173話 新たなる嵐の前触れ 1
アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月24日・午前10時35分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖・アルガス公国・レジェンダリア州・レジェンダリア諸島・レジェンダリア諸島西部・セイジョン・ローグリア島・セイジョン・ローグリア島水域・ロー・デッニッシュ港及びグラブンメイル湾港要塞・ダバ派遣艦隊及びダバ支援艦隊停泊地にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
激闘と苛烈を極めた、ブラキュリオス湖畔紛争が終ってから4日後のこと・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ダバ派遣艦隊は整備と補給、積荷や車両の積み込みに加え、レジェンダリア諸島全体の防衛関連の施設や陣地の復旧作業を行うと共に、機雷や対車両用の地雷の設置作業に追われて居た。
ダバ派遣隊は日本政府と防衛省から指示で、レジェンダリア諸島を旅立つ前に、同地の出来る限りの防衛対策をする事が、日本国とアルガス公国政府との防衛協定での取り決められて居た。
この取り決めは、交援省がシベリナ各国との仲介を行い、日本政府と外務省と防衛省が加わる東京でのサミットで、今後の異世界国家群と地球系転移国家群との本格的な国交条約の制定が、決まるまでの条件と時限付の国家間条約である。
その後は東京サミットで安全保障条約の交渉が行われ、本格的な防衛条約へと発展して行くが、今はまだシベリナ各国とその同盟関係国側にどっぷりと味方に付く訳にはいかない。
ゆっくりと地均しをして、日本国内の戦争アレルギーでの国民反発と反戦団体と各野党との反感情による反戦反対運動等の折り合いを付けながら、ゆっくりと事を進めないと、民主主義国家の手酷い反発と言うご破算を招きかねないからである。
そして、ダバ派遣隊は、レジェンダリア諸島での手伝えるだけの後片付けと防衛機材の設置作業を終えて、出発の朝を迎えていた。
ロー・デッニッシュ港の港には、儀礼的な物では有るが、供に戦ってくれた異界から現れた異国の軍隊たる自衛隊の者達を見送ろうと、この地に派遣さて居る騎士団長の声掛けの元、各アルガス騎士団3000人の有志による見送りの者達で溢れていた。
アルガス公国・第二騎士団・アルガス騎兵団の団長であるゼータ・ビダインがこの地に派遣されて居る騎士団の代表として、見送りの挨拶をしていた。
「置鮎一佐殿。この度の我が国とシベリナ連合軍へのご加勢に感謝を致します。」
「いえいえ、我々も西へ向う任務遂行の為に、偶々帝国軍の時期的な北侵に遭遇しただけの事です。」
「それでもです。此処まで激しい戦いは、この世界に措いて、長い歴史上の過去の例や近年でも余り例が無い事でしょう。」
「事は貴方がた二ホン国を始めとする新たな転移国家群の出現が起因して居るやも知れません。」
「ビダイン団長・・・・」
「ビダイン団長、それでは、今後も今回の様な事態が起こり、我が国を始めとする地球系転移国家郡が戦争に巻き込まれる様な事態が有りえる言われるのですか?」
陸自司令官として、派遣されて居る井上一佐が聞き返した。
「恐らくは・・・・・いや、確実に戦争に巻き込まれるでしょうな。」
「新たな動乱は、膠着が続いて居る今の時代を必ずや、突き動かすでしょうな。」
「幾度も繰り返された転移国家の出現は、古の昔からこの世界の情勢を動かし、騒動と争いの種を撒き散らして来ましたからな。」
ビダインの予言めいた言葉に、置鮎一佐と井上一佐、それに池田空将補は嫌な予感がしてならないと言った、渋い顔付きと成ってしまう。
「置鮎、井上。どの道、我が国を始めとする地球系転移諸国とローラーナ帝国との戦いは避けられん。」
「池田さん・・・・・」
真剣な眼差しで、若者達を諭す、池田空将補。
「如何に外交努力で戦争を回避しようとも、喧嘩を売る事こそなののが、国是と言う国家に対して、行なえる手立てなんぞ高が知れて居る。近年では、ロシアのネタミール・クーチン大統領が、国内むけのプロパガンダを目的に勃発したウクライナ戦争へと突入したのが良い例だ。」
池田空将補が例に挙げた、ネタミール・クーチン大統領とは?
