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このアイテムは呪われています!  作者: マリー?
7章.学園編
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78.鈴鐘戦、前半

 

 午前八時、簡潔な言葉で鈴鐘戦が始まった。

『鈴鐘戦、開戦!』

 ライたち校長の宣言で、グラウンドに集まってたあたし達は一斉に拠点に向かった。


 ***


「麻痺、麻痺! 多い!」

「ナオ、次を耐えれば休憩できますわ、もうひと頑張りですのよ」

「文句は、ここに、拠点を、作った人に、言ってくだ、さいっ!」

 あたし達のチームは開始早々、鈴チームの猛攻に遭ってる。学園の外れの方に拠点を置いたからか、鈴の音学園とヘルベル学園を移動するための転移魔法陣が近くにあるからか息つく暇もないほど押し寄せてくる。そしてその沢山の人達を相手してるのがあたしとシェラちゃん。っていうか、ほぼシェラちゃんがやってる。あたしが広範囲の魔法で相手を怯ませ、シェラちゃんが気絶させ、気絶させきれなかった数人をあたしが睡眠魔法で眠らせて『戦闘不能』状態にしてる。

 ……うわ、次は流石に多すぎるって。全校で特攻仕掛けてるんじゃないかって疑いそうになるんだけど。

 ああもう! レイス君、りんご姫、敵情視察から早く帰ってきて、人 手 不 足 !


 ***


 結局視察に行った二人は、あたし達が猛攻に慣れた頃に返ってきた。どうやら鈴チーム達はこっちとは違って学園全体で勝ちに来てるらしい。均等に拠点を置いて学園に近づくほど密集させて、どこかが襲撃に遭えば近くのチームが駆けつけて潰す方法を取ってるとのこと。他にも、転移魔法陣の近くにも沢山あるらしくそこを通るのがかなりきつかったらしい。それは、語ってる時の二人の苦そうな嫌そうな顔からなんとなく分かった。

「ナオ、私はそろそろ寝ますね。見張りお願いします」

「あ、うん。今日の夜警はシェラちゃんだったっけ。じゃあ、時間になったら起こすね」

 ちょっと振り返ってる間にだいぶ時間が経ってたらしく、そろそろ男子二人が学園から帰ってくる頃だった。そろそろあたしが見張りの番だね。実は最初はレイス君とりんご姫が夜警をするはずだったんだけど、先にあたし達が夕食やシャワーに行って二人が行くのが遅くなっちゃって、視察とかで疲れてる二人を休ませようってことで今夜は女子組が夜警をすることになった。

 っと、スピカちゃんと見張りを交代しよう。あたしは木で作られた簡素な梯子を上って見張り台に上がる。

「スピカちゃん、交代しよー」

「あ、ナオ。分かりましたわ」

 スピカちゃんから暗視機能付きの双眼鏡を受け取ると、何も無いことを願って辺りを見回した。


 ***

 敵チームに奇襲を掛けたり、拠点を防衛したりするのを繰り返してる間にあっという間に一週間が過ぎた。

 このチームの皆がとっても優秀だってことが分かった一週間だった。あたしは一日に一回のペースで『戦闘不能』になったり、鈴の音学園側の捕虜になったりしてしまった。戦闘不能は開戦前に渡された魔道具が『生存』の緑から『戦闘不能』の赤になってしまったことを言って、魔道具の出す治療に関する難問クイズに正解するか、学園にある救護室の解除装置を使うことで『生存』に戻ることが出来る。けど、捕虜は違ってて、『生存』状態だから魔道具の強制帰還で学園に戻ることもできず、ただ助けが来るのを待つしかないという苦しい状況。ちなみに、捕虜になってる間は掃除や夕食の準備、共用武器の手入れとかをしてた。

 で、何回か助けが来たんだけど、ヘルベル学園の『カッコいい』男子達が助けに来てくれた時が凄かった。何が凄かったって言うとなぜか馬に乗ったりんご姫がこっそり鐘チームの人達を助けに来た時に、女子が黄色い声を上げて、それを聞いた鈴チームの人達が駆けつけてきて、結局大半がまた捕まって助けれてなかったのが凄いっていうか面白かった。更に言うと鈴チームの人に追いかけられてた時のりんご姫が面白かった。あ、ちなみにあたしはシェラちゃんが助けてくれました。ありがとうシェラちゃん!


 今日で鈴鐘戦が開始されてから半分が過ぎたとのことで、途中経過が発表された。今はりんご姫がヘルベル学園側で、レイス君とスピカちゃんが鈴の音学園側でランキングとかがどうなってるか見に行ってる。

 鐘チームのランキング予想をしてると、上の見張り台からシェラちゃんが首を出しながら声を掛けてきた。

「イクスタスが帰ってきたみたいなので、一旦結界を解いてください」

「はいはーい」

 あたしは使い慣れて来た結界魔法を解くと、ドアを開ける。すると、やけに真剣そうな顔をしたりんご姫が入ってきた。

「おかえりなさい、イ―。ランキングはどうでした?」

「ああ、かなり上の方だったよ。それで、近くにいた女の子達に聞いたんだけど、最近こっちの学園の班のやられる数が多いらしい。……同族潰しの可能性もある」

 りんご姫は見張り台の方から覗き込んできたシェラちゃんの顔を見るとやや表情を和らげて言う。

「拠点を変えた方がいいかもしれない」

 そして、ちょうど帰ってきたレイス君とスピカちゃんも話に加わって、明日朝早く拠点を移動させることにした。今日の夜警はあたしだけど、「この頼れるアニキに任せて、このチーム一番の問題児は寝とけ」と言うレイス君の言葉と皆の賛同という名の脅迫で寝ることになった。……あたしが問題児じゃなくて皆が凄いだけだと思うんだけど。

 けど、レイス君かなり疲れが溜まってたみたいだし、今夜はいつもの倍くらいの威力で結界魔法を掛けよう。


 ***

 バ チ ン ッ ッ !!

 あたしは自分の張った結界が壊された衝撃で目が覚めた。どうやらスピカちゃん達も魔力の衝撃で目が覚めたようで、皆でアイコンタクトする。――夜襲だ。

 あたしが魔法用に開けた窓から麻痺や睡眠魔法を使ってると、レイス君も降りてきて、うとうとしてたことを謝ると迎撃に加わった。


 結局、全てさばききる頃には太陽が薄ら見える頃だった。早くに眠りに着いたお陰で眠くはなってない。

 そしてレイス君の提案で、今から学園に行って携帯用の食料を取ってきたらすぐ出発することになった。新しい拠点はスピカちゃんの占いとりんご姫の助言で、鈴の音学園の端の方。正直言うと、敵の陣地に拠点を置くのはちょっと怖いけど、このメンバーだと余裕で勝てそうな気がする。

「では、私は拠点を小さくしますね」

 シェラちゃんはそう言うと、何かの呪文を唱える。光が拠点に降りかかったと思ったら模型みたいに小さくなった。……シェラちゃん魔法も出来たんだ。しかも上手い。


 そして学園から帰ってきたレイス君に隠ぺい魔法を服とかに掛けて貰い、転移魔法陣に入った。


読んでくださりありがとうございます。

かなり早く話が進んでいます。実は二話分。

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