147話 終結に向けての決戦!ブラキュリオス湖畔紛争っ!7
アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月20日・午前9時50分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖・アルガス公国・レジェンダリア州・レジェンダリア諸島・レジェンダリア諸島西部・セイジョン・ローグリア島・セイジョン・ローグリア城・セイジョン・ローグリア城各周辺及び第二防衛ライン・ナガシノ野戦陣地・各最前線にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ナガシノ野戦陣地の各戦線では、アルガス公国軍が長距離魔法と大砲を撃ち放ち、陸自部隊が各種迫撃砲と携帯式ロケット弾が敵に撃ち込まれ様として居た。
アルガス第四騎士団であるアルガス魔導師団と普段は地方駐留に分散して配置して居る魔導師大隊の魔術師、約七千人が魔術詠唱を始める。
その少し離れた周りでは、大砲大隊が大砲の弾込めをしており、兵士等が慌しく動いて居た。
魔導砲大隊も専用弾を扱う装填担当兵士と詠唱発砲させる魔導師が、その扱いがとてもデリケートな魔鉱火薬と魔鉱石弾を慎重に運んで居た。
扱い方一つで撃てなく成ったり、爆発する危険に関しては、我々が良く知って居る一般的な化学式火薬とそう変わりないからだった。
「各魔導師隊っ!各種マジックアローと魔法弾の詠唱始めっ!」
「魔導大砲及びガルバーン大砲の撃ち方よーいっ!」
ガルバーン大砲とは、この世界で主に反帝国同盟諸国と中立諸国で製造と配備か進められて居る大砲の事で、その射程距離は、約6.5キロと言われて居る。
また魔導大砲の一般的な射程距離は12キロから8キロ前後と安定はして居ないが、この世界では十分な長射程を誇っていた。
魔導大砲は魔鉱石を熱で溶かして固めた弾に、赤色魔鉱石と言う火属性を持った赤色の魔鉱石を一旦は高炉で溶かして、粉末にした魔鉱火薬と言う物を魔導師の手によって発火させて砲撃するタイプが大砲として配備され、殆んどの国で主力兵器として使われて居た。
だが、それ以外にも各種魔鉱石を組み合わせた弾や魔鉱石と特殊鉱石を鋳造したり冶金加工する等をして組み立てられた魔動力炉を用いた魔導光線砲と言う兵器も有る。
他にも魔法錬金技術を使った多数の兵器が作られて居るが、作れる技術とそれを扱える人材の確保と人材自体の才覚など、様々な要因が有るが故に、大半の国が扱えて居ないのが現状であった。
この手の技術関係で、特に有名なのが移動要塞戦艦デストロイヤーのデストロイヤー砲である。
3基の魔導大型動力炉と15基の魔導補助動力炉によって撃ち放たれる凶悪な兵器である。
あと有名な例を挙げるのなら、アセリア族のエクスプロン・ランサーであろう。
彼女達が何故か先祖代々の秘中の製造技術で作り上げ所持して居る代物で、馬鹿げた魔力量を持って居るアセリア族にしか扱えないと言う安心して良いんだか、不安しかないのかが分からない、これまた厄介で代物だった。
「軽MAT(01式軽対戦車誘導弾)担当をする者は前へ出ろっ!」
「各員へ通達する。目標指定っ!陸竜騎兵が騎乗している陸竜と魔導機兵だ。」
「良いかっ!絶対に急所を狙えっ!一撃て仕留めるぞっ!」
中隊長が大声を上げて、01式軽対戦車誘導弾を持った隊員達に命じる。
各隊員らは、前線の塹壕で小銃で戦う隊員らや魔法と弓で戦うアルガス兵士や騎士に魔導師からみて、50メートル下がった後ろの塹壕に入ると、顔出して01式軽対戦車誘導弾を構える。
01式軽対戦車誘導弾は、赤外線画像誘導方式を用いた撃ち放し式の誘導弾で、最大の特徴は、撃ったら目標を誘導し続ける必要が無い事にある。
所謂、撃ちっ放しが可能と成って居る装備なのだ。
戦車の様な大型兵器を相手に撃ったら、直ぐにでも隠れられる優れた装備であった。
ドスーンッ!ドスーンッ!と、大きな地響きを響かせて迫るローラーナ帝国が誇る量産型魔導機兵・イースト・エンペラル。
ナガシノ野戦陣地の各方面に現れた巨大魔導力式ロボットは、陣地を守る日シベ合同作戦軍の主力たるアルガス公国軍の兵士や騎士達と自衛隊員らを踏み潰さんと迫っていた。
だが、迫り来た敵たる魔導機兵は有刺鉄線に阻まれ、自由な動きが封じられ、身動きが取れずに必死にもがく有様。
