47話 第二次龍雲海沖海戦 4
ローラーナ帝国暦600年・アースティア暦1000年・西暦2030年・5月26日・午前9時15分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・ロートレア地方・ドラグナー皇国・首都・新王都・ニューサリヴァン市・ニューサリヴァン港・西側地区・ローラーナ帝国・第三方面軍・帝国東方制圧軍・ドラグナー皇国方面監査陸海軍共用駐留基地にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
作戦会議は続き、司会の進行を任されたネーレイは、更に話を続けて行く。
「わたしの配下の密偵達が、漁民に扮して漁船に乗り込ませ漁師として偵察活動をさせたり、外洋商船の船員に扮して、素知らぬふりをして二ホン領海内へとわざと入り込んで、二ホン国海上警備隊に捕まり、臨検を受ける事で搔き集めて得た情報では、ニホン国は島国であり、その他の国々も島国である事が判明して居る。」
「その場所は、先の龍雲海沖の海戦から推測さる方向から鑑みれば、真東か東北方面だと思われる。」
「其処で我らローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊は、このドラグナー皇国から龍雲海を経て東へと進み、ニホン本土が何処に在るのかを探る予定して居る。」
「一番に近いと目される地域は、二ホン国の離島諸島州たるオキナワ州である。」
「更にはリュウキュウ諸島とニホン本土から離れてるサツナン諸島なる群島、それにニホン国本土のキュウシュウ島の3つが、ドラグナー皇国から最も近い土地であると予想される。」
「ハッキリとした位置と距離、幾つの諸島で構成されて居るのかは、今の所は不明だが、我が第一外征艦隊は、持てる艦隊と軍勢の総力を以ってして、この何れか地域を発見し、一気呵成に上陸制圧し、二ホン国と未開の国家らが、その勢力を拡大する前に完膚なきまで叩いて置くっ!!」
「だがしかし、相手は島国である。島国へと攻め入るのは大変な労力と兵力を要する一大作戦である。」
「我が第一外征艦隊の総力を持ってすれば鎧袖一触と言いたいが、相手の戦力差が少しでも拮抗して居れば、作戦目標達成すると言うのは、そう簡単な事では無いだろう。」
「万が一、それが現時点で出来ぬ場合は、二ホン国列島の特定位置をローラーナ帝国本国に報せる。」
「これを作戦目標の第一とし、二ホン国制圧を第二目標すると閣下はお決めに成られた。」
「ギワザン閣下っ!!発言を宜しいでしょうか?」
将校の1人が立ち上がる。
「構わんっ!」
「はっ!閣下にしては、少しはがり手緩い気が致します。」
「我が第一外征艦隊の総力を以ってすれば、高が島国の一地方の3の島の州などは、あっと言う間に制圧出来るのでは無いのですか?」
「そうだ、そうだ」威勢の良い叫び声が飛び交って居た。
それもそうである。
イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊こと、第一外征艦隊の総勢は陸海空の戦艦を合わせて1500隻は有るのだ。
艦隊に所属する司令官クラスが乗り込んで居るのは、250メートルの陸海空の何れかの鋼鉄魔導戦艦に乗艦して居る。
100隻の竜母と600騎以上の飛竜隊と更に海賊艦隊が300隻に加え、30隻のドラグナー皇国軍の空挺魔導戦艦と一騎当千と謳われる3000人の聖龍騎士団も付いて居るし、掻き集めた艦隊は、全軍で2000隻を超えて居る。
その総兵力とは、全軍で凡そ12万人前後であった。
ヴァロニカも兵器扱い様な感じで、生ける伝説と成った彼女が味方に居るのだから、将校達が余計に強気に成って居るのだった。
ひょっとしたら彼らの脳裏には、日本の半分程度の国土を攻めて占領し、降伏させると言った未来図が、既に出来上がって居るかも知れない。
