115話 激闘!レジェンダリア諸島 カントルナ砦近郊上陸撤退戦 (闇夜に燃えるカントルナ砦 17)
アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月7日・午前5時30分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖・アルガス公国・レジェンダリア州・ レジェンダリア諸島・レジェンダリア諸島西部・セイジョン・ローグリア島・セイジョン・ローグリア城から25キロ地点・ルドン島との境界線・ローグリア平原にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
グリクス地方軍団の重機動師団と歩兵軍団を合わせた4万人もの軍勢を編成し、更には騎兵隊4千人を従えた追撃部隊は、自衛隊とアルガス公国軍を始めとするシベリナ連合との日シベ合同作戦軍が、その後も次々と奇襲迎撃を行い、ボコボコに討ち取られてしまって居り、とうとうその人数を二万人まで討ち取られ、その兵力を減らされてしまって居た。
そして、この追撃劇も、この地での戦いで、終盤だと言う事を後世の歴史書は書き記して居た。
明け方5時30分頃、日の光が東の空に差し込む中で、グリクス地方軍団の重機動師団と歩兵軍団。
それと相対するのは、日本国自衛隊が誇る機械化機甲兵器たる10戦車12両、16式機動戦闘車4両、87式自走機関砲8両、89式装甲戦闘車5両。
99式自走155ミリ榴弾砲20両、99式弾薬給弾車20両、155ミリ砲FH70・30門(牽引車付×30両)がすらりと並んで居た。
両国が誇る重機動兵器同士の初の本格的なぶつかり合いである。
「こっ、これは・・・・・・・・・・」
「あれは、あの兵器群は、アルガス公国軍やシベリナ連合諸国の物では無いな・・・・」
「では、あれは噂に聞く・・・・・・二ホン国の・・・物なのですね・・・・・」
「確証は無いが、恐らくはそうなのだろうな。」
「あの兵器はニホン軍の物なのは間違いない。」
「それもこの戦いに措いて、我らを散々に打ち負かしている主力部隊。」
「此処で待ち構えて居ると言う事は、此処が最終防衛ラインであり、我が軍団は、まんまとこの地へと誘い込まれたと言う事に成るだろう。」
夜の暗がりと射程圏外からの攻撃せいで、グリクス地方軍団の将兵等は、ハッキリとニホン軍たる自衛隊の姿を見て居ない者が多い。
しかも、敵対して相対する日本の兵器をまだ多くの者達が、直接目で見て居ないのである。
追撃部隊の軍団長と副団長らは、初めて見るニホン軍の兵器を見て、その見た事もない姿に畏怖を覚えるのだった。
「・・・・・では軍団長殿は、彼の敵に対して、どう為さるお積りで?」
「この場合、戦略的撤退が妥当なのだろうが、我らが栄えあるローラーナ帝国に最初から、その様な弱腰な戦い方は、決して許されない。」
「最初から軍が消滅する様な事態が待ち構えて居ると言う範例と同等の例えでの理由でもない限り、即時撤退と言うのは、決して有り得ない。」
「見た所、向こうも此方も重装甲型の機動兵器同士。」
「即ち同じ兵科同士成らば、戦って勝つか負けるかを決めねば成らん。」
「今までの戦いから察するのに、質の利は敵である向こう側に有利。」
「数の利はこちら側に有利と言う訳ですね・・・・・・・」
副軍団長は、これまでの戦いから得て居る情報から、日本側に質的な強さ有ると分析していた。
「そうだ。」
「さぁ、始めよう。真の強者たる者を決める戦を・・・・・」
「全軍に通達っ!角笛を鳴らしつつ、陣形を整え戦う準備を整えよっ!」
「はっ!!角笛を鳴らせえええええぇぇぇぇぇぇーーーーーーーっ!!!」
ボウウゥゥオオォォォォォオオオオォォーーーーッ!!ボウウゥゥオオォォォォォオオオオォォーーーーッ!!ボウウゥゥオオォォォォォオオオオォォーーーーッ!!
ボウウゥゥオオォォォォォオオオオォォーーーーッ!!ボウウゥゥオオォォォォォオオオオォォーーーーッ!!ボウウゥゥオオォォォォォオオオオォォーーーーッ!!
ボウウゥゥオオォォォォォオオオオォォーーーーッ!!ボウウゥゥオオォォォォォオオオオォォーーーーッ!!ボウウゥゥオオォォォォォオオオオォォーーーーッ!!
