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異世界の国々が驚いた異界国家日本は本当にすごーいデス~ネ。  作者: 伊達教宗
第1章 戦乱の渦巻く異世界へ転移する平和国家日本
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1話 接触 交差する海域 1

 この小説の設定は現実に有る物参考にしていますが、実際はこうだとか○○だよねと言うオタク知識が豊富な評論と議論を元には描きません。ネット大賞に応募してるじゃないかと言われるかも知れませんが作者は小説の宣伝と割り切ってます。そんな事を踏まえて楽しんで貰えたら幸いです。

 その日、あさくら号を運営して居る会社の事件後に纏められた航海日誌の記録には、こう書かれて居る。


「4月1日・・・・・曇り。その日は、辺り一面が濃い霧に覆われ、海は正に雲海と化して居た。」


「先の謎に満ちた超常現象に巻き込まれたせいなのか判らないが、この時の船体各所が調子が悪かった。」


「海上自衛隊と海上保安庁らに助けられた後に分かった事だが、恐らく次元転移と言う現象の影響が原因と思われる。」



「特にエンジンとスクリューの調子が良くない。2日かけてエンジンを修理し、一応の応急処置とした。」



「あさくら号の船長は、海保と海自の両方に向けて、一刻も早い船体の救助をして欲しいとの依頼を無線にて打電したが、一向に繋がらない。」


「それでも諦めずにあさくら号の通信士は、必死に丸二日かけて通信を続けている。」


「船内では乗客を食堂があるホール内に集め、状況説明をして居た。」


「乗客は船室や共同スペースで待機を余儀無くされて居た。願わくば、全員無事に何処かの港へと辿り着きたいと思う。」と。



 快晴と成りつつある空、東に太陽を見付けたあさくら号の船員は目を凝らしながら辺り一帯を見回す。



 それでも辺りには、相変わらず海ばかりで何も無いと言う事実を再確認されられる事に、ガックリと項垂れていた。




 昨日までは、曇りが続き霧が出続けていた。


 あさくら号の乗員乗客らは知らないが、何せ此処は龍雲海と呼ばれる海域。



 1年を通して、時より霧と雲が現れ海を覆って行く海で、この海を渡って行く船乗り達を惑わす海域でも在るのだ。


そんな事情をあさくら号の船員と乗客である人々は知らない。


 異変に巻き込まれた乗客の一人である竜史は、船の狭い環境にウンザリをし始めていた。


何せ2日も陸に居ない上に、何もする事が無いのだ。



 それに此処は、異世界かも知れないと、今の所は彼だけが、この状況を予測して居た。



「父さんと母さんは心配しているだろか・・・・・・・・・・・」




予想される最悪の事態を彼は悲観して居た。


 船内の船員と乗客は、救助が必ず来ると信じて疑いのない雰囲気で在るが、彼の頭の中では、あさくら号が消え去ってしまった日本では『定期船フェリーあさくら号、謎の失踪。乗っていた乗員乗客を合わせて300名行方は』との見出しが付いたニュースやワイドショー、新聞紙と週刊誌などの辺りが、1週間ほと話題を賑わす事だろう。


 そして、何時しか、この事件は風化して行き・・・・・・人々の記憶から完全に忘れ去れる事は、簡単に想定しえる事態であると言えるだろう。




 アースティア暦 1000年・西暦2030年・4月3日・時刻は未明・ユーラシナ大陸東部地域・龍雲海海域にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




あさくら号の船員は海の監視をして居るが、救援がその内に来るだろうと高を括って居た為に、見張りをする態度もいい加減に成りつつある。


このあさくら号の船員達は知らないが、転移によって日本本土とは、2日程度の時間のズレが生じて居る。


あさくら号に乗船する者達は取っては、まだ3月の30日である。



 さて、船は二日前の日本標準時間の4月1日に海上保安庁の巡視船と海上自衛隊の哨戒機のP-3Cがあさくら号の救難信号と通信キャッチした。



この時の日本政府は、多くの外国との連絡が途絶して居る所も有り、在日米軍からハワイとマリアナ諸島や南方に展開する艦隊や米軍基地以外からの連絡が取れないとの報告が上がって居た。