西暦2000年から2027年までロシア連邦の大統領を務めていた人物で、元ソ連国家保安委員会(KGB)でドイツ民主共和国(東ドイツ)の支局に出向者として赴任して居た。
だが、1991年・ソビエト連邦崩壊を東ドイツで目の当たりし、突如として政治家を志し、KGB時代の伝手を辿゛ってロシア連邦の初代大統領と成ったコリス・エリチン大統領の秘書官の一人と成る。
1999年・12月30日に、年齢的な理由でコリス・エリチン大統領が大統領職を辞意を表明すると、その後継者に氏名された。
しかしながら、その後の彼の行動は良く悪くもと言った感じな物で、2010年頃までは西側諸国とは良好な関係を築く事を努めて居たが、西側諸国の外交・経済・軍事でのやり方はロシアには合わないとし、一貫して欧米諸国批判に徹する様に成る。
その後、国内では大統領と議員選挙で不正を働き、自分に有意な国体体制を築き、国民はプロパガンダや言論弾圧によって情報統制が取られた極めて独善的な方法で国民を弾圧し、自由な行動と言論を奪った。
外交ではチェチェン紛争・ウクライナ戦争を通じて残虐な方法で相手国の軍人・民間人・外国邦人を問わず虐殺命令を下す事や核兵器での他国へとの脅し、海軍艦隊による演習と言う名の示威行動を取るとっ言った強権的な行動を取って、国際社会から大いに批難を浴び、ロシアを孤立させたヒトラーと並ぶならず者と言われて居る。
その後は政権体制の崩壊と共に革命運動が勃発し、行方不明と成ったと言うが、かの秘密主義的な部分も在るロシアの事である。
暗殺に遭ったかも知れないと囁かれて居る人物。
噂では、ウクライナ戦争を始めた理由として、日本とウクライナの何方かに攻撃作戦を仕掛けて、民主主義を掲げる国家との対決姿勢を見せつつ、国民向けの戦意高揚を図るのが狙いだったと言う。
「これまでは隣国のグレーゾーンを盾にした嫌がらせ戦術で、イライラして居た我々自衛隊だが、今度は武器や策謀を隠しもしない国家が相手だ。」
「気を引き締めて掛からんと、我が国だけで無く、様々な国々の言われ無き多くの者達が死んで行く事にも成るぞっ!」
その多くが、自衛官を含めた、日本国民と友好国の人々が、含められて居る事を分かって居る派遣隊員の幹部と自衛隊員達は、池田空将補の言葉を強く噛み締めていた。
今までの我が国の情勢は、この世界に比べたら生温い部類の世界だったかも知れない。
地球世界での日本と言う国家の在る地域は、地政学に言うと・・・・・西には、核武装と長距離弾道弾で他国に脅しを掛けて居る国家、強者に付くしか脳の無い風見鶏で自尊心の塊の国家。
北には国土かやたらに広く、やや古めかしい軍事力と裏組織が暗躍して居そうな国家で、民主主義諸国と対峙しする事で国民に強さをアピールをする事が国家の為と踏ん張って居るが、軍にお金を掛け過ぎて、情けない事に軍隊のおもちゃ以外は何も作れず、国民が必要として居る日用品が殆んど作れない国土資源大国。
東には世界随一の超大国と南西には今度こそ世界を見返してやろうと軍事力と経済力を増して来て居り、危うい不平不満を募らせ、それらの爆発を強引に力でねじ伏せて居る事で有名であり、その国家は貧乏な他国をやくざに似たやり方で借金漬けにして、言う事を聞かせ様と目論んで居た。
そんな国々が幅を聞かせて居た地球時代の頃が、今ではとても懐かしく思えて来た。
「今ではも地球の世界情勢の方が、此処よりも、物凄く楽だったと言えるだろう。」
「まぁ、とても危なっかしくは在ったがね。」
「「・・・・・・」」
置鮎一佐と井上一佐の二人は、渋い顔しながら池田空将補に言われた、あの頃の地球とこのアースティア世界の情勢を見比べて見て、何も言えずに黙り込でしまう。
そうなのだ、あの世界は危ういが、ある意味、曲りなりにも平和だったのだ。
それも危ない兵器と取っ組み合い寸前の主導者だらけの世界だったが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「池田空将補殿、貴方ほどのお方が、後方に下がられて居るのが非常に惜しい。」
「我々の世界では、現役の上級将校が前線に立つのは珍しくないと言うのに・・・・・・・」
ビダイン団長は、会話に割って入った池田空将補の力量と戦士としての腕前を賞賛しつも、現役を退いてしまって居た事実を惜しんで居た。
未だに戦えるだけの実力を有している事に・・・・・・・・・・
「いや、若者の仕事を取ったり、後継を育てないの事は、もっとダメだ。」
「だから私は、この先も自国が戦争へと突入しないの為らばと、早い内に現場から離れた。」
「惜しくは無いかと聞かれれば、惜しいな。」
「この様な機会が巡って来るのを分かって居ればの話だがな。」