高らかに角笛の音が、朝焼けの中をブラキュリオス湖の水で冷やされている空気にて、ヒンヤリとしているローグリア平原で、その勇壮なる音色が鳴り響いて行く。
グリクス地方軍団の重機動師団と歩兵軍団は、軍団長の指示の元、陣形を整えつつ、目の前に居る敵との戦いへと備える。
その動きは整然として、見事な勇壮振りと迫力満点の姿と動きが見られて居た。
対する陸自側の指揮官は、椎名ひかる三佐である。
これが日本が地球でもこの世界でも最初に行った本格的な機甲兵器同士の初の戦いであると防衛省と自衛隊等での記録を始め、後世の数々の書物に載せられる事と成る戦いであった。
「やっぱり退いてはくれないわね・・・・・・」
「ですね。どうしますか?」
今回は本来の立ち位置である戦車隊の副隊長をして居て、椎名三佐の補佐もして居る冬眞友紀一射が砲塔の車長席口から顔を出しつつ、双眼鏡で陣形を整えて居るグリクス地方軍団追撃部隊を見詰めながら聞く。
「これだけ痛め付けても逃げないのは、統率が取れて居るか、それとも退くに退けない国家の政治体制的な事情が有ると見るべきね。」
「できれば、此処で退いてくれれば、此方は色々助かるのだけれど・・・・・・・」
「本当ですよ。」
「弾薬や燃料の費用もバカに成らないしね」と二人も呟いて居る。
それでも自衛隊が逃げないのは、この地域航路の確保と維持と言う国益と自分達の安全の確保と言う目的が有るからだ。
何も敵の勢力圏を奪うなんて考えは、今の所は、考えても居ないし、自衛隊の組織と日本の今の現状的な事情から出きないのであった。
成らばボコボコに彼らをノックアウトをして、勝ちを取るしかシベリナ連合と日本国の両者としては、生き残る術は無い。
それ故に、この紛争への参加である。
其処へ後方部隊からの通信が入る。
「こちら特科99HSP大隊、何時でも行けます。」
「特科FH70大隊も同じくです。」
「敵が西進してきた時点を待ってから、纏めて迎え撃つ。」
「あの方のアレを使う為にですね。」
「でもないと帰り道の弾と燃料が危ないのよね。」
ダバ派遣艦隊とグリクス地方軍団との戦いで備蓄の約4割ちょっとを使い切るとの見方を派遣されている自衛官幹部達はして居たのである。
それに加え、帰えりの襲撃に備えると成ると、この戦いでの弾薬を出きるだけ節約をする必要が有るのだった。
「まぁ、目当てにして居たあの子達は、先に水陸旅団の人達が使ってしまいましたからね。」
「ええ、籤引きとは言え、殲滅するならアセリナの子達の方が、人数が多いから助かったのだけれど・・・・・・」
「あたしじゃ、役不足?」
リナが椎名三佐が搭乗している10式戦車の真上でインカム式の携帯式無線機で二人の会話に割り込む形で冗談を言う。
「いいえ、威力が有り過ぎて使い時に困る以外は、数発連続して撃てるから貴女が便利と言えるわね。」
「けれど、難点な部分を敢えて言うのなら、私達が全力で逃げないと行けないのが難点と言えるわ。」
そう、前線部隊を除けば、特科大隊は後方20キロ離れてた所で待機して居るが、椎名3佐らは敵から1.5キロ付近で待ち受けて居るのだ。
アレの攻撃命令が下されれば、リナがアレの発動準備をして居る間に、前線に居る陸自車両の各社は、一斉に西へと転進しなければ成らないと言う過酷な条件の下での作戦を強いられるからだ。
サンダースレイブとエクスプロトンバスター。そのどちらも諸刃の剣の威力と欠点を誇った魔術なのだ。
「でも、一網打尽に出きるから楽でしょ?」
「だからなのよね・・・・・・」
「あははっ、それを言われるとあたしとしちゃ、痛いわね。」
「お二人供。敵の陣形が整った様です。」
「それでは・・・」
「お仕事の時間ですね。」
何か二人ともこの短い間で、随分と女性同士として意気投合して居るらしい。
それもある意味、性質の悪い性格のタイプをして居る人種同士としてである。
互いに不敵な笑みをして居る二人の姿が有った。
ドーンッ!ドーンッ!ドーンッ!ドーンッ!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!!ドン!ドン!
ボウウゥゥオオォォォォォオオオオォォーーーーッ!!ボウウゥゥオオォォォォォオオオオォォーーーーッ!!ボウウゥゥオオォォォォォオオオオォォーーーーッ!!
ボウウゥゥオオォォォォォオオオオォォーーーーッ!!ボウウゥゥオオォォォォォオオオオォォーーーーッ!!ボウウゥゥオオォォォォォオオオオォォーーーーッ!!
ボウウゥゥオオォォォォォオオオオォォーーーーッ!!ボウウゥゥオオォォォォォオオオオォォーーーーッ!!ボウウゥゥオオォォォォォオオオオォォーーーーッ!!
「来るわよっ!」
リナが向って来る敵を見つめる中、その動きを察して、敵の総攻撃を悟り、無線機で、その場に居る全自衛官らに開戦を告げるのであった。