同月3日、日本政府はこれまで経験の無い異常事態が発生して居るとの認識を国内外に示した。


 防衛省は4月1日から航空自衛隊と海上自衛隊の偵察機及び哨戒機を使っての日本周辺を調査を開始する。



 その結果、日本の西側に全く見た事の無い未知の大陸が在る事を発見したとの調査結果を国内外に発表をしたのだった。



さて、あさくら号は、1日に海上保安庁と海上自衛隊から直に救援に向うとの打診を貰ったと船内放送で伝えられた。



 沸き立つ乗客と船員は喜びで満ち溢れる表情をして居る光景が見受けられて居る。


防衛省は海保と協力体制を敷いた上で、巡視船と海自の哨戒機P-3Cから報告を受けてた海域へと救助の為に、護衛艦隊と巡視船団の派遣を決定した。


 また、未知の勢力が東の大陸に在るらしいと情報が、哨戒機P-3C等の偵察部隊からの情報が防衛省を通じて入っていた。



 それ故に海自艦隊が未確認勢力との交戦した時、万が一捕虜が捕らえた時に備え、海上での警察活動に措いて逮捕権を持って居る海保にも出動要請を出さざる負えない為である。。



これは2030年に成っても、ダラダラと戦争に関する国内と国外の法律を事なかれ主義に任せている為に、今だ捕虜に関する規定が我が国に無い為である。



ジュネーブ条約は加盟して居るのだが、今だ日本の法律では日本に攻め入った軍隊の兵士らの立場的な定義と言うのは、テロリストか、もしくは刑法を犯した犯罪者であるとされて居る。


 例え外国でPKO派遣で捕らえた捕虜が居たとしても、それらの者達らは当事国に引き渡すだけと成って居る。



また、海上での警察権が海自に無い為に、海賊対策に置いても海上保安官に動向してもらい。


 日本船籍内なら日本の国内法と言う国際条約の決まりに乗っ取ったやり方でないと、逮捕がまま成らないと言う、非常にめんどくさい事にも成って居るからである。



さて、政府はあさくら号の救出の為に、九州方面の不測の事態に備えて、先行して警戒に当たって居る佐世保基地所属のこんごう、ちょうかい、あまぎり。


 呉基地所属のいなづま、いせ、せんだい。



舞鶴基地所属のまつゆき、あさぎり、しらね等を護衛艦隊を急遽、現場海域に派遣する事を決定した。



 九州の陸自基地のヘリ部隊に配備されて居るAH-64D戦闘ヘリコプター・アパッチ・ロングボウ部隊をヘリコプター搭載護衛艦であるいせに派遣する事を決定。



このアパッチは、AH-1S対戦車ヘリコプター、愛称コブラの名で知られる戦闘ヘリの代替として調達が始まった機体たが、62機の調達の予定を急遽変更して、僅か13機と言う結果に終わってしまって居る。



これは52億と言う巨額の調達価格が災いして居るのだ。


  最終調達年度のアパッチには、ブロックI、ブロックII、ブロックIIIと生産と改良に順次使用が変更されて来た経緯が有る為でもある。


ちなみ日本が採用を決めた次期のタイプは、ブロックIIでの生産が始まり、調達がされ始める頃には、アメリカではブロックIIIへと調達シフト変更され、日本で調達する筈だったブロックIIの部品や調達に掛かるコストが急上昇してしまう。


 また、同ヘリを運用するに当たっての設備投資やライセンス生産料金も高く付いてしまって居る。


 最初に2機、次に3機を調達し、残り52機を生産しつつ、ゆっくりと分割生産をしながら開発費を回収する積りだったのだが・・・・・・その調達費が高騰して行き、最終的に調達コスト費用が幾らに成ったかと言うとだ、実に216億円まで調達コストが価格が上昇してしまうのであった。




その結果、3機分の予算計上は見送られ、僅か10機で調達を終了することとなったが、この決定にアパッチの生産を引き受けていた富士重工は政府の決定に対して、不服を訴えた。


 富士重工は、ボーイング側に支払ったライセンス料や設備投資費など約350億円を回収が出来なく成ったととして、国を提訴したのであるが・・・・・地裁では請求棄却と成ったが高裁で請求の全部が認容された。



結局、見送られていた3機分の予算は中期防衛力整備計画(平成23年度~平成27年度)で再び盛り込まれ、2011年度から2013年度までに1機ずつ予算計上されて、13機の調達を終了した。



