154話 移動要塞戦艦デストロイヤー再びっ!この泥沼な大紛争に、中二聖天使と雷帝の手で終止符をっ!6
アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月20日・午前11時42分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖・アルガス公国・レジェンダリア州・レジェンダリア諸島・レジェンダリア諸島西部・セイジョン・ローグリア島・セイジョン・ローグリア城・セイジョン・ローグリア城各周辺及び第二防衛ライン・ナガシノ野戦陣地・中央戦線にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
リナ・クリス・ハンナらが参加し、激しい攻防戦が繰り広げられて居るナガシノ野戦陣地中央戦線に、日シベ合同作戦軍・総司令部から急報が入る。
「リナさん、クリスさん、ハンナさん。」
「至急、セイジョン・ローグリア城の前線司令部に来て下さい。」
「えっ、何よっ!こんな時に、何の用なのよっ!」
「まだ目の前には、まだまだ敵が攻めて来て居るこのタイミングで、わざわざ後方に在る司令部に濃いですってっ!?」
「置鮎さんは、こんな忙しい中で一体、何を考えて居るのよっ!!」
アルガス魔導師団と共に魔法で奮戦するリナは、手が離せないと言う感じで、声掛けして来て居る陸自隊員の顔を見て居た。
彼女の手には、強力な雷撃爆風魔弾が次弾を撃つ為に光り輝いて居た。
「くそっ!!コイツらの目つきマトモじゃないっ!!」
グリクス地方軍団・レジェンダリア諸島遠征軍の各方面の全軍は、幾重にも張り巡らされて居る有刺鉄線網に向かって攻めかかって来て居た。
それは丸で旅順要塞に突撃する日本陸軍の特攻攻撃の如く、死体の山を築き上げながら、既に最前線の馬防柵へと到達を果てして居た。
クリスは、それらを予め用意されて居た、母国であるアルガス公国製の長槍で、指揮下のヘスティア騎士団に属して居る兵士や騎士達共に、何度も、何度も、何度も突き殺して居る。
「ああっ!もうっ!これじゃ切りが無いっ!」
ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!
ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!
ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!
ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!
近くでは、陸自隊員らが、迫るグリクス地方軍団の軍勢を重機関銃や機関銃に、アメリカ軍からの供与装備品であるミニガンを撃ち捲くって居た。
「くそっ、銃身が持たないぞっ!」
「撃ち過ぎて、銃身の中に、熱が篭って居るぞ!これ以上、撃つのは不味いっ!」
グリクス地方軍団は朝8時半の開戦以来、3時間で50回の突撃を繰り返して居た。
勿論、自衛隊側も、ソ連軍・人民解放軍の様に人海戦術と言う、人の命を顧みない迫り来る敵軍らに対して、何の対策もしないバカでは無い。
例えば、敵方が攻めるフリをされれば、相手の動きを良く見ながら、その成り行きを先読みしつつ、怪しいと見れば、逸早く撃つのを止めて居る。
そんな駆け引きが3時間以上も続いて居るのだ。
平和に慣れている彼らも精神的に気が参り始めていた。
「はっ、よっとっと。」
エクスプロン・ランサーをブンブンと振り回しながら奮戦して居るハンナは、馬防柵の隙間から入り込んで来て居る敵兵を上手く立ち回り、次々に串刺しにして行して居た。
「くっくっくっ、我が居る限りっ!此処は通さないっ!」
