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異世界の国々が驚いた異界国家日本は本当にすごーいデス~ネ。  作者: 伊達教宗
第5章 科学(リアル)と魔術(ファンタジー)が交差する時、歴史(ものがたり)は動きだす
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46話 第二次龍雲海沖海戦 3

 ローラーナ帝国暦600年・アースティア暦1000年・西暦2030年・5月26日・午前8時35分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・ロートレア地方・ドラグナー皇国(おうこく)・首都・新王都・ニューサリヴァン市・ニューサリヴァン港・西側地区・ローラーナ帝国・第三方面軍・帝国東方制圧軍・ドラグナー皇国方面監査陸海軍共用駐留基地にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




ヴァロニカがレナと別れ、朝の身支度を済ませつつ、ニューロートレア城を出て、ニューサリヴァン市内へと入った頃には、午前8時を過ぎていた。


 レナとのやり取りにも時間が掛かった事も在るが、ニューロートレア城からニューサリヴァン市内を徒歩で、歩き抜けるのにも手間が掛かるからでもある。


 シベ帝戦争での教訓を生かしつつも、ローラーナ帝国・第三方面軍・帝国東方制圧軍司令部とローラーナ帝国領・シャッポロ属州領統治府から睨まれ無い程度に防備を固めて居る為、城下へと出掛けるのにも、とても苦労をしてしまって居るドラグナー皇家と政府関係者なのであった。


 其処からヴァロニカは、ニューサリヴァン市の西側に在る港、ニューサリヴァン港へと出掛けて行く。



其処にはデカデカと敷地を使って庭付きの建物と倉庫街。



それに兵士庁舎、造船修理ドッグ等の軍事施設が立ち並んで居る。



 この敷地を我が物顔で使って居るのが、ローラーナ帝国・第三方面軍・帝国東方制圧軍旗下されて居ると言うローラーナ帝国・第三方面軍・帝国東方制圧軍・ドラグナー皇国方面監査陸海軍共用駐留基地に、彼女はやって来たのであった。


 ドラグナー皇国は、10年前のシベ帝戦争の敗戦により、ローラーナ帝国・第三方面軍・帝国東方制圧軍の大軍と戦い、次々と主要都市や重要な大要塞を等を陥落されてしまい、更には王都と王城を奇襲攻撃に遭って敗戦に陥って居た。




前線で一騎当千の強さと働きを見せていたヴァロニカは、その戦でも大軍相手に大立ち回りの働き振りを見せて居たが、溺愛して居る妹と両親が人質に取られ、兄であるミリアルからの降伏せよとの伝令が来ると、彼女は泣く泣く帝国に降伏したのである。



愛騎である聖龍のレッドアイゼンも、その時ばかりは、主の悲痛を感じ取って悲しい声で吼えたと言う。



あれから10年が経った。



 反帝国同盟諸国からは裏切り者、冷酷な吸血姫、冷血無比の魔女など揶揄されてきた彼女。


 それは帝国に対して本音を隠す為の建前であり、鉄仮面の様な表情をしながら、かつての同盟諸国らの国々に刃を向けて来たのだった。



 そして、敗戦以来、溺愛して居た妹のアルビィは、笑わなくなってしまって居た。



 全ての原因は、この終わらないアースティア世界大戦の・・・・・いやっ!帝国の飽くなき世界統一戦争のせいだろう。



レナが連れて来られた時は、柔らかな表情を見せたが、一瞬の事だった。



 この終わらない戦争・謀略・侵略と言う名のワルツの曲を何れかの勢力が、鳴り止ませない事には、犠牲者の悲しい日々は決して終わらないのだ。



(近い将来・・・・・奴らに反旗を翻せる好機が有ったとしても、今はまだ、動くその時じゃない。)