調達再開後は、1機あたり52億円で取得して居る。


 因みに日本におけるAH-1Sの平均調達価格の単価は48億円らしい。


 国防費はある意味無駄と訴えて居る者達も居るが、行き過ぎなければ必要経費と思わなければならないと思う。



何故ならば、ある程度の最新装備でないと日本は他国の軍隊に打ち負かされたとしても、文句の言えない状態に陥ってしまうからだ。




常に戦時に備えを怠らなければ途上国のように金で媚び諂う様な事も無いからだ。


 我が国はもう少し、防衛費の獲得が有っても構わないかもしれない。


国防に関する事に興味が無かったり、疎かったりする人たちからすれば、余り知られて居ない事実がある。


 それは何かと言うと、実は日本と言う国家は、国防に関わる装備品の数々を外国から殆んど武器や兵器を買って居らず、その大半を自国で生産して居るのだ。


 また、作れない装備品に関しては、ライセンス生産をして居るが、生産は国内メーカーがして居る。


 これがもし、海外のメーカーに頼り切って居たら、日本は自分で自分の身を守れない事にも陥るからだ。




 それ故に武器や兵器の自前での生産は、海外からの武器と兵器輸出のストップに対する対策でもあるからだっ!!


 今のこの時代、武器と兵器は最先端な物を求め、より一層高性能な物を追求し手に入れる為には、その価格がどうしても高価格に成ってしまう事は否めない。


我が国でそれ等を手に入れるべく、国内の大手と主要なメーカーが頑張って生産をし続けて居るが、これら企業達らが破産なんて事になったら、日本の武器と兵器に関する貴重な技術が海外に渡る可能性も危惧するべきだと考えて貰いたい。



平和とは・・・・享受するだけではなくっ!


 次の戦時に備える準備期間でもある。


 戦争を仕掛けるのでは無く、国防と海外協力に重点を置いた国防に関わる国策こそが、最も大事だとも言えるだろう。



 願わくば人の土地や海域等に、ちょっかいを仕掛ける国が無くなれば、国防費を下げるべきだと言い。


 同盟国の基地を削減をと堂々と言えるのだが、現在の日本の人々は、今の現実と如何やって向き会えば良いのか、迷走して居るとも言える情勢下なのであった。



このお話を読んで頂いて居る読者の皆様には、重く主義者的な分かり難い話だったと思う。


 其処で一つの面白い例え話を上げよう。


 シン・ゴジラと言う映画を見た人は多いかと思う。


 あの超有名なロボットアニメを作った監督も関わっている作品だ。


自衛隊とゴジラが対決をするシーンが中盤くらいに有ったが、緒戦で戦闘ヘリが戦うシーンがある。



 その中にコブラとアパッチが機関砲と対戦車誘導弾とロケット弾を全弾撃ち尽くして歯が立たない所まで描かれて居る。


 さて、あれが現実だったら、もしくは実際の戦争で在ったらと言う過程で話そう。


 先の説明でアパッチが13機しかないと言ったと思う。


 下記の記載が今現在の配備状況である。


目達原駐屯地 西部方面航空隊第3対戦車ヘリコプター隊第2飛行隊


明野駐屯地 陸上自衛隊航空学校、開発実験団飛行実験隊


霞ヶ浦駐屯地 航空学校霞ヶ浦校


滝ヶ原駐屯地 教育支援飛行隊富士飛行班(予定)



詰まり、撃墜されたらアパッチは、もう無いと言うことだ。



 下手をしたら出撃すらさせて貰えないかも知れない扱いたる虎の子の兵器でも在る。


 あの映画で出撃していたアパッチは、もしかしたら、あの世界の日本アパッチ部隊の全力だったかも知れないのである。



 そう、考えるとある意味日本の防衛予算の現状の一面を映画の中からとは言え、それを伺い知れるし、ゾッとする話でもあり、想像もし易いと想う。


 因みに近年、事故でアパッチ1機が墜落して居る。


 部品の耐久疲労が原因とも言われており、ニュースでは自衛隊の不祥事として話題と成っていたが、次期戦闘ヘリの購入が無い状態では、実に勿体無い話でもある事を付け加えておく。



さて、脱線して居た話を物語へと戻そう。



 あさくら号が政府に救援要請をしてから、どれくらい経っただろうか?



