134話 激闘!セイジョン・ローグリア攻城戦 11
アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月17日・午後18時09分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖・アルガス公国・レジェンダリア州・レジェンダリア諸島・レジェンダリア諸島西部・セイジョン・ローグリア島・セイジョン・ローグリア城・セイジョン・ローグリア城郊外・グリクス地方軍団・レジェンダリア諸島遠征軍・野戦司令部にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
最後の報告者と成ったオバム大佐、彼はそのまま自分の席で、部下と供に戦況分析と状況整理をしながら書き上げた、今日戦った敵と、戦闘結果に関する報告書を読み始めた。
「私が指揮した、グリクス地方軍団東部中央方面隊が攻め入った、セイジョン・ローグリア城東門での戦いを報告する。」
「私は、セイジョン・ローグリア城周辺で、余り目立った動きの少ないニホン軍本隊を警戒しつつ、事を進め様と着々と布石を打って居た。」
「そして、ニホン軍本隊とシベリナ連合に所属している特殊能力使いに加え、雷帝と名高い女魔導師でもあるリナ・ミーサガ・リンバースを引き吊り出し、それ等を共に一網打尽に排除せんと撲滅作戦を計って居た。」
「この城塞戦は、何れかの敵戦線を我が方が崩せば、崩れた場所から雪崩を打って内部へと進軍と成れば、勝利は間違い無しであるからだ。」
「その必勝の作戦とは、ドッコス・ギアレス級空挺戦艦オクト・パレスと空挺戦艦2隻、空挺巡洋艦4隻、空挺駆逐艦4席を東門から約300メートル離れた地点まで船を接近させつつ、地上から120メートル付近で静止させ、敵と対峙する。」
「更には陸上魔導戦艦7隻を配備させ、味方地上軍の支援と敵からの囮としながらも強引にでも城内へと攻め入る作戦を決行する事にしたのだ。」
「皆も良く知って居る我がローラーナ帝国軍が、最も得意として居る火力と歩兵に魔導機兵を組み合わせた、ローラーナ帝国軍でも典型的な機甲兵器主体の攻城戦だ」
「その最も得意とする戦法で、シベリナ連合軍が立て篭もるセイジョン・ローグリア城を討ち倒そうと、試み挑んだのだ。」
「たが、その結果は、予想外の物へと成ってしまう。」
「27ページからの報告内容を読んで貰いたい。」
其処に書かれて居たのは、アルガス騎士団・第三騎士団・アルガス戦士兵団の団長ダンブルド・アーシダが守備して居た敵がサナダ丸と称する謎の城郭に付いての戦況記録である。
これが思いの外、攻め易く脆そうに見えて居た。
しかしながら・・・・・いざ、攻め込んで見ると、攻め難く頑強で付け入る隙が何所にも無いのだった。
「サナダ丸?」
「何なのだ、この城郭は?」
報告書には、簡単で詳細な絵図が書かれて居た。
これを見たグリクス地方軍団の幹部らは、その訳の分からない独創的な構造に言葉を詰まらせた。
何せ、見た事も聞いた事も無い設計思想に基づいて居たからだった。
そのサナダ丸の元に成って居る戦国時代末期にも成り、江戸時代の始まりと成った時代であり、戦国時代の雰囲気が終わりと成った境界線に当たる大きな転換点の出来事。
大坂冬の陣に造り上げられた本家・真田丸は、武田家の城郭思想を元にして、真田家親子二代に渡る設計思想が込められて居る鉄壁の外郭城塞。
それに現代戦の設計思想が加わって居るのだから、鉄壁であり、鬼に金棒でも有る恐ろしい代物だった。
以外にも武田家の城塞の最終段階の設計構想は、鉄砲や弓の撃ち合いを主眼に置いた物だった。
長篠の戦いに敗れた勝頼は、新府城を築く際に、鉄砲を多く守備に取り入れる思想を持って居た。
だが、時は彼に味方をせず、武田家滅亡へと向ってしまう。
