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昼休憩の時間です

今回は大変短いです、申し訳ありません。

 ジーナに引きずられながらギルドを後にしたハイネは、エルフの里にある小川に来ていた。

 里の中にある飲食店で弁当を購入して昼食を食べにやって来たのだ。


「おおー、いいねここ」


 そういって小川のすぐそばに腰掛けるハイネ、その横ではすでに座ったジーナが弁当を開いている。

 ハイネも自分の弁当を開いて食事を始める。


「自然に囲まれた里って落ち着くな」


 顔を綻ばせながら辺りを見渡す、森の中の里なので大小さまざまな木々や、小鳥のさえずり、小川の流れる音、自然の中での昼食は非常に心落ち着く環境だった。


「ハイネの世界ではこういった場所はないの?」


 もっきゅもっきゅとご飯を食べていたジーナがハイネのそんな姿をみて問いかける。


「もちろん場所によってはあるけど、普段はもっと賑やかというか、うるさい場所だったから…落ち着くようなことは無かったかな」


 元の世界で学生であるハイネは、友達との学校生活を楽しむ普通の高校生なので、こういった自然の中での昼食など普段はありえない、夏休みなどに田舎の祖父の所にしごかれに行った時くらいの物だった。


「うるさいって城下町みたいなところ?」


「うーん、活気があるってことじゃなくって…こっちの世界にあるかわからないけど、学校ってところに通ってるからね」


「聞いたことはある、騎士になるために勉強するところでしょ?それじゃあハイネは貴族の息子?」


「おうふ、そうなっちゃいますか…貴族なんかじゃないよ。普通の一般家庭だよ」


 こちらの世界(アルフィミリア)では主に、王国騎士になるための肉体作りや一般教養、魔導師と呼ばれる魔法使いになるための魔法に精通した学科など、自身の目標に向けた勉強を行うためにある。


 俗にいう士官学校のような物で誰でも入れる訳ではなく、素質が無いと入学することも出来ない。その反面、学校を卒業すると非常に大きなステータスとなり将来が約束されるようなものなのである。


「俺の学校は体を動かすのが得意な奴等ばかりだったから、似ている所はあるけど、命の危険は無かったからね」


「ハイネのいたところは安全なんだ」


 スポーツ推薦学校であったので学校を卒業した後は、プロや指導者、その道の経営者になったりするのが殆どであるので、確かに将来は約束されているようなものだった。

 やはりジーナとしても異世界の事には興味があるようで、学校についてあれこれ質問をする。


「普段はその学校でどんなことをするの?」


「基本的には勉強だね。計算や語学に、歴史や物理と色々あるね」


「勉強は嫌い」


「あっはっは!そりゃそうだ、俺も大嫌いだよ」


 ジーナはムルトリスやシエル達からこの世界に関する一般知識を学んでいる。文字の読み書きや簡単な計算も出来るが、礼儀作法や交渉などこの世界で必要になるような事がかなり苦手であった。


「嫌いなのにそこに行くの?」


「ん~、勉強以外にもスポーツしたり、友達と色々と馬鹿な事したりするから案外楽しいものだよ」


 そう言って何かを思い出しながら楽しそうにするハイネを羨ましそうに見ていたジーナが弁当を食べ終える。


「そうなんだ、いいなぁ学校…行ってみたい」


「そうだね、普通の学校とか作れたらいいんだけどね」


 現状アルフィミリアでは普通の学校を作っても通う事は難しい、王都にある士官学校も結局は国に仕える為のものであったり、貴族の体裁であったりと、一般人には手が届かないのだ。