でも、その現実は違う。
陸海空自衛隊は強固で鉄壁の強さを誇って居るし、米軍や台湾軍に加えて、ロシア軍の援軍が来たら、先ず撲滅に遇うのは攻め手側である彼らと言える。
その現実を知った時には、もう遅いのだ。
逃げる間も無く、彼らは現代科学と現代戦術の業火に焼かれるか、海の藻屑と成り、それか爆散して、彼らの死体すら残らないだろう。
そして、最後はサメの餌と成るのが関の山。
やるだけ無駄なのたが、何でも不幸と言うのは、発生する前には常に楽観視されがちで、不幸な事に常に痛い目に遭って、初めて自覚が出きる物なのだ。
「貴様の言う通り、普段ならば、そうして居る。だが・・・・今回はそうは行かんのだっ!!」
「密偵の者等の報告でな。コヨミ皇国の万代市に造られた、ニホン軍の要塞に運ばれたと言う兵器・・・・それら全てが、丸で我が国の魔導戦艦の様だと言う報告して来て居るのだ。」とネーレイは補足説明をした。
「・・・・と言う訳だ。ネーレイの密偵らは貴重な情報を我らに齎した。」
「ニホンは恐らく、アディーレ・グレッサが率いるローラーナ帝国海軍東洋方面艦隊・第120艦隊との戦いで、知り得た情報とシベリナ地方王国連合同盟諸国に泣き付かれ、諸事情を聴き付けた事により、自国の防備を固めるべく。」
「コヨミ皇国を城壁とし、我らを迎え撃つか攻め入る準備をして居るのだろう。」
「二ホン国海軍艦隊の艦船が、相当数の数が、このユーラシナ大陸東側地方に向けての備えて配備されて居るとの情報も有るのだ。」
「そして、その備えも強固な物であると予想される。」
「其れならば、我が司令部は、今ニホンの防衛網に穴が有る筈と予想して考えて居る。」
「其処でだ。その隙を上手く突いて、ニホン本土を強襲すれば、如何に強力な軍と言えども打ち破れる。」
「それに例え失敗となっても何処が手薄で、どの方角にニホンの島が在るかも探れる。」
「どの道、我らに損が無いと言う訳なのだ。」
ローラーナ帝国の密偵網は、シベリナ各地で諜報活動して居る。
各国の漏れ聞える日本に関する情報の一部を彼らは掴んだらしい。
幾ら日本が自国に関する情報の漏れを徹底管理して居たとしても、人の口に戸は立てられない。
意外にも日本の沖縄などの地方名の情報は、漁民や商船の船長に扮して居る密偵の者らから齎されて居た。
そして、日本の情報を漏らしたと言う相手の者達と言うのは、海上保安庁の巡視船に乗る保安官達だった。
しかしながら、任務に邁進して居る海保安官を責めてはイケない。
彼らも職務上の都合により、仕方が無く情報が漏れて出てしまった事なのだ。
それは、職務質問や臨検らよる検査と調査をし、領海外へと退去させるのが彼らの職務上の任務だったからだ。
領海線の国境付近に近付く漁船や商船に対して、これ以上入らない様にと警告したり、漁船で漁をして居る漁民に色々と警告指示や退去を命じる時に、日本の何処を管轄している地名等をどうしても言ってしまう事が原因だった。
以外にも情報漏洩の大本は、大真面目に仕事をした結果と言うのだから、これは皮肉な結果だと言えた。
第二次龍雲海沖海戦の後に、海上保安庁では、常に情報漏洩が無い様にと、情報管理を徹底する様に通知が成される事に成る。
そして、偶然にも得られた日本に付いての数少ない情報を元に彼らは、日本の大まかな対帝国戦略を予想して居たのだった。
それにギワザンは、負け戦を想定しても居る大変に頭の切れる司令官だった。
如何なる司令官も自分と自軍の勝利を考えて行動し、戦うものなのだが、彼は他の司令官達とは違って居た。
いや、自分の首が飛ばない様に差配するのが、とても上手いと言える狡賢な思考を持って居た男だった。
「流石でありますな閣下。」
「これで彼の蛮族どもに報復してやれる。」
