのである。
更には、一部の山岳地帯に囲まれた盆地では、オワシスの湧き水や隠れた湧き水を利用した農地が隠されて居り、それらがアマラーラ半島地方の国々に巨万の富を齎して居るのだった。
アマラーラ王国の若き女王であるクレレーナ・パオトラ・アマラーラ女王は、優雅に召使いや女官達にお世話されながら、カレールーナ大海洋が一望できる王都カイロン市・カルナック宮殿の一室で、日がな一日をダラダラと過ごして居た。
「・・・・あら、何の音かしら?」
キイイイイイイイィィィィィィィィィーーーーーーーーーーーーンンッ!!!ゴオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーンンッ!!!
「きゃっ!!」
クレレーナと共に居た女官達や従者に召使い達は、聞いた事が無い轟音と見慣れぬ空飛ぶ物体を見聞きした事に由り、王都カイロン市やカルナック宮殿に居る者達全員が、一斉に身を縮めてしまった。
突如として、王都カイロン市の上空を轟音を放ちながら通り抜けた謎の鉄の塊。
轟音が通り抜けたと感じた彼女は、宮殿のバルコニーへと飛びで居た。
「何なのようもうっ!!」
「クレレーナさま。」
「何事?」
普段から多少我が儘で、気分屋でもある彼女は、余程の事態に成らないと真面目に国事には関わりを持とうとしない性格をして居ると言われて居た。
それは何故か?その答えは簡単だ。
隣国であり、アースティア世界に覇を唱えて居るローラーナ帝国に、睨まれない為である。
多少我が儘で気分屋である性格は素の性格なのは確かだが、その裏はとても真面目な一面を持ち合わせて居る才女でも有るの女王なのだ。
彼女が普段からダラダラとして居れば、少なくとも大国たるローラーナ帝国からは睨まれない。
切れ者と優れた為政者は、必ず淘汰される事をこの国の王族は、古くから良く理解して居るからだった。
そんな彼女とアマラーラ王国の運命を一変する出来事が、この時に唐突にやって来たかも知れなかった。
「はっ!最近巷で噂の異世界国家群が、シベリナ王国連合側の要請を受けて、ローラーナ帝国のゾルモン要塞軍団と武力衝突した模様との情報が入って居りまして、先の空飛ぶ物体は、その事から察するにゾルモン要塞へと向かったと思われます。」
ここ最近の世界情勢の事柄を商人に化けた密偵網から知り得て居たクレレーナは、ゾルモン要塞軍団が北の雄であるオローシャ帝国と大戦争を仕掛けたらしいと言う事を掴んで居た。
その攻防戦には異世界国家群も参戦したらしいと言う不確かな情報も入って来て居たが、まさか本当だったとはと・・・・・クレレーナは、今に成って確信したのであった。
「と言う事は・・・・・さっきのはゾルモン要塞への直接攻撃に向かったって言うの?」
「如何やら、その様です。」
「カレールーナ大海洋沖では、異世界連合国の大艦隊が展開し、一斉に鉄竜と鉄槍を次々と飛ばして居るとの報告が、我が国のグリフォン航空隊とワイバーン飛竜航空隊による偵察部隊からの報告で、アマラーラ王国軍務省上げられて来て居ります。」
「現状向こうから・・・・・異世界国家諸国から何か言って来たの?」
「はい。我が国はシベリナ王国連合とローラーナ帝国と、その同盟諸国とは中立国として中立を貫いて居ります。」
「我が国のグリフォン航空隊とワイバーン飛竜航空隊が、異世界連合国の大艦隊に近づくと、ジブチ国防軍とスリランカ空軍を名乗る鉄竜(航空偵察機)や空飛ぶ鉄籠からの警告を受けて、作戦地域外への退去を求められました。」
「それくらいの注意喚起や警告喚起くらいを言われるのは、全然構わないわ。」
「不味いのはローラーナ帝国が、我が国に何か言って来られる事よっ!!直ぐに主要な大臣達を集めてっ!!」
「事に由っては異世界諸国に、この事を直接抗議するわよっ!!」
「ははっ!!」
伝令官は女王から新たな命を受けて、今度はアマラーラ王国の国政の政務を担って居る大臣達閣僚等を招集するべく駆けて行くのであった。
(厄介な事に成りそうだけど、これは歴史が変わる出来事よ。)
(我が国が生き残るにも、ローラーナ帝国には我が国がしっかりと異世界諸国に無断で我が国の上空を素通りして行った事を抗議したと言い訳出来るようには、して置かないと・・・・・・・・・・・)
クレレーナは、EU諸国に抗議すると言い放ったが、これは見せ掛けで、抗議する事を口実にして、密かに異世界諸国と接触を図ろうと目論むのである。
後の世でクレレーナの決断は、アマラーラ王国とアマラーラ半島地方は、アースティア世界に措いて、地下資源と機械加工業大国として、歩む決断をした切っ掛けとも成った出来事となった事件として歴史家たちの間で見られて居ると言われて居ると言う。