 残念そうに俯くジーナだったが何か思いついたように顔を上げる。


「そっか、私が作ればいいんだ」


「ブハッ!!」


 あまり顔に出すことがないジーナが珍しく顔に出して楽しそうにそんな事を言うので、思わず噴き出してしまったハイネ。

 ジーナ本人は至って真面目に言ったのに対して、ハイネのその姿を見て馬鹿にされているのかと睨んでいる。

 そんなジーナの目線に気付いたハイネは慌てて謝る。


「いやいや、ごめん。別に馬鹿にしたわけじゃなくてビックリしたんだよ。勉強が嫌いって言ったのに学校を作るって言うから」


「でも楽しいんでしょ?」


 そう言って首を傾げるジーナに対して、目をパチクリさせて微笑みながら答えるハイネ。


「うん、そうだね。友達を作って自分の好きな事を共有したり、一緒に遊んだり、同じ場所で同じことを学んだり。少なくとも俺は学校に行くのが楽しいよ」


「そっか」


 瞳をキラキラ輝かせて年相応の笑顔で頑張る、とガッツポーズをする。目標が出来て楽しそうにしているジーナを見ながら『可愛ぇぇぇ』と思うハイネだった。


 一応彼の為に言っておくが決してロリコンなどでは無い、新たな目標を見つけて奮起した妹のような存在を見て応援しているだけなのだ。たぶん…


 そんな会話を行いながらようやくハイネも弁当を食べ終えて、休憩しているとジーナから再度話しかける。


「ハイネは家族は何人いるの?」


「一緒に住んでるのは、父親と母親、妹が一人の4人家族だよ。そういえばジーナの両親は?」


 質問ばかりされていたハイネとしては、ジーナの事も聞いてみようと軽く思った。

 だが、返ってきた言葉は。


「殺された。 妹は何歳?私と同じくらい?」


「………ん?」


 予想の斜め上を通りすぎた。

 確かにラッセルという兄と一緒に行動をしているがまさか両親が亡くなっているとは思いもしなかったのだ。


 さらに先程の言葉も気になる。


 死んだではなく、ハッキリと殺された(・・・・)と言ったのだ、しかも本人に至っては、あたかも普通にそう言い放つ。


 それどころかハイネの家族についての方が興味がある様子で、質問をしたハイネが固まってしまう。

 それをみたジーナが不安そうに問いかける。


「どうかしたハイネ?」


「え?あ…いや。 妹は今年15歳になるけど…」


 声を掛けられ咄嗟に先程の質問に返事をするものの、唖然としているままだった。

 それを言ったジーナ本人は全く気にしていないようだが、ハイネは軽い気持ちで質問したが、笑えない内容にどう反応していいかわからなかった。


「父様と、母様については話すと長くなるから話したくない」


 ジーナの両親が殺されたのは何年も前の事で、どうすることも出来ず、結果として両親が殺されてしまった。

 その事に関してはジーナも気にはしていない。その時はジーナも辛く、涙することもあったが、当時は今みたいに力もなく生き延びるのに必至だった為である。


 ラッセルや、シエル達と冒険者ギルドで活動していく上で生きる為の力を手に入れてジーナ自身も今の環境が好きになっているのだ。


 今現在、本人が気にしてなく、満足しているなら同情なんかするべきでないと判断したハイネは一言、「わかった」とだけ答えた。


 その返事を聞いてジーナも満足したようで、先程の妹について色々聞いてくる。

 それに対してハイネはいつもの調子で答えていく。




 しばらくジーナとの会話を行った後、ハイネが質問する。


「さて、お腹も落ち着いたことだし。ちょっと聞きたいんだけど、この辺りで開けた場所ってどこかにある?」


「どれくらいの大きさ、かなり開けている場所だと昨日の場所とかになるけど」


 その場から立ち上がって背伸びをするハイネ。


「ああ、そこまで広くなくていいよ、それに昨日の場所はちょっと距離があるからね。気になる、というか試しておきたい事があるんだよ」


「それなら村の奥に訓練所みたいな場所があるけど」


 今日予定していた内容を終わらせてしまったので、特にこの後にすることもなく試しにやっておきたい事があった。


「訓練所があるのか、調度いいね距離も近いし。よし、案内して貰えるかな」


「構わないけど、なにするの」


「んー、たいしたことではないんだけど、ついてから説明するよ」


「わかった、ついてきて」


 立ち上がり村の奥に歩きだすジーナ、それについていくハイネ。




 二人が立ち去った後、近くの小屋の影から舌打ちが聞こえる。


「チッ、訓練所にいって何する気だ」


 二人から距離を取り、非常に面白くなさそうな顔をしながらついていく人物がいたのだった。

中途半端な文字数の為に一度切らせて頂きます。

次も途中まで書いてますので近いうちに更新します。

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