それに南西国藩の加古島市と万代藩の万代市でも通過して良い航路の位置を示したりして居ると、日本国政府側が幾ら徹底して日本の位置の情報を秘匿し、限定的な情報開示をしたとしてもだ、2ヶ月も有れば日本と交流の無いローラーナ帝国でも、凡その位置が特定されるかも知れないのだ。
日本はユーラシナ大陸諸国に対して、自国に関する情報を限定的な事しか開示しかして居ない。
東シナ海と龍雲海の国境付近は、海上自衛隊と海上保安庁が協力して警戒して居る。
先ず狙われるのは南西方面の島だろうと日本政府は予測して居る。
台湾政府にも、決して油断するなと、日本政府は警告をしても居た。
過去の戦術記録をコヨミ皇国の防衛省に当たる統合防人省内で、日本の防衛省と交援省の職員を派遣し、分析をした結果、大量の兵器と大軍を用いて制圧する作戦が殆んどだった。
資料の閲覧に当たった防衛省の自衛官らは、生半可な兵力と質の悪い兵器では、勝つのが難しいとも言って居た。
「先鋒の布陣をヴァロニカ殿下にお任せする。」
「分かった。(くっ、あくまで弾除けの盾と槍にして、我々を使い潰す気か・・・・・)」
「第二陣、ネーレイ。」
「はっ!!」
この艦隊の隊列布陣は、明らかに帝国軍人が、簡単に手柄を掠め取ろうとするのが、透けて見える所から、スカスカに見え見えな配置であると言えた。
「ビンラーとデビッドは、全艦隊の左右に布陣。」
「「ははっ!!」」
「竜母艦隊を第三陣と本隊と揚陸艦隊及び護衛駆逐艦隊と巡洋艦隊を後方に配置する。」
「海賊艦隊は、龍雲海で別方面からの陽動とかく乱に徹する事とする。」
「ニホン領と見られる島を発見し、攻め込んだ先での行動は、貴様らの好きにして構わんっ!!」
ギワザンは略奪の許可を出した。
詰まり、日本国内で手にした財貨は、好きにしろと言ったのである。
この世界の海賊は、我々が物語で描いて居る海賊と然程変わりない。
組織形態が我々の馴染みのある存在で言えばテロリストに近いやり方だろうと言える。
ただ、男主導の海賊集団と女主導の海賊集団では少しだけ違う。
男海賊団は、荒くれ者で襲った土地の財貨を奪い、男は奴隷か殺すしか無く。
子供は召使から始めて、男は海賊にするか奴隷商に売りつけるのが相場で、女は生涯奴隷にするか、精神が病んだ状態まで調教した女を妻にする者も居る。
そう、男性海賊達は、女を下と見て居る事が多いが、ぶっちゃけ力が有るか色気が強い女には滅法弱い欠点が有る者が多いと言えた。
男の海賊社会と言うのは、金と力だけの世界だった。
女海賊団はその逆で、社会から弾きだされたり、戦火で身寄りが無かったり、種族差別された女性が多く集まった居た。
ある意味、自立した女性達による武装組織と言えるだろう。
本拠地と言える隠れ家の場所を秘匿し、平和な町にも隠れ住んで情報を集め、女と言う武器や立場を有効に使って、獲物を狩ったりして居る集団だった。
変装して居る姿が宿屋の女将だっり、娼婦の女だっり、貴族の夫人だったり、教会の神官だっりとして居る。
その中には、年端のいかない子供も海賊見習いか、彼女達の子供だったりするのだ。
表と裏の顔を上手く使い分けて密かに獲物に近付いて、これ等を狩る。
稀に今回のような荒稼ぎもするのが女海賊団の実情なのだった。
「久し振りの大稼ぎさね。たっぷりと働かせて貰うさっ!!」
「それでは解散とする。会議は以上だ、各々準備に入れ。」
会議は解散となり、一部の将校者達は大勝利と豪語して居た。
だが、1人だけは違って居た。
ヴァロニカは、あの日、ボロボロと成って逃げ帰ってきて居たローラーナ帝国海軍・東洋方面艦隊・第120艦隊を目の当たりにして居た。
(この連中は、実際に敗戦した艦隊を見て居ないっ!!)
(如何して、こんなにも楽観視が出きるんだっ!!!)
彼女は出きるだけ部下達を生きて連れ帰る為に、荒ぼっくも、少々無茶をしようと決意をするのであった。