其処へ容赦なく陸自隊員らは01式軽対戦車誘導弾を撃ち込む。
「目標ロックオンッ!!」
「ヨシっ!撃てえええええええぇぇぇぇぇぇーーーーーーーっ!!!」
「おっとと、後方の安全かく・・」
「馬鹿者っ!今は訓練では無いぞっ!!後方に人が来ない様にと、指示を徹底して居るんだぞっ!」
「済みませんっ!」
(そう言われてもなぁ・・・・・・)
(だってなぁ・・・・・)
(長年訓練して来た習慣で・・・・・・)
(意識していないと、ツイツイやってしまうよなぁ・・・・・)
(俺達自衛隊だし・・・・・・・)
これが実戦だと分かって居ても、日頃やっているロケット弾の撃ち方で、射出時に吐き出される煙が、人体にとても有害で、下手をすれば、一瞬で窒息死する危険性が有るのだ。
それなので隊員らは、安全が確保されて居る中でも、最も気にすべき背後の安全を確認してしまう光景が何人か居たと言う。
まぁ、そんなコントみたいなやり取りが在る中でも、彼らは狙い撃ちにする相手が、重くて鈍いロボットだったので、難無く射撃をし、一機たりとも見逃す事は無かった。
ゴオオオオオオォォォォォーーーーーーーーッ!!と言う轟音を立てて、真っ直ぐ目標に向って飛んで行く誘導弾。
狙った獲物へと吸い込まれる様にして、敵機体の腹部に有ると言うコクピット部分や腰部分の動力炉を破壊する。
「魔導機兵隊の第一波っ!撃破命中を確認っ!」
「「「「「モオオオオオォォォォーーーっ!」」」」」
「「「「「ギヤヤャャャャオオーースっ!」」」」」
重騎竜のトリプトドンと火炎竜のフレイムランドドラゴンで構成される陸竜騎士隊も次々と撃破され、断末魔の咆哮が響き渡る。
「こちら中央戦線第5小隊。陸竜騎士隊の撃破全滅を確認した。」
「こちら中央戦線指揮所だっ!此方でも確認して居る。」
「次に備えて弾を装填して待機。以後の指示を待てっ!」
「了解っ!待機する。」
各戦線は、敵の第一陣を撃破に成功した様だ。
それでも敵の進撃は、終わらない。
井上一佐は敵を畳み掛ける為に、海自艦隊の置鮎一佐に連絡する。
「置鮎さん、そろそろ頃合だ。」
「良い感じに獲物は、餌に食い付いて居るな。」
「良いだろう。頼むから別働隊の作戦が成功するまでの間、粘ってくれよ。」
「分かって居る。」
井上一佐は、通信機のマイクを取ると各部隊へと通信を入れた。
「各方面部隊へ通達っ!」
「これより、イツクシマ挟撃作戦を発動する。」
「陸上部隊は徹底的に防御に徹して踏ん張って貰いたい。」
「各総員の奮戦に期待する。」
イツクシマ挟撃作戦とは何かと言うと、彼の厳島の戦いで行った戦い方をなぞるやり方である。
毛利元就は、自分を厳島の城に篭って自らを囮とする事で、敵軍である大内軍とそれを指揮している陶晴賢は、狭い宮島に大軍で攻めると言う愚考をしてまう。
その時に元就の息子達である次男の吉川元春、そして、三男・小早川隆景の両軍を敵の背後を攻めさせ、挟撃させると言う作戦に打って出たと言う。
これと同様にダバ派遣艦隊の海自艦隊から石井竜三3佐が率いる、はやぶさ型ミサイル艇のはやぶさ、わかたか、おおたか、くまたか、うみたか、しらたか、とんびの7艇をグリクス地方軍団・レジェンダリア諸島遠征軍に占拠されているカントルナ島・カントルナ砦へと派遣させる。
それ等はやぶさ隊を東回りに水上から強襲し、敵の補給物資とその供給路を絶たせる。
更にはナガシノ野戦陣地裏口から北回りに一隊を派遣させる。その一隊を率いるのはゼータ・ビダイン団長である。
彼が率いるアルガス第二騎士団のアルガス騎兵団を中心とした騎兵団を派遣し、カントルナ砦を西側から強襲させ、砦内の敵軍を駆逐と敵物資に対して、放火をさせて燃やし尽くさせる。
続けて南側のセイローグ島・セイローグ聖堂砦では、ダバ派遣艦隊の第3艦隊を任されている洲崎綾奈二佐が率いる護衛艦あかつき、ひびき、すずかぜ、いかづち、いなづま、うらが型掃海母艦うらがとアセリナ聖天使騎士隊二千人を出撃させる。
ダバ派遣艦隊の第3艦隊の向かう先は、同じく敵に占拠されているジャイアガル島・ジャイアガル軍港基地に対して強襲攻撃を仕掛け、敵の退路を塞ぐ。
進退が窮まったグリクス地方軍団・レジェンダリア諸島遠征軍に対して、日シベ合同作戦軍は、前後を包囲した形で全軍で総攻撃を敢行する。
これがイツクシマ作戦としての最終段階の概要である。




