見てる。
4月からの新生活にもやっと慣れ、今は勉強にバイトと充実した毎日を送っている。
でも、最近気になることがある…。
「はぁ…。眠れない」
真夜中の自分の部屋で俺はそうつぶやいた。
時計を見る。
今の時刻は深夜2時だ。
ここ数日間、なかなか眠りにつけない。
体は疲れているはずなのに…だ。
寝る姿勢を変えてみる。
その時だ。
窓際のカーテンの隙間から誰かの視線を強烈に感じた。
誰かが俺を見ている…。
俺は視線を感じるカーテンの隙間を見ようとした。
ダメだ。体が動かない。金縛りだ。
「う…。うぁ…」
叫ぼうと思っても声がうまくでない。
いったい誰なんだ……。そもそもここは5階の部屋だぞ。どうやって外のベランダまで来たんだ??
そんな言葉が頭をよぎる。
体が恐怖で小刻みに震える。
「は……。はぁ…はぁ…」
息がうまくできない。金縛りのせいだろうか。
それから長い時間が過ぎたような気がする。
気がつくと朝になっていた。
次の日も昨日と同じく眠りにつけない。
目を閉じても脳は元気に活動しているといった感じだ。
時計を見てみる。
今、ちょうど深夜2時だ。
喉が乾いたのでお茶を飲もうとしたまさにその時だった。
見てる。
見てる。
見てる。
見ている!!
誰かがまたカーテンの隙間から俺を見ている…!!
でも、今日は昨日と違い金縛りにはならなかった。
俺は勇気を振り絞ってカーテンの隙間を見た。
「あ…。あぁ…」
恐怖で声がうまくでない。
髪の長い女性が俺を見ている
目だけが異様に大きい。
月明かりに照らされたその大きな目が俺をにらんでいる。
間違いなく誰かがそこにいる。
その時ある異変に気づく。
女性の目線は俺の少し下を見ているようなのだ。
そう、ベッドの下だ。
気になった俺はベッドの下を見た。
ベッドの下に誰かいた。