 彼女の帝国に対しての本音はと言うと、飼い殺しにされるのは我慢ならない事だった。


 だが、家族を守る為に、たった一人、反帝国の陣営に居る親友や、その妹達に剣を向けなければ成らない不幸が彼女の現実だった。


 だが、今は実の妹さえ無事で居れば良いとしか言えない悔しさと辛さと情けなさが、彼女を非常な姫将軍の表情にさせて居たのだった。



海風が吹き荒れる中をヴァロニカは、正門を潜って行く。



 正門を警備している兵士が胸に手を当てる敬礼を取る。



 以下に属国の姫将軍と言えども、ヴァロニカの武勇は、アースティア世界中の敵味方の諸外国らに広く知られて居る。



 まともな頭を持った兵士や将官らは、彼女を無下に扱う等とは、それは恐ろしく、怖くて出きる筈もない。


 唯一、例外なのが、ヴァロニカの覇気を感じ取るのが鈍感なニブチンなおバカさんが、時より痛い目に遭う位だろう。



無駄に立派な庭を抜けて本館の建物に入ると、帝国海軍兵の案内を受けて、大会議室に通される。



 大会議室の中に入ったヴァロニカは突然、声を掛けられた。




「おやおや、随分と遅いじゃないかお姫様。」



皮肉めいた言葉で声を掛けたのはネーレイ・マモー・ハンズ。


 年齢は30歳で、帝国本土の貧困スラム街の出身で、貧乏から這い上がる為に軍人と成り、どんな汚い手を使っても勝ち上がって来た非情な性格を持った女だ。



 今はローラーナ帝国海軍の第一外征艦隊・第一艦隊司令官で、階級は大佐。



 本来なら王族で姫将軍のヴァロニカの方が身分も階級も上なのだが、そう言った高貴な血族や生まれながらの金持ちの家柄と言ったモノが、気に食わないネーレイは、時折出会う属国の王侯貴族の者らを当たり散らし、挑発して罵って居るのだった。



 それに加え、ローラーナ帝国軍の方が、帝国の同盟国軍や属国軍よりも上と言う差別的な考えで、その思想はまるで宇宙移民者を弾圧して居る地球統一政府組織と同じ思想とも言えるだろう。