 未だに救援の艦隊は、あさくら号の居る海域には、その姿を見せて居ない。




 そんな狭い船内での閉鎖された空間に、皆が段々と嫌気が差して来て居た。



 余りにも暇を持て余して居た竜史は、気晴らしにと、晴れて来た空の下に広がる海を見ようと、旅行先の風景を見る為に持って居た双眼鏡を片手に遠くの景色を眺め見て居た。



「あっ!?あれは・・・・帆船?しかも大航海時代辺りで使われてた船に似ているような?」


「だとしたら・・・・最悪の場合、この船は撃たれるかも知れないぞっ!」




竜史は次元転移だと思われる現象に巻き込まれたと考えていたので、異界で出会う船や人には、良い人ばかりでないとも考えられると想定して居た。


 勿論、平和的に接触できれば申し分ないが、そう都合の良い展開ばかりでは無いかも知れないのだ。



 兎も角、彼は手元に有ったデジカメを使い、出来る限りに最大望遠での撮影を試みた。


 船長を始めとして、あさくら号の船員達に油断の無い対応を求める為だった。



「これで良しっと。もしも物騒な連中が現れたら大変だしな。」


「今の日本人は、太平洋せん以来、戦争に臆病者に成って居るし、何処か平和ボケしている節が多々ある。」



「どんな場合も油断して居てはいけない。」



 すぐさま彼は、あさくら号の船員が集まる会議室へと急いだ。



 会議室と言っても、あさくら号の船員達が、朝礼等のミーティングで使う部屋の事である。



 使わない時は、船員の休憩所も兼ねていた。


 今はあさくら号の主要なメンバーが、乗客の為の対策指揮所と成って居て、今は丁度、主要な面子が揃って居る所であった。


あさくら号は5階層で、1階が駐機場、4階から2階が客室を含めた区画。


 5階が屋上と前部分がブリッジと成って居る。


 竜史は普段は立ち入りが制限されて居る2階の前部に在る船員専用区画が在る廊下へと入って行く。



 辺りを見回しながら、目当ての人物が居る思われる場所を探しながら歩いて行く竜史。



 彼は話し声が聞えて来る部屋をの方へと向うと、ドアをコンコンとノックする。



「誰だ?」



「乗客の者です。」



 聞えて来たのは船長の声だった。



 竜史は艦内アナウンスを聞いて居たので、一声を聞いただけで、船長本人と分かった。



「ここは関係者以外は立ち入り禁止ですよ。」



「承知しています。」


「ですが、是非とも、ご報告したい事が有りまして・・・・・・・」



「・・・・・分かりました。お入りください。」



「失礼します。」



部屋に入るのを許された竜史は、低姿勢で会議室へと入室した。



「どう言った御用件でしょうか?」



「先ずは、これを見て下さい。」


「西の方角から此方へと迫っている物です。」


「偶々見掛けたので、手持ちのカメラで、写真を取って見たのですが。」



安物だが、それなりの性能が在るデジカメには、帆船型の戦列艦が遠めな小さな姿を映していた。



「う~ん。帆船に見えるな。これが如何したんですか?」と聞き返す船長。



「現在、この船は救助を待って居ますね?」


「其処で幾つか聞きたいのですが・・・・万が一、見ず知らずの船が只通りかかった場合は、如何なさいますか?」



「そんなの決まって居るでしょうっ!助けを求めるわよっ!」



 強気な感じのする女性船員の1人が答えた。



「言い方を変えましょう。この帆船があさくら号を発見し、此方に向って来たら、如何しますか?」



「それでも答えは変わらないわよっ!折角通り掛かる船に、救助を求めないのは、可笑しいわよっ!」



竜史は、一呼吸置くと話を続けた。



「はぁ~、まさか・・・・此処まで何も考えて居ないなんてな。」



「君、それはどう言う意味かね。」と船長は聞き返す。



「ここ何日か船員の動向を見て居ましてね。」


「見張りが碌に出来ていない。」


「殆んどの人々が日本政府の救助を当てにして居るだけ、余りにも稚拙だと思いまして・・・・・・・」



「我々の何処に対応の不備が有るんだっ!」



 男の船員の1人が竜史のクレームに対して噛み付く様に叫んだ。



