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このアイテムは呪われています!  作者: マリー?
7章.学園編
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81.神界と会議と神様

 

 あたしはいつか見たような夢を見た。


 澄み渡った青空、柔らかい芝生、この世界を表す『始まりの木』は青々とした葉の付いた枝を空に届きそうなほど伸ばし、その下に居るわたし達に木陰を提供してくれています。

 わたしは抱えきれないほど大きな幹に背を預け、()が来るのを本を眺めながら待ちます。そこには今現在この世界で起きている出来事が事細かに記されています。文字を流しながら読んでいると、ある所に目が留まりました。

 『魔王、父親の先代魔王を手に掛ける』

 魔王暦三年六月二十八日、独裁政治を始めた魔王は自分のすることを否定する者たちを処刑し、ついには父親を引き継ぎ試験(力を持って先代を超えたことを証明する闘い)という名目で殺害。

 ……この様子だと効果は出ていないようですね。レンがやろうと言ったのでそのうち出るような気もしますが。

 そのようなことを考えている間に、彼は来ました。はじめの頃はなぜか合うたびに殺されかけましたが、最近はそのようなことも無くなりました。相手の話を聞くようになったのも成長でしょうか。では、先ほどの言葉は訂正しましょう。効果はちゃんと出ています。やはりレンに任せて正解でした。きっとわたしとホユキの二人では「誕生早々終末が来ましたね」と淡々とこの世界の終わりを眺めていたように思います。

 わたしが考えていると彼は声を掛けてきました。

「ナユキ?」

「あ、ごめんなさい。ちょっと考え事をしていたの」

 わたしが抑揚のない声で言うと、彼は驚いたように言います。

「……考えれたんだ。あぁええっと、いつも機械みたいにテキパキ動くから驚いて」

 わたしの抗議するような視線に付け加えた彼は、白地に青いラインがところどころ入ったタキシードみたいな上着を脱ぎ、近くの枝に掛けながら聞いてきました。

「今日は最近耳にした『鬼ごっこ』という遊びをしようか」

「どんなルールが?」

「それは――」

 そして彼と、さらに途中から来たホユキとレンと一緒に鬼ごっこという遊びをしました。


 そして彼の為に特別に作ったこの空間の空が茜色に染まるころ。

「もう時間だね」

 レンの言葉に彼は残念そうな顔をしました。

「また来るよ。次も遊ぼうな、……約束だ」

「君は約束が多いのね、ふふっ」

 ですが、わたしよりも少しだけ感情の入ったホユキの声を聞くと自分の居場所へと帰って行きます。

 そしてそこには同じ容姿をした三人が取り残されました。

「では、戻ります」

 わたしは二人にそう言うと目を閉じ、いつもに戻りました。


 ***

 あたしが目を開けると、あたしが使ってるいつも通りの部屋があった。妙に既視感のある夢だったな……。

 まあいいや。今日は学園は鈴鐘戦の次の日ということで授業は無しでお休み。ただし、強制参加のお祝いパーティが一日中あるから学校に行かなきゃ。

 あたしは大きく伸びをすると、休みたい願望を投げ捨てて学校に行くために支度をした。


「……入れ」

 そして学園に入るなりいきなり呼び出しを食らって現在校長室前。中に入るとライを中心に五人の人が座ってた。……ってなんでお母さんいるの!? 驚くあたしをよそに手を振ってくる。

 あたしは案内に従って、ライたちの前を素通りし壁に手を触れる。すると静かに壁が隠し扉のように開き、あたしは真っ暗なその中を一人歩いて行った。

 目を閉じたみたいに真っ暗闇の中で頼りなくぼんやりと光る階段を疲れることなく上がっていくと、急に周りが明るくなった。後ろを見ると階段が無くなってて暗闇が広がってる。真横には皺くちゃのおじいちゃん三人、反対側には偉そうで威圧感のある顔をした人達。そして真正面には雪様とレンが居た。

「……最初に能力を返してね」

 固まるあたしに雪様が話しかけると、頭の中から何かが抜けて、代わりに何かの知識が詰め込まれた。あたしはその押し込まれるような感覚に気持ち悪くなって、なぜか後ろにあった椅子に座りこむ。すると雪様の横へ強制的に連れて行かれた。

「ナオ――いえ、ナユキ様。現在は『この世界の終焉』を防ぐために奔走されておりますが、一定年数が経過したため、“会議”を開かせていただきます。まず現在の進捗状況ですが、昇種プロジェクトの被験者の洗い出しが終わり解薬中です。実行者の方は未だ謎のままです」

 レンの言葉遣いに更に驚きながらもレンと雪様の静かにという視線に口を固く閉ざす。……何この真横に居る人達、千年たってもまだ分からんのか、とか世界が停滞する前に解決させて神に戻せ、とか言ってるんだけど。っていうか誰!

「次に千年前に失敗した魔王核化計画の事です。こちらはナユキ様の失敗により魔王の一部は世界の境界を超え他の世界にも飛び散ってしまったため、回収は困難です。ですが魔王の目星は付いていますし、何より魔王の一部であるピアスが消えたという話を耳にしました。消す方法については調査中です」

 ?マークを浮かべるあたしに、雪様は空中に浮かぶ文字を使って説明してくれた。皆が無反応なのは見えてないってことかな?

 えっと……向かって右に居るおじいちゃん達は元老でこの神界の御意見番のような存在。かなり頑固。

 向かって左が今の議題の『この世界の終焉』担当の神や異常を監視する役割の神達。かなり神経質。

 あたしがそれを眺めてると、頑固者の一人から言い放たれた。

「ではナユキ様、今回のこの二つを解決するまで神に戻ることはできないとお考えくださいな」

 そして言い終わると同時に姿が見えなくなった。続いてレンと雪様以外の人達が消える。

 三人だけになると、レンと雪様から大体の説明を聞いた。


 話を纏めると、どうやらあたしは雪様と一緒でこの世界の創造神に当たるらしい。そして周りの人たちはあたしと雪様が優秀な人を神に格上げし、あたし達だけじゃ出来ない事を任せた。

あたしが今着けてる指輪とかの魔王の一部は、あたしが魔王を核にして世界が上手く回るようにしようとしたが失敗し、その失敗であたしは魔王と完全に融合しそうになったけれど、魔力が上手く混ざらなくて暴走して魔王の能力が飛び散ったと。ついでにあたしの記憶も飛んだと。それで中途半端な状態であたしの力もあれば魔王の力も残ってる。だから指輪とかの力が失われないと。

 ……まあ、神に戻るうんぬんは置いといて、あの二つはあたしがどうにかしないといけない事が分かった。最初に出たやつはアイ君のお願いもあるしね。

 なんか面倒くさそうなことになった気が……取り敢えずパーティ楽しもう! 現実逃避だ!

読んでくださりありがとうございます。

色々カミングアウト。詳しいものはもうひと段落した時に。

これで辻褄が合う、はず。

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