順番
日曜の午後、とくに予定もなく暇を持て余していた男は、読み終えた雑誌を手に取りパラパラとめくる。そこには最新のファッションや家電製品の紹介記事が載っていたが、既に目を通してしまっていた男の興味を引く事はない。
雑誌をめくりながら男はふと、知り合いから聞いた小説投稿サイトの存在を思い出し、取り出したスマートフォンでサイトを覗いてみる事にした。
男が覗いたサイト、『小説家になろう』は投稿作品数が長編、短編を合わせ三十万作品、利用登録者数に至っては五十万人を越える小説投稿サイトであり、小説ジャンルもSF、ファンタジー、恋愛、ホラー、推理と多岐に渡る。
男はその中の一つから適当に選んだ、ある作家の書いた掌編小説をいくつか読んでみる事にした。そこにはスーパータワーマンションでの話や、死神と男のやり取りを描いた話が掲載されていた。いくつか読み進めたところで、
「次はお前だ。」
と、誰かに言われた気がして、部屋の中を見回すが、男以外その部屋には誰もいない。その時、来客を知らせるインターフォンが鳴り、何故だか男には、これから自分の身に何かが起こる気がしてならないのだった…。