「今の私は、若い者が伸び伸びと働ける場を要してやるのが仕事だ。」
「ビダイン団長、貴方の賞賛の言葉は嬉しく思う。」
「だが、時代を作るのは老輩では無い。」
「若者だ。若者のやる気を引き出させ、次に繋ぐ体制の維持が組織として、そして私の役割だと思う。」
「我々も、そのお言葉を強く感じて居ます。」
「戦乱の状態が長く続いて居るせいで、都市部以外の地では、人材を育てるのには、現場で育てるしか無いのが現状です。」
「せめて人材育成の時間が有ればと、悔やんで居ります。」
「だからこそ、皆様から色々学びたいとも思って居ます。」
「我が国とシベリナ各国を始め、この世界の様々な国家との国交が結ばれる事が叶えば、何れは我々自衛隊との交流も有るでしょう。」
「置鮎・・・・・・・」
「はっ、そろろそ時間ですので、我々はこれにて・・・・・」
「おや?もう、その様な刻限でしたか?いやいや、真面目な話をして居ると、ついつい長話と成ってしまいましたな。」
「では、何れ何処かで・・・・・」
「はい。」
両者の軍の代表達は、互いに敬礼をして別れを惜しんだ。
船に乗り込む自衛官達をアルガスの騎士達は、最大の敬意を持った敬礼以ってして、ダバ派遣隊を見送って居た。
その近くでは、リナとハンナのコンビとの別れを惜しむクリスの姿が有った。
「じゃね、クリス。」
「リナ、また居所を黙って居なくなるよな。」
「・・・・あれはハンナのうっかりミスでしょうがっ!」
「ヒュヒューヒュウーーー・・・・・・・・・・」
リナの言葉に不味いと思ったらしく、ハンナは何時もの誤魔化しをする為に、口笛と目線を逸らして居た。
「まぁ、何時もの事だ。」
「そうだな。何時もの事だ。」
うっかりさんのうっかりミスを一々問い質して居たら切りが無いと、二人は諦めており、呆れ顔で言い合った。
数日前に置鮎一佐は、リナ達の今後に付いても二人に聞いていて、最終的な行き先が日本だと言われると、物の次いでだからと、ちょっとだけ遠回りに成るが、この遠征に一緒に来ないかと言われていた。
二人は勿論、行くと答えた。
旅費が浮くし、徒歩や交通機関を利用するよりは、艦内は少しだけ狭いが快適な船旅が出きるからだ。
序でを言うとハンナは大喜びだった。
護衛艦で作られる食事が食べられるのが、一番の理由である。
それに、各護衛艦の給養員長と給養員達に、小リスの様だと可愛がられて居るし、大人気だった事も付け加えて置く。
「それにリナ、お前が二ホン艦隊に付いて行く理由の本音は、ハンナの珍騒動を避けるのが狙いだろう?」
「うん、それ当たり。」
「ぷぅーっ!!二人とも酷いのである。」
ハンナはぷうっと頬を膨らませて抗議の声を上げて居たが、親友の二人は当然スルーして居た。
「そろそろ出発しまーす。乗船を急いでくださーい。」
そんな他愛の無い親友同士の会話をして居た其処に、出航するとのお声が掛かる。
「ああ、そんな時間か、じゃね。元気で・・・・・」
「ああ、何時かまた、みんなでな。」
「ううっ、うぐっうぐっ、ぐすっ、ぐすっ・・・・」
ハンナき急に泣き出した。
変な所で涙もろいし、そして、仲間内で一番の寂しがり屋である。
まぁ、友達と一緒に居られるのが楽しいし、嬉しいと思うボッチさんの心境から来るものだった。
だからハンナは、1人ボッチは怖いと感じて居る。
故郷では何時も1人で居た事が多く、1人ボッチの○○な日々を送って居たハンナらしい別れ際の泣き上戸な姿であった。
「はいはい。(あー、めんどくさいな。コイツ妙な所で寂しがりやだからな)」
この戦いの最中で、ハンナと玉に寝床が一緒に成って寝てやると、顔を胸に押し付けて来るのだ。
その最中の寝言が、胸が足りないだそうだ。
長旅と長年のリナに付き添って居た事で、リナの巨大なバストがクッション代わりと成って居た。
それが無いとと眠りの質が違うし、何より他人の胸では、如何しても物足りないと公言して居る。
寝ぼけて居るとは言え、全く失礼物だと言える一言を聞かされるクリスは、少々イラっとして居たのであった。
それでもハンナを憎くめないのは、うっかりさんでちゃっかりさんでも有り、親友の中では、ムードメーカー的な立ち位置に居るからだった。
彼の水戸黄門さま御一行に、うっかり八兵衛の様な存在で、ビタミン剤に近い立ち居地をして居るハンナをオモチャ・・・・じやなかった。
可愛がって居る存在でも有ったからだった。
3人は抱き合い、別れを惜しむと、リナとハンナは、かがへと乗船して行く。
桟橋が離れ、手を振り合いながら別れたのだった。
「今度は、何時会えるだろうな。」
クリスは別れの余韻に浸って居る。
辺りでは見送りの騎士や兵士達は、解散して行く姿が見られて居た。
しかし、この3人の再会は、意外と近い内の出来事と成るのだったりする。