「第一にっ!通りすがり船なら何処の誰で有ったとしても、何でも助けて貰えると考えて居る。」


「第二にっ!此処が日本近海だと思い込んで居る。第三にっ!此処が地球とは限らないと言う考えを持って居ない事です。」



「ちょっと待ってくれっ!君は何を言ってるんだ?」と船長は再度、竜史に聞き返す。




此処までの竜史の問い掛けに関して、責任者である船長は訳が分からない様子である。


 竜史は、此処が異世界だと確信めいた物があった。




「そろそろ遠まわし言うのを止めて簡単に説明しましょう。」


「僕個人として見解はですね。此処が、いいや、この僕らが居るこの世界は、異世界か、もっと別の時代の世界かもと、僕は思って居ます。」


「その根拠として、此処最近のニュースでも、奇怪な蒸発事件が起きて居ると話題に成っている筈ですよ。」


「世界中で船や島が消えてるってっ!!」



「そ、そっ、そんな馬鹿なっ!!ゲーム、アニメや漫画じゃ有るまいしっ!そんな与太話がある訳がないじゃかっ!!!」



「でも事実です。去年の暮れにジブチとソマリア、その沖合いに居た多国籍艦隊が忽然と消えたニュースは、日本国内も含めて世界中で大騒ぎでしたよね。」



「それは何か重大な事故でも起こったんだ。」


「国が二つ消えて、多数多国籍艦隊が一夜にして消え失せる事がですか?如何やって?」


「これが反米・反欧米を掲げて居たり、敵対な行動を取る大国の仕業なら、今頃は世界大戦ですよ?」


「事故なら別な意味で大騒ぎです。核爆弾を使ったらどうなるかなんて、貴方でさえ理解が出来て居るでしょう?」


「それに原発事故も在り得ません。」


「ソマリアもジブチの両国とその周辺諸国に原発を扱える又は建設中等と言った事実は在りませんからね。」と淡々と事実を語った竜史は、話を締め括る。



「やっぱり考えすぎだっ!我々が異世界に居るだなんてっ!!」と竜史の現実的な解説を聞いても、尚も現実を受け入れられないと言う男性船員は困惑した顔で困り果ててしまう。


「それにエンジンの調子も良くない。」と冷静沈着な男性船員はエンジンの不調が在ると言って、直ぐにはあさくら号は動けないと困り顔で言う。



「そうよ、無理な事をして船が動けなくなる方が問題だわ。」


「下らない話がしたいなら他を当たってよね。」と・・・この手のSF系の話が得意でないと思わしき女性船員は、理に適った説明を話した竜史の話が出鱈目と決め掛る。


 それに長いこと平和ボケした日本国内でぬくぬくと暮らし至る事も、彼女の様な女性が想定外の事に疎く成る原因とも言えた。


此処まで必死に説明をした竜史の訴えに対して、冷やかな船員達。


 それでも彼は諦めなかった。


 身勝手な先入観で、自分が厄介ごとに巻き込まれて死ぬ事を何より嫌がって居たからである。



「万が一、このままの状態で、もし、帆船が来れば最悪の場合、乗って居る船員と乗客は、最悪の場合・・・・奴隷にされる可能性が有ります。」



「それこそ与太話よ。奴隷制度なんてとっくの昔に廃止されて、国際条約や法律でも禁止されて居る事は、誰でも知ってるわ。あなたっ!ちゃんと勉強したの?」



「その認識が甘いと言って居るんですっ!」


「異世界では無かったにしろ、帆船を使うテロリストか海賊、またはマフィアの類だったら、如何するんですか?」


「海上で無線が使い難い状況の中で、悪戯に無線の通じない不確かな相手との接触は良く有りません。」


「しかもこの状況で、古めかしい木造帆船がぷかぷかと航行して居るなんて事を少しは疑うべきです。」


「更にこの写真に写って居る帆船を持つと成れば、それなりのお金持ちか、数奇者しか居ませんよ。」



「そう言う類の人が偶々航行して居るのかも知れないだろう?」



「そうよっ!黙って待って居れば助かるし、万が一にも不審者ならお金か交渉で如何にかなるわ。日本政府だって、きっと助けてくれるわよっ!」



「近年で起こった事に、何年もの間。テロリストや工作員に誘拐拉致された人達を救えない政府を僕は当てにはして居ません。(北の国とテロリスト相手に何にもできない政府の事だけど。)」