「・・・・・何時もの監視の仕事だ。それよりもネーレイ、私の素行をとやかく言うよりも、お前の部下達の素行と規律を如何にかしたら如何なんだ?」 



「ふんっ!」



この位は何時もの事だ。


 ネーレイは、特にヴァロニカが気に入らないらしい。


 高貴な育ちに加え、世界最強と言われて居る武勇にもだ。



 それにネーレイ配下の兵士や一部の士官らは、スラム等の貧困上がりの荒くれ者達が多い。


 そのせいで略奪・強姦・虐殺行為を楽しむ悪癖な風潮が有る。



 これはローラーナ帝国軍や一部の貴族諸侯には、良く見られる帝国の闇の部分でもある。



 無論、それが例え女であってもだ。


 それが女性で有っても、悪癖が悪ければ、略奪・強姦・虐殺行為を楽しむ悪癖な風潮が有るのが、このアースティアと言う異世界である。


 この異世界では、男女平等に力と能力さえ有れば、強いと言う弱肉強食な世界でも在るからであった。



「久し振りだねぇ、ヴァロニカ。」



「・・・・貴様か・・・・・・アルビダ。」



「相変わらずの仏頂面だねぇ・・・・・まあ良いさね、今回はチェドウ・ギワザン総司令官閣下が、直々にお声を掛けられたのさ。」



彼女はアルビダ・ラッグナス。


 悪魔族と人間族のハーフ部族である魔人族の生まれで、年齢は不詳である。



 ・・・・と言うか魔族と言う種族は、突然、成長が早まったり、遅かったりするので、ハッキリとした年齢が分からない事が多い。



 ヴァロニカと出会ったアルビダも12年前は10代後半の容姿をして居た。


 今は長い紫の色の髪と斬り傷が目立つが、人間で言えば見た目が20代の半ばくらいに見える女盛りで、妖艶な雰囲気を醸し出して居る女が椅子に座って居た。




魔族は600年前に、この世界に転移して来た魔族帝国が、この世界の南方の極地に転移してきた種族で、邪神に操られた者達でもあった。



 ローラーナ帝国の前身であるローラーナ王国が中心となって邪神が討伐されると、魔族は邪神から解放された。



 その後は、全世界の国家と講和し、鎖国的な政策を取り続けて居る。



 また、一部の魔族は、邪神戦争の間に軍として侵攻する。


 戦後は、其のまま帰国もせずに居着いた別の大陸の土地に、魔族帝国から独立した国家の建国や部族国などを立ち上げて、独自の道を歩む者達も居たのだった。



 また、アルビダの様に故国を持たない流れ者や奴隷に身を落とす者も居るのである。



そんなアルビダは、ローラーナ帝国政府や上層部高官らから私略船免状と言う免状を与えられた、紅き火蜥蜴海賊団と言う海賊一家の女頭領だ。


 私略船免状とは、帝国が指定した強力な海賊に対して、略奪等の免状を与える代わりに海軍の手伝いをさせ、奪った財貨を一定額の税金として納めさせる代わりに、犯罪者としての指名手配や逮捕を免除する制度だ。



 この免状を持った海賊は、襲った船から財宝から人材まで好きに出きるので、大喜びでローラーナ帝国の下で働き、帝国は膨らんだ帝国領海の確保に即応できる船を海賊船で賄う事が出きていた。




「本当なら12年前の時に、カーリーナ姉さんの仇を今すぐにも取りたい気持ちは変わらない。」


「だけどねぇ、アンタとドラグナー皇国には受けた借りは10年前に返したから、もう恨み言は無いさね。」



二人には因縁があった。


 12年前に周辺海域で暴け回る海賊、紅き火蜥蜴海賊団に対して3カ国で討伐艦隊を結成して戦った時である。



 ヴァロニカは親友であるレナとマーヤと共に海賊退治をした事が有った。


その時に、紅き火蜥蜴海賊団の先代頭領のカーリーナ・ラドスをヴァロニカが討ち取って居たのである。



 カーリーナの遺体を持ち去りながら逃げ帰ったアルビダは、何時か仇を取ると決めて居た。


それが10年前のローラーナ帝国・第三方面軍・帝国東方制圧軍と第三方面軍総司令官・ゾイザル・セイダル・ローラーナによるシベ帝戦争とドラグナー皇国攻略戦であった。


 海賊達は東側から攻め入り、ドラグナー皇国の港周辺での陽動に徹して居た。



 その甲斐も有ってか、首都が手薄と成った所を帝国が攻め入って制圧したと言う訳だった。



スッキリした顔立ちのアルビダの横には遠縁の親族と言われて居る女が立っていた。


 綺麗な宝石が埋め込まれた装飾品を身に付けていて、その女はアルビダの義理の姉と称して居て、今は副官として、彼女の傍らに立って居た。


 その女がヴァロニカに見据えて、ニッコリと笑って居るのだった。


 他にはネーレイの配下でビンラー・デインチャーとデビッド・ラスビデと言う荒くれ者達が立って居た。


 その姿格好と言うのは、世紀末の漫画の雑魚キャラかボスキャラみたいな頭と服装をした男がネーレイ近くに後ろに控えて居る。


 もし・・・彼らの姿を見た日本人は、戦闘時には、刃物を高らかに掲げたり、刃物を舐めたりしながら、ヒャッハーと叫ぶかも知れない姿が、思わず浮かんでしまうかも知れない格好だった。


 他にも各艦隊の司令官や主だった戦艦の艦長が控えて居る。



 属国の姫将軍たるヴァロニカは、入り口の近くに座る。


 これは明らかに差別的な席順であるのは見れば見るほどと言えるだろう。


 属国の姫将軍たるヴァロニカは、帝国の将校や旗下の海賊たちにより身分が低く見られ居る証拠であった。


それでもヴァロニカは、素知らぬふりして案内された椅子に座る。


主だった将校が会議室に集まり揃うと、縦に長い会議室の一番奥の席に鎮座している所に、この部屋に集まるローラーナ帝国所属の中で、一番に位の高そうな男が立ち上がり発言を始めた。