「此処は我々とアルガス軍とで引き受けますので、如何か前線司令部からの呼び出しに応じて下さい。」
「特にリナさんとハンナさんとクリスさんの三人は、是非、来て欲しいと置鮎司令官は仰って居ますので・・・・・・・・」
「はぁ~、置鮎さんがねぇ・・・・・」
「リナ、此処は行くべきだろう。」
「クリス?」
「お前とハンナが呼ばれると言う事は、二人のアレに期待が寄せられて居ると、私は見たな。」
「ああ、アレか・・・・・」
置鮎一佐が期待を寄せる程の威力秘めたアレ。
それはリナが編み出した、究極の雷撃魔法であるサンダースレイブとアセリナ族の究極爆裂魔導砲であるエクスプロトンバスター。
この二つは、全世界の世間の方々から魔導艦殺し・・・と言われて居たりする必殺一撃の超強力な攻撃魔法なのだ。
リナ達は呼び出し理由に合点が行くと、一先ず最前線から退き、呼び出されたセイジョン・ローグリア城の前線司令部へと赴いたのである。
アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月20日・午前11時50分・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖・アルガス公国・レジェンダリア州・レジェンダリア諸島・レジェンダリア諸島西部・セイジョン・ローグリア島・グラブンメイル要塞軍港・いずも型ヘリコプター搭載護衛艦かが・かが艦内・FICにて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
日シベ合同作戦軍の総司令部が置かれて居るいずも型ヘリコプター搭載護衛艦かが。
その艦内には、司令部機能を充実された司令部専用区画であるFICと呼ばれる区画ヶ所が在る。
いずも型とひゅうが型のヘリ空母に設置されて居るCICと言う戦闘指揮所とは全く異なる別の区画である。
FIC区画室内にて、普段は群司令席として使われて居る席に座り、ダバ派遣艦隊・第3護衛艦隊から齎された緊急報告と作戦上申を主要な関係者に聞かせた。
因みに此処には、アルガス軍の騎士団長らの姿は無い。
敵潜水兵器への対応時間が無いのと、前線からアルガス騎士団の団長が離れるのは、指揮系統が乱れる恐れが出て来る為に、簡単な事情説明が行われ、先ずは海自で対処すると伝え、アルガス騎士団長らは前線の指揮に専念して欲しいと言う事に成ったのである。
「成るほど、状況は良く分かった。それで・・・洲崎、お前はどう見て居る?」
「はい。恐らくは潜水空母の様な兵器では無いかと推測します。」
「潜水空母ねえ・・・・・・・」
第二次大戦時に旧日本海軍は、潜水空母なる物を作り上げた。
伊401を含めた三隻が、艦内に格納されて居る水上戦闘機を使って、パナマ運河を攻撃し、アメリカ海軍の侵攻を阻止すると言う作戦はマニアや歴史家なら良く知られて居る話だ。
まぁ、この作戦は日本の降伏と成り、作戦自体が終戦直後に頓挫してしまうが・・・・・・
そんな計画を終戦直後に知ったアメリカ政府は背筋が凍る想いをしたと言う。
何故なら、潜水空母で水上戦闘機を運び、パナマ運河を攻撃すれば、少なくとも数か月の間は、アメリカ東海岸からアメリカ海軍艦隊は太平洋に出て来られ無く成るからだ。
戦後、伊401を含めた三隻を接収したアメリカは、その構造を調べようとするが、ソ連からの横槍が入り、一隻を寄越せと言われると、さっさと撃沈してその技術を盗られない様にしたと言うから、今から見れば伊401型潜水空母と言うのは、世界でも稀に見る珍しい潜水艦だった事が伺える。
そんな史実がある事から、緊急会議の中で、置鮎一佐の背後で騒ぐ幹部らも、潜水空母の名を出された時に、真っ先に伊号401型潜水空母艦を思い浮かべてしまい。