これは竜史では無くとも、良く知っている事実だが、日本政府は一部だけだが、人質や拉致され人々を救うのにかなりの時間を掛けて居る。


 その間テロリストに誘拐され拘束された人達は大抵の末路はは動画越しに殺されるの事が多く。


 そのシーンがテレビのニュースや新聞記事、ネットニュースで流れ、ショッキングな出来事と知られて居る。



 一方の拉致された事件の場合は、交渉の末に一部以外に帰国に成功した以外は無く、未だに交渉が続いて居る状況下に在る。


 詰まり、危険な目に遭いたくなければ、危ない所には近付かない。


 万が一、その様な目に遭った場合、助けたい又は助かりたければ、自由な裁量が己に有るなら自分で動くしかないと竜史は思って居た。



 況してや、テロリストと交渉はしないのは良識ある国家の国是。



 無法国家と交渉は長引くのが定番と言う物である。


 日本はテロリストと交渉して保険金や税金で助かろうとする。


 又は助けようとする他所の国とは違がう。


 赤軍のハイジャック事件の反省から、テロリストに対して、絶対にお金をビタ一文も出さないと決めて居るからだ。




「まあまあ、君達も、もう少し冷静になろう。君、名前は?」




「高見竜史です。」




口論がヒートアップする中で船長が船員達と竜史らの間に入った。


 船長は竜史の訴えにも一理あると考えた。


 それに学生時代に歴史関係の本も単位取りの一環で、勉強の為に齧った経験も有ったので、奴隷に関する話も有り得ると思って居るのであった。




「高見君、君が危険だする根拠はなんだい?」




「はい、古代の時代から奴隷制度は地方の下級層から無理やり労働力として連れて来られたのや、敗戦で掴まった兵士や乱捕り等で捕縛された都市の市民が殆どでした。」


「売り買いは平然と行われ、裕福な家で労働力として使われ、ある程度の衣食は保障されて居ましたが、扱いに不遇があれば大反乱にも成る事を何時の時代にも存在して居る時の偽政者は知って居ます。」




「確か古代のローマ帝国辺りは、一定の条件をクリアすれば奴隷の解放や市民権を得た者も居たと聞いた事があるな。」



「エジプトでは、徴集された農民や地方の部族は、働き終えたら帰郷が出来た場合も有ったな。」




「えっ、奴隷ってそう言う制度なんですか?」と聞き返す女性船員は、初めて奴隷制度の詳しい内容に触れたと言わんばかりに、驚きの顔付きで聞き返す。




「まぁ、解放奴隷制度と言ってな。」


「古代の奴隷制度は少しだけだが、奴隷と成った人々には多少は甘かった点も有るんだけれど、其処から時代が進んで来ると酷いぞっ!」


「特に近代ではな、家畜の同然の扱いに成るからな。」


「お前達でも聞いた事くらいはある筈だ、例えば、アメリカの話は有名だろう?」



「確かに歴史の授業で習いましたね。」



「確か南北戦争でしたっけ?」と聞き返す男性船員は、誰もが上げるであろう奴隷制度の転換期の歴史上の出来事を言い上げた。



「ああ、それそれ、リンカーン大統領の奴隷解放って奴だ。」



「船長、お詳しいですね。」



「昔な、歴史漫画なんかを暇つぶしに読んだ事が学生時代が有ってな。それよりも・・・・・・・」




「そうです。僕が心配してるのは接触した相手が、400年以上前の奴隷制度の認識をして居たら最悪です。」



「それってどう言うこと?」



「君達も、もう少し勉強してたら話が早かったのにな。奴隷はね、時代が進むにつれて、アフリカの部族集落なんかから強制的に拉致される様に連れ去られる事が多かった。」


「いや、連れ去れる為に現れた奴隷商人や奴隷狩り達に取って当たり前だったとも言えるな。」





「何でなんですか?」




「簡単だよ。お金になるし、元手が余り掛からない。連れ去る(拉致とも言う)だけで良いし、戦争してないなら尚更だ。」


「それにな。それらの地域に大きな国・・・・・・ヨーロッパ見たいな軍や司法制度とキリスト教なんかの統一宗教が無いのも原因かな。」


「更には人間ある程度、お金を持って権力を手にして居ると優越感に浸りたい。」


「楽がしたいし、余分な金を賭けたくないよね?その結果、奴隷を扱き使うのが一番って事に成るんだよ。」


「更に同地の部族同士の抗争や戦争で負けた部族を売り払う習慣も有ったらしい。」


「その習慣が更に酷い結果を齎す事にも成るんだけどね。」




「と・・・言う事は・・・・?」




「そうだね。君達みたいな若い子は、何処ぞの兵隊さんか奴隷商人なんて人達には、物凄い大人気に成るだろうな。」




 船長の絞めの一言に、女性船員達は、青ざめた表情をして居た。


 平和な国に生まれた彼女達には、これからどうなるかは分からないが、もしかしたら現実に、その危険が迫っているのでは無いのかと思う様に成り始めていた。



「せ、せっ船長、理由はどうあれ、危険かも知れない相手を待つよりも、海自か海保の救助が来るのを待ちましょう。」



「そそっ、そうよっ!それまで逃げ回って居れば、その内に助けが来るかもっ!」



「えっ、如何したんだ、急に?」と困惑する反対論を唱え論じて居た筈の男性船員は同僚達が、ついさっきまで反対論を言って居た筈なのに、急に態度を豹変してしまう事に困惑をしてしまう。



