アースティア大戦史・歴史紀行・第30回
第二次龍雲海沖海戦を起こしたローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊の動きに付いても語って置きたいと思います。
アディーレ・グレッサ辺境侯爵艦隊司令官(少将)が率いる辺境地方艦隊たるローラーナ帝国海軍東洋方面艦隊・第120艦隊が日本海軍艦隊と戦って破れたと言う事情を知った総司令官・シドウ・ギワザン。
彼は、旗下の艦隊であるイースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊の主任務、定期的周回警戒任務と威力偵察・・・・・・詰まりは、敵国への侵攻・かく乱・焦土戦・威力偵察。
又は敵対国への攻撃や戦闘が激しい地域へ物資の輸送任務も含まれて居り、この外征艦隊は帝国軍の先方隊でも有り、汚れ仕事もしている連中でも有り、攻め入った先での略奪や焦土撲滅戦闘の惨状は目に余るものが在ると言う記録が残って居ます。
彼は第二次龍雲海沖海戦に措いて、念入りに日本国への偵察や情報収集をして居たとの記録が残って居り、日本国と言う国家が、600年ぶりに巻き起こった転移災害により、異世界から現れた新興国である事を突き止めたのは、物凄い野心家で、出世の為なら何でもする卑劣感な男と言う定評があるの当時に、艦隊司令官長官を担う准将と言う地位にまで登り摘めた実力者である事を物語って居ると言えるでしょう。
彼が日本国侵攻作戦前に行われた作戦会議での議事録が残って居り、それは以下の通りであったようです。
「先のローラーナ帝国海軍・東洋方面艦隊・第120艦隊の敗戦に付いては、既に多くの者が聞き及んで居るだろう。」
「そろそろ本国や各地の軍団司令部にも、その報せが届く頃合いだ。」
「ギワザン閣下も偶々、東方方面に物資と兵の輸送の護衛任務で、この地を訪れなければ知らぬ出来事であった。」
「其処でギワザン閣下は、ニホンとか言う謎の国家に威力偵察を兼ねた報復攻撃を慣行をすると決められた。」
「上手く行けば、ニホン国の領土を掠め取れるかも知れない。」
会議に参加して居る将校達からは「おおっ」と言う歓声の声が響き渡る。
の第一外征艦隊がシベリナ方面に来て居るのは、本当に偶々な事であった。
この世界には大陸間を縦横無尽に動き回れる大河であるパイプ・ライン大河が流れて居る。
その大河は、何れかの大河に繋がって居て、自由に船で行き来が出きるのである。
魔導空挺艦や陸上魔導艦と言う船も存在するが、障害物を気にせず移動が出来て移動航路に比較的自由が有るのは水上艦である。
また魔導空挺艦は、奇襲攻撃のリスクが孕んでおり、安全航路を通るのが常識とされて居た。
そして、帝国の制海権や制空権の広さは広大で有るが、空飛ぶ亜人等が時より空からの奇襲攻撃を仕掛ける事も有るので、帝国の取っては不安定な空域と言えた。
「わたしの配下の密偵達が漁船に乗り込み漁民や外洋商船の船員に扮して搔き集めた情報では、ニホン国は島国であり、その他の国々も島国であると判明して居る。」
「その場所は、龍雲海沖の海戦から推測さる方向から、真東か東北方面だと思われる。」
「其処で我らローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊は、このドラグナー皇国から龍雲海を経て東へと進み、ニホン本土が何処に在るのかを探る。」
「一番に近いとされる地域は、二ホン国の離島州たるオキナワ州である。」
「更にはリュウキュウ諸島とニホン本土から離れてるサツナン諸島なる群島、それにニホン国本土のキュウシュウ島の3つが、ドラグナー皇国から最も近い土地であると予想される。」
「ハッキリとした位置と距離、幾つの諸島で構成されて居るのかは、今の所は不明だが、我が第一外征艦隊は、総力を持ってして、この何れか地域を発見し、一気呵成に上陸制圧し、二ホン国と未開の国家らが、その勢力を拡大する前に完膚なきまで叩いて置くっ!!」
「だがしかし、相手は島国である。島国へと攻め入るのは大変な労力と兵力を要する一大作戦である。」
「我が第一外征艦隊の総力を持ってすれば鎧袖一触と言いたいが、相手の戦力差が少しでも拮抗して居れば、簡単では無いだろう。」
「万が一、それが現時点で出来ぬ場合は、二ホン国列島の特定位置をローラーナ帝国本国に報せる。」
「これを作戦目標の第一とし、二ホン国制圧を第二目標すると閣下はお決めに成られた。」と言った議事録が残って居ます。
先にも述べた通り、この時点でギワザンは、沖縄県の存在と所在地を掴んで居たと言う事に成ります。
彼が掴んだ日本国に付いての国土領情報は、沖縄県・琉球諸島と鹿児島県・薩南諸島。
そして、日本本土である本州と言う名前や九州島地方に付いての情報を手にして居たようです。
これに付いて、第二龍雲海沖海戦を委託担当した交援省では、第一外征艦隊が日本本土への侵攻を企図した作戦を展開した背景に心当たりが無いかと交援省大臣である高見竜史は、海上保安庁に問い合わせを米内政光・海保課にして貰いました。
それから15分後の事です。