信長が後の数ヶ月後に光秀の反乱と言う事件が起こる前に、彼は滅ぶと言う悲運に見舞われていた。
その系譜は様々な別の形で、後の時代へと引き継がれて居たりする。
グリクス地方軍団・レジェンダリア諸島遠征軍の幹部らに取って、初めて触れる日本国が生んだ異質な城郭なのである。
「一見して見れば、只の小城にしか見えない。」
「攻め入った正面の門は、特にだ。左右から簡単に押し入れると見えるが・・・・・・」
「攻め入れば、一切の隙が無い。」
「この堀もそうだ。」
「堀の中へと降りるのは簡単だが、逆に登るのも容易でない。」
「まだ、来た道を戻ろうと、また堀を登ろうとするが、これも容易では無く、攻め入った兵は容赦無く討ち取られしまった。」
「攻め入った殆んどの者達は、無傷で城外へと帰還が出きた者は居なかった。」
「単純な構造に見えて居るが、これは真に恐ろしい仕掛けだ。」
特に激しい攻防戦であったセイジョン・ローグリア城東門の戦いは、多大なる損害がグリクス地方軍団・レジェンダリア諸島遠征軍側には出ていた。
その恐ろしさは、大阪冬の陣で井伊軍と前田軍に、多大なる被害を齎して居る事で、その城郭の物凄さに関しての実際の威力は過去の史実で証明されて居た。
「更には、ニホン軍の砲兵部隊の攻撃に晒された我が軍団は、やむ終えず、魔導機兵隊のイースト・エンペラル隊100機の投入を決め、前線へと突入させた。」
「しかし、敵は予想外の手段で、それらを討ち破ったのだ。」
幹部達は極秘事項と書かれたページを捲ると驚愕の事実が書かれていた。
「なっ、何だと・・・・・・・・」
「魔導機兵に、その様な秘密が?」
それはこの世界の魔導機兵を生産と保有して居る各国が、必死に成って隠し通して居る魔導機兵の最大の弱点でも有り、間接機構が非常に脆く弱々しいとの書かれて居た記載だった。
グリクス地方軍団・レジェンダリア諸島遠征軍内では、戦線に投入され魔導機兵隊のイースト・エンペラル隊100機が、敵歩兵にあっさりと討ち取られたとの噂が広がって居た。
ニホン軍の兵器や、シベリナ連合の魔法攻撃、または特殊能力者による戦果では無く、只人に討ち取られたと成ると動揺は大きかった。
ガミトフとグリクス地方軍団上層部は、会議に参加する上位幹部50名に限っての情報開示を決定したのであった。
「魔導機兵の間接部分への集中攻撃、これがセイジョン・ローグリア城東門の戦いでの最大の敗因と言える。」
「これを契機に、一瞬で決着した北門戦線以外の戦線は一気に崩壊し、敵軍の掃討戦が開始された。」
「ニホン軍の空中兵器の鉄槍とリナ・ミーサガ・リンバースによる広域魔法攻撃により、この東門の戦いに終止符が打たれてしまう。」
「その後の各地で残敵掃討攻撃も激しく、我が方は損害を増やす事を避けるべく、撤退を決定するのに至る。」
「戦果と言う事を無理に言うのなら、リナ・ミーサガ・リンバースは遊撃隊であると言う事。」
「シベリナ連合軍に協力して居ると思われるニホン陸軍の大まかな立ち位置が判ったくらいだろう。」
「これで私からの報告は以上だ。」
「オバム大佐。ご苦労であった。」
「貴官には貧乏くじを引かせてしまう形であったが、貴官の今回の働きで、敵の実情が大まかにだが、緒戦での戦に措いて、ハッキリした。」
「明日以降の作戦は、グリクス地方軍団首脳会議で、大まかな事を決め、再び幹部会議をした後に決定する。」
「さぁ、そろそろメインデッシュが、やって来る頃合だ。」
「冷めない内に頂くとしよう。」
「この戦の勝利を祈願して・・・・・・」
「乾杯っ!!」
「「「「「「「「乾杯いいいいいぃぃぃぃぃ---------っ!!!」」」」」」」」
ガミトフが音頭を取る形で掲げられた杯にて、一斉に乾杯するグリクス地方軍団達。
彼らは明日の勝利の為に英気を養うのであった。