此処に来て、反対をして居るのは、反対論を唱えて居た若い男性船員だけと成っていた。



 年配やベテランの人達も此処まで言われれば、ひょっとしたらと思う事も少しだけ有った。



「おっ、男は大抵、重労働か殺ろされば楽に成るだろうけど・・・・・女の場合は最悪、一生、生き地獄に成るわっ!」


「そんなのが待ってるなら、彼の言う通りにした方が良いわよっ!!」



「よし、万が一に備えよう。」


「何もできないまま乗客を危険な目に遭わせてはイカンっ!」


「全員に指示するっ!直ぐに出航準備だっ!」


「怪しい帆船が追い着く前に、船を出すぞ!!」


「おいっ!」と船長が声を掛けたのは、反対論を唱えていた若い男性船員であった



「はっ!はいっ!」



「見張りをして居る奴らに伝えろっ!」


「しっかりと西から迫ってくる帆船らしき船団を見張れとなっ!」


「それと機関室の整備士にも、エンジンを出来るだけ良くなる様に仕上げろと伝えろっ!」


「急げっ!!!」



「わっ!分かりましたっ!!!」



「船長さん。もしも相手が問答無用に大砲を撃たれた場合に備えて乗客らを中央の区画と船底に避難をっ!」



「おおっ!なるほどな。」


「其処ならば、帆船に積んで居ると予想される古いタイプの大砲の弾が貫通したとしても、現代技術で作られたフェリーの外壁はそれなりの耐久強度が有る筈だっ!」


「その影響で砲弾の威力が下がって、大砲の弾が止まるか、貫通したとしても内側に転がるだけかも知れないな。」


「よし、直にやって見よう。」


「船長っ!そんなんで大丈夫なんですか?大砲の弾なんですよっ!」


「平気だともっ!昔の砲弾は爆発しないんだ。」


「丸い大きな鉛だけが飛ばされて来るだけの仕組みに成って居るんだ。」


「まぁ、それでも弾に中れば即死は確実だがね。」


 これであさくら号の命運が決まる事と成ったのである。


 そして、これが歴史のターニングポイントと呼ばれる出来事と成るのであった。


 それから二時間後、準備が整ったあさくら号は船を発進させたのである。



 ほぼ同時に近くまで来ていた帆船型の戦列軍艦の船団は、積んで居る大砲を並べて発砲を開始。


 所属不明の帆船戦列艦隊は、警告抜きで問答無用な対応であさくら号に襲い掛かって来たのである。


 間一髪の所で彼らは判断を誤らなかったのである。





2030年4月1日、航空自衛隊築城基地




 この日の九州地方に集まるRF-4EJは、芦屋基地と築城基地を拠点として、慌しく動いていた。



 この基地の他にも、日本海と東シナ海に近い各空自基地にもRF-4EJ改が召集され、連絡が取れない隣国の様子を探るべく情報収集を開始した。



 その内の一機が九州地方に在る築城基地から飛び立ち、期待を対馬の在る上空を越えて、韓国が在った方角へと向っていた。




「こちらホークアイ01。対馬上空を通過。」


「間もなく朝鮮半島南端、韓国領空内に入ると思われる。」




「了解っ!此方も引き続き外務省と共に韓国政府に問い合わせて居る。」


「偵察は韓国軍が出てくるまで続行せよっ!」



「了解っ!」




西へと3時間ほど飛行するRF-4EJ改は、30分もあれば見つかる筈の韓国の釜山が見当たらなかった。


 何度か築城基地との交信をして居たが、何処の基地の偵察隊も同じ状況下で、まだ陸地を見付けられずに居た。



 海自の哨戒機も同じくとの報告も来て居る。




「そろそろ戻るか、後は航空護衛艦でもないと燃料が持たない。んん?!」




空自隊員が、所属基地へ帰投しようとした時である。


 彼は眼下に見える景色を何気なく見下ろす。




「あっ!?陸地だっ!!!しかも半島見たいだぞっ!!!」


「それも全然見た事が・・・有るな・・・・・」


「これじゃ、丸で外国じゃないみたいだ。それはともかく報告だっ!」


「築城基地っ!!築城基地っ!!こちらホークアイ01っ!!!」



「はい、築城基地です。ホークアイ01如何しましたか?」



「対馬の海上600キロ先に、未確認の新大陸らしき陸地を発見したっ!!」



「大陸ですか?韓国の・・・・・朝鮮半島の見間違いでは?」



「違うっ!それ所か韓国の釜山は無い・・・無いんだっ!」


「それ所か朝鮮半島ですら無いっ!」



「これは・・・どう見ても昔の日本見たいな町並みが・・・・・・」



「混乱して居るみたいですね?正確な報告を・・・・」



「兎に角、映像を送るっ!後はそちらの目で確認してくれっ!!!」と言って偵察部隊の空自隊員は、一旦其処で通信を終わらせると、偵察用カメラで発見した陸地の映像を築城基地へと流す。