合計で4千件の木造の漁船・商船・連絡船や個人の民間船による、日本国領海域への侵入案件が有ったらしく。
それは単なる知らないでしたという 理由で、領海外への退去と言う形で、不起訴として済ませて居たそうです。
ローラーナ帝国は民間船に偽装して、日本国の領海内へとわざと入り込み、海保巡視船による警備網にわざと引っ掛かる事によって、警備や防衛状況から本土の位置を割り出そうとして居た事が、窺い知る事が出来ます。
大量の密偵を動員して日本の位置を特定し、日本国に攻め掛かって来ようとして居るらしい事を知った竜史や交援省課長や派遣官僚らは、アナログな手口を用いての方法では有るが、単純な方法故に労力以外のコストは掛からない上に、失う者は何もないと言うシンプルな方法を用いて来た事は、やられたと言った想いに成ったそうです。
更にギワザンたちの会議事録が残って居ます。
「密偵の者等の報告でな。コヨミ皇国の万代市に造られたニホン軍の要塞に運ばれたと言う兵器・・・・それら全てが、丸で我が国の魔導戦艦の様だと報告して居るのだ。」
「と言う訳だ。ネーレイの密偵らは貴重な情報を我らに齎した。」
「ニホンは恐らく、アディーレ・グレッサが率いるローラーナ帝国海軍東洋方面艦隊・第120艦隊との戦いで得た情報とシベリナ地方王国連合同盟諸国に泣き付かれ、諸事情を聴き付けた事により、自国の防備を固めるべく。」
「コヨミ皇国を城壁とし、我らを迎え撃つか攻め入る準備をして居るのだろう。」
「戦艦の艦隊も相当数がこの大陸に向けての備えて居るとの情報も有るのだ。そして、その備えも強固だと予想される。」
「其れならば、今ニホンの防衛網に穴が有る筈と我が艦隊司令部は、予想して考えて居る。」
「其処でだ。その隙を上手く突いて、ニホン本土を強襲すれば、如何に強力な軍と言えども打ち破れる。」
「それに例え失敗となっても何処が手薄で、どの方角にニホンの島が在るかも探れる。」
「どの道、我らに損が無いと言う訳なのだ。」
ローラーナ帝国の密偵網は、シベリナ各地を含めて、アースティア世界中で諜報活動して居ました。
そんな中で、現れたばかりの新興国である日本国。
その各国の漏れ聞える日本に関する情報の一部を彼らは掴み始めた様なのです。
幾ら日本が自国に関する情報の漏れを徹底管理して居たとしても、人の口に戸は立てられません。
ローラーナ帝国の密偵達に日本国の位置情報を含めた地名などの情報が漏れてしまった原因として、意外にも日本の沖縄などの地方名の情報は、漁民や商船の船長に扮して居る密偵の者に自覚なく喋ってしまった事が挙げられます。
日常生活でも、勧誘電話に措いて、うっかり個人情報を喋ってしまう事が有りますが、任務に邁進して居る海保安官たちらも、業務上必要な事を喋って居るだけでも、情報漏洩をしてしまう事に成ってしまうのは、皮肉としか言い様が無いのでした。
第二次龍雲海沖海戦の後に、海上保安庁では、常に情報漏洩が無い様にと、情報管理を徹底する様に通知が成される事に成るのです。
ギワザンは以下の陣立てを命じ、日本国への侵攻を命じました。
「先鋒の布陣をヴァロニカ殿下にお任せする。」
「分かった。(くっ、あくまで弾除けの盾と槍にして、我々を使い潰す気か・・・・・)」
「第二陣、ネーレイ。」
「はっ。」
この艦隊の隊列布陣は、明らかに帝国軍人が、簡単に手柄を掠め取ろうとするのが、透けて見える所から、スカスカに見え見えな配置であると言えるでしょう。
「ビンラーとデビッドは、全艦隊の左右に布陣。」
「「ははっ!!」」
「竜母艦隊を第三陣と本隊と揚陸艦隊及び護衛駆逐艦隊と巡洋艦隊を後方に配置する。」
「海賊艦隊は、龍雲海で別方面からの陽動とかく乱に徹する事とする。」
それにギワザンは、旗下に在る艦隊全てに、日本国領内での私有財産に関する略奪の許可を出したそうです。
詰まり、日本国内で手にした財貨は、好きにしろと言ったのでした。
この会議に参加したドラグナー皇国軍・レッドブラッドアイゼン聖龍騎士団空挺艦隊の司令官であり、ドラグナー皇国第一皇女たるヴァロニカは、以下の回顧録で、その時の様子を語って居ます。
(そうか、帝国がこんなにも早くニホン国とか言う国に、報復攻撃をしようとしたのは、ギワザンの考えなのか?)
(奴は野心家だ、新たな新国家発見とその一部の領土を勝ち取れば、皇帝からの覚えもめでたいし、敗れても国土位置を特定したと言う偵察報告と言う名の手柄が出きる。)
(どちらに転んでも、奴には損が無いと言う事か。)
(それに我が国の聖龍騎士団も居るのだ。如何にニホン軍が優れた兵器を有して居たとしても、相手に少しでも手傷を負わせれば、勝った勝ったと喧伝して周れると言う事にも出きる・・・・私と我が国も随分と安く、舐めて見られたものだ。)
それにヴァロニカは、あの日、ボロボロと成って逃げ帰ってきて居たローラーナ帝国海軍・東洋方面艦隊・第120艦隊を目の当たりにして居ます。
(この連中は、実際に敗戦した艦隊を見て居ないっ!!)
(どうして、こんなにも楽観視が出きるんだっ!!!)
そんな楽観視して居る連中を見ていたヴァロニカは、出きるだけ部下達を生きて連れ帰る為に、荒ぼっくとも少々無茶をしようと決意をしたと語って居ます。