まさか・・・そんな物がファンタジーな異世界にも在るのか?とか、有り得ないと言葉を発してしまって居た。
だが、ダバ支艦隊・第4艦隊と第5艦隊を率いてやって来ていた小沢司郎一佐が、通信カメラの画面越しに、ゆっくりと手を上げる。
「洲崎、潜水戦艦と言う線も在ると思うか?」
「はっ!それは思い付きませんでした。確かに在り得ますね。確か小沢一佐が戦ったのも 全長600メートルクラス移動要塞戦艦デストロイヤーと言うバケモノクラスの兵器でしたね。」
「置鮎くん。如何だう?彼女に、やらせて見ては如何かな。」
「小沢さん。しかしっ!第3護衛艦隊だけでは、火力のパワー不足と航空支援も無しに、幾ら何でも、厳し過ぎやしませんかっ!?」
「どうせ、我々は動けんよ。我が艦隊の航空隊も、相手が水中では手が出せんしな。出せたとしても哨戒ヘリでの爆撃が良い所だ。」
「それにデストロイヤー撃退の為に、出撃させた哨戒ヘリの帰還を考えると、哨戒ヘリだけでの作戦や奇襲攻撃を敢行すると言うのは、無謀で無理な作戦にも成ってしまう。」
「やはり此処は第三護衛艦隊を中心とした、別働隊による統合作戦を決行するしか無いだろう。」
「くっ、そうですが・・・・・」
「所で、其方は今の戦況状況は、如何なって居るんですか?」
置鮎一佐達等のやり取りを気に成った洲崎二佐の質問に答えたのは、小沢一佐だった。
「敵には意外と粘られてね。」
「開戦から3時間が経つが、押しては退いて、押しては退いての繰り返しで、お互いに決め手の一手に欠けて居る。」
「間も無く、あちらにも、補給路寸断の一報が届く頃合いだろう。」
「それでも踏ん張って粘るその理由が、君が発見した潜水兵器と言う訳だろうな。」
「彼らは援軍が来るのを待っている。それも強力な奴をね。」
「でしたら、叩き潰すべきです。」
自衛幹部の意見は出揃い、後は総司令官である置鮎一佐の採決だけであった。
「わかった。状況から見て、そうせざる負えないな。」
「だが、無理をするなよ。」
「第3護衛艦隊の各艦の艦長と乗員とは十分に話し合ったのか?」
「はい。大丈夫ですっ!」
「同意もしてくれて居ます。是非やらせて下さいっ!」
陸海空の幹部も映像越しに頷き、それぞれの意思が確認され、決断が決まった。
「洲崎二佐、改めて命ずる。」
「敵の潜水艦隊を叩けっ!但しっ、無茶無理をするなよ。」
「はっ、はいっ!有り難う御座いますっ!頑張りますっ!」
自衛隊内のでの会議は其処で終了する。
後は作戦を実行するだけ・・・・・・・・・・・・・・
通信を終えた洲崎二佐は、副長に振り返ると作戦開始を命じた。
「時間が無いわっ!直ぐにでも、作戦開始っ!」
「分かりました。各艦は直ぐにでも出航出きます。」
遂に戦いの賽は投げられた。
第3護衛艦隊は、突如として現れた謎の敵潜水艦隊と戦うべく出発して行くのであった。
一方、緊急会議か終わった置鮎一佐が、セイジョン・ローグリア城の前線司令部に居るリナ達の画像通信画面に目線を映した。
「聞いて居る通りだ。リナ君。悪いが止めを刺す事をお願いしたい。」
「護衛艦のミサイルとか陸自の陸上対艦ミサイル発射装置じゃ、ダメなの?」
「そうだね、それらを使えば・・・・出きると言いたいが、恐らく洲崎は一隻を沈めるのが、手一杯に成ると俺は見て居る。」
「置鮎一佐、随分と部下には、冷たいですね。」
置鮎一佐の皮肉めいた洞察力から行き着いた答えに、クリスは呆れた顔で言う。
彼女も部下を持つ少佐だ。
もっと部下に信頼をと言いたいが、クリスも経験の差から来る指揮官としての判断だと、理解して居た。
「現実的と言って欲しいな。クリス君。」
「それに戦果として見る為らば、彼女は魚雷も含めて一隻が精々と残りは手傷程度だな。」