送られて来た映像は築城基地の自衛官達の目を疑う物だった。



 何故なら其処に写って居たのは絵巻物や白黒の写真でしか残って居ない古き時代の日本の風景と瓜二つであったからだった。


 この情報は直ちに防衛省へと送られ、次に首相官邸にも送られた。



 其処でも政府首脳陣らは「これって何の冗談?」と誰しもが言ったと言う。



 時を同じくして様々な地域を偵察に向った各RF-4EJ改。


 持ち帰った写真と映像にはファンタジー世界感を丸出した風景が映し出されていた。


 その中には、野生の龍の群れ等が写って居たりする。




 この情報が伝えられると日本政府は、直ちに自衛隊を主軸とする調査隊の派遣を決定した。



 それに伴い海上自衛隊の佐世保基地と呉基地の護衛艦隊は、先行したあさくら号救出の為の艦隊とは別に、後続の艦隊の出港準備に入ったのである。



 同時に近隣の陸上自衛隊中部方面隊の第13旅団と東部方面隊の第一師団と北部方面隊の第7師団と各方面隊に属する戦車大隊は輸送列車での西進を開始。


 大湊基地は後詰として日本本土周辺での警戒任務に当たり、横須賀基地にはヘリコプター搭載護衛艦のいずも型のいずも・かがと言った護衛艦らが、関東近隣のヘリコプター部隊を搭載し終えてから、他の護衛艦共に一路、新大陸と思わしき陸地に近い湾港の在る博多へと向うのだった。



 合計で30隻を超える派遣艦隊、その中には練習艦として使われたり、廃艦に予定の護衛艦や輸送艦等が加わって居た。




これは某赤旗の国が海洋覇権を推し進めて居る事に対して、日本は予算不足と艦艇不足の解消を目的とした延命処置であった。



 ちなみに陸自では74式戦車とAH-1S対戦車ヘリコプター・コブラ、空自ではF-4EJ改等の航空機が未だに現役である。



 古くても運用方法と操縦技術が有れば、何とか出来るとの無茶な防衛省の考えではあるが、これも予算不足でも有るからやむを得ないと言えた。



 勿論、新型機も随時導入しては居るが、年間20台から10数台と少なめで全部入れ替え終えるのは、早くて2060年頃の予定である。




 全ての艦隊と部隊が4月5日頃までには、博多港に到着の予定で居る。


 近隣の航空基地には、戦闘ヘリ部隊30機とF-15JとF-2が20機ずつ2交代で待機させて居る。



 市民からは戦時体制と言われるほどに、九州に戦力を集めた日本政府。


 果たして、新大陸には如何なる勢力が存在するのだろうか?




博多港では民間のフェリーや自動車運搬船や輸送艦と揚陸護衛艦。


 ヘリコプター搭載護衛艦などに陸自車両とヘリコプターの積み込みが続々と進んで行く中で、防衛省経由で博多で準備を進める自衛隊の臨時前線司令部に緊急通信が入った。



 その通信元は、九州から約900キロの沖合いから発せられて居た。




それは福井県から新潟県へ向う筈だった定期船フェリー、あさくら号からであった。


 その通信内容は、緊急を要する緊迫した内容だった。



 それに由ると現在あさくら号は、海上で西方から向かって来る木造型の帆船巡洋艦から成る戦列船艦隊に、襲われながら追われて居ると言って居た。


 その艦隊には上下30門の大砲が詰まれて居り、多数大砲に撃たれて、危機的状況に有ると報告して来て居る。



 更にあさくら号は、エンジンの一部が時空転移の影響後のトラブルで一部が故障して居るらしく。



 思うように船のスピードが出せずに居り、このままでは逃げ切れないと悲痛な言葉で言いながら、大至急の救助を求めて来て居た。



 この通信を聞いた日本政府と防衛省は、直ちに海上自衛隊・佐世保地方総監部を通じて、即席の救出艦隊を編成。



 救援艦隊に対して、大至急、あさくら号が襲われて居る現場海域に急げと命令を発した。



 これが後に第一次龍雲海沖海戦と呼称されるあさくら号事件の幕開けと成った経緯である。


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