「皆、集まった様だな。」


「それではこれより東方方面に突如として出現したと言うニホンなる新国家と、二ホンに与するとされて居る連合国に対する威力偵察及び離島制圧作戦の作戦会議を始める。」


「ネーレイっ!!!」


「はっ!!例の書類を配れっ!!!」


「「「「「ははっ!!」」」」」


会議を取り仕切る男の名は、シドウ・ギワザンと言って、ローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊。


 通称名・ローラーナ帝国海軍・第一外征艦隊の総司令官で、階級は准将である。


 その性格と人となりは、物凄い野心家で、出世の為なら何でもする卑劣感な男であった。



 ネーレイは、ギワザンに促されて立ち上がり、近くの兵士らに書類を居並ぶ軍の幹部達に、配る様に命じた。



第一外征艦隊は、その名の通り、帝国海軍を中心とした外征連合艦隊で、正規の海軍艦隊とは別の艦隊である。



 主な任務は、敵国への侵攻・かく乱・焦土戦・威力偵察等である。


 また定期的な敵対国への攻撃や戦闘が激しい地域へ物資の輸送任務も含まれて居た。


 外征艦隊は帝国軍の先方隊でも有り、汚れ仕事もして居る連中でも有るのだ。




「ローラーナ帝国・第三方面軍・帝国東方制圧軍内に措いて、そして我が外征艦隊内でも、先のローラーナ帝国海軍・東洋方面艦隊・第120艦隊の敗戦に付いては、既に多くの者が聞き及んで居るだろう。」



「そろそろ本国や各地の軍団司令部にも、その報せが届く頃合いだろう。」


「ギワザン閣下も・・・偶々、東方方面に物資と兵の輸送の護衛任務で、この地を訪れなければ知らぬ出来事でもあった。」


「其処でギワザン閣下は、ニホンとか言う謎の国家に威力偵察を兼ねた報復攻撃を慣行をすると決められた。」




「上手く行けば、ニホン国の領土を掠め取れるかも知れない。」


「「「「「おおっ!!」」」」」


会議に参加して居る将校達からは「おおっ!!」と言う歓声の声が響き渡る。



 この第一外征艦隊がシベリナ方面に来て居るのは、本当に偶々な事であった。


 この世界には大陸間を縦横無尽に動き回れる大河であるパイプ・ライン大河が流れて居る。


 その大河は、何れかの大河に繋がって居て、自由に船で行き来が出きるのである。



 魔導空挺艦や陸上魔導艦と言う船も存在するが、障害物を気にせず移動が出来て移動航路に比較的自由が有るのは水上艦である。


 また魔導空挺艦は、奇襲攻撃のリスクが孕んでおり、安全航路を通るのが常識とされて居た。


 そして、帝国の制海権や制空権の広さは広大で有るが、空飛ぶ亜人等が時より空からの奇襲攻撃を仕掛ける事も有るので、帝国の取っては不安定な空域と言えた。



(そうか、ローラーナ帝国政府上層部やローラーナ帝国領・シャッポロ属州領総督府。それにローラーナ帝国・第三方面軍・帝国東方制圧軍なんかが、こんなにも早く、ニホン国とか言う国に、報復攻撃をしようとしたのは、ギワザンの考えなのか。)


(奴は野心家だ、新たな新国家発見とその一部の領土を勝ち取れば、皇帝からの覚えもめでたいし、敗れても国土位置を特定したと言う偵察報告と言う名の手柄が出きる。)



(どちらに転んでも、奴には損が無いと言う事か?)


(それに我が国の聖龍騎士団も居るのだ。如何にニホン軍が優れた兵器を有して居たとしても、相手に少しでも手傷を負わせれば、アースティアの世界中に向けて、勝った勝ったと喧伝して周れると言う事にも出きると言う事なのだろうが・・・・・・・そんな目論見の為に、この私と我が国も随分と安く、舐めて見られたものだな。)



 ヴァロニカは、冷静に会議の動向を分析して居た。



 自分が利用される事と帝国の手痛い敗戦の後の急な東方への遠征、その動きの裏には、帝国内の派閥勢力争いが有る様に見て取れて居た。


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