「全部の海自艦隊が動けないと言うのが、主な理由ですね。」とクリスは素早く、三隻が、この戦場へと迫って居る移動要塞戦艦デストロイヤーの中で、洲崎二佐がたった一隻しか沈められない理由を答えて見せた。
「第3護衛艦隊とはやぶさ隊でダメならば、デコモリン少佐が率いる聖天使騎士隊二千人に止めさせる事も有るが、予備で一撃しか使えない手だからな。」
「デコモリン達、聖天使騎士隊二千人ですか?其れで済めば良いんですが・・・・・・」
「確かに、彼女達は一回限りの切り札だ。それで結果が如何なるか分からない。」
「だから君達に是非お願いしたい。やってくれるか?」
「其処まで期待されちゃ、やらないのは無粋って物ですよね?」
「最後の切り札は君達だ。頼む・・・・・」
異界の民間人の協力者を相手に、一礼をする置鮎一佐。
異界の異質な相手に対して、ある意味では、無力な自衛隊の面々。
それを打ち破るのに必要な手は、目の前の異界の女性達だった。
「任せて下さい。一瞬で鉄屑にしてやりますっ!」
「我が切り札っ!ふあああああぁぁぁぁぁぁっ!!」
ハンナは何か期待されて居る事に満面の笑みで、妄想モードに突入し、喜んでいた。
それを見ていた置鮎一佐の後ろに控えて居る海自幹部と隊員。
そして、ハンナの後ろに居る陸自幹部と隊員達は、内心で「ゴメンネ、使えないし、出番が無いなんて思ってて」と誤って居たりする。
「はぁ~、任務なら仕方が無いと言いたいが、結局は体質のせいで、危ない最前線送りだよなぁ・・・・・・」
がっくりとした感じで、大きな溜息をしながら居たのはクリスである。
魔法騎士にして、防御魔法を得意として居るクリスは、盾役として同行する事に成るのは、不運と言えるのだった。
3人は仲良く、最後の切り札として戦う事に成った。
「エリン陛下は、前方の艦隊と此方に来ると思われる潜水兵器の両方への対処お願いします。」
「陛下は遊撃隊として、何方にも動ける様にして頂きたいので・・・・・・・・」
「了承した。貴様らだけでは、ガラクタを全て叩き壊すのは、骨じゃろうて、それに金が掛かり過ぎるしのう?」
「あはは、耳が痛いですね。」
ミサイル・砲弾・銃弾などその他の資材は関連に掛かって居るお金の出所は税金である。
既に総合火力演習の予算を超える弾や砲弾にミサイルを撃ち捲くって居たので、今頃財務省の方々なんかは、とても頭が痛いだろう。
序でに言うと古い物から使って居るが、懐具合が悪い事には代わりがない。
「こっちは疲れるわい。」
「戦勝したら個人的に上手い日本酒と甲州産のワインを御送りしますよ。」
「無理せんでええぞ、安月給の癖に。」
「いいえ。知人が酒蔵と酒屋を経営して居るので、そこそこ高いのを送って来てるんです。」
「家には飲みきれずに死蔵して余って居るのが、たくさん有るので、何本か差し上げます。」
「がははははっ、それなら貴国の法律で、公務に携わる物が、例え贈賄の類とか言われても、引っ掛かり難いのう?」
「くれるのなら、有り難く頂こう。」
「我が国のコヨミの大使館宛に送れば、我が城まで届くじゃろうての。それじゃな。」
本当なら戦勝に一杯やろうと言いたいが、生憎と勤務上の理由から酒類は持ち合わせて居ない。
後で個人の私物を贈呈と言う形で送る事で、置鮎一佐はエリンに対して感謝の気持ちを表したのである。
大層な酒好きであると評判が言われるエリンには、最高の贈り物であった。
エリンも後で問題の無い様に取り計らう積もりで居るので、大事には成らないだろう。
何せ賄賂の類じゃない、知人友人に送るのと同じ、贈り物に過ぎないからだ。
「はい。宜しくお願いします。では・・・・・・」
エリンとの通信は切れる。
「これで手は全て打った。後はやるのみ・・・・・・」
迫る決戦の2時間前の事であった。




