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このアイテムは呪われています!  作者: マリー?
7章.学園編
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72.子供の頃の記憶

 

 あの後、朝刻の鐘という近くにある、あたしがこれから通う「ヘルベル学園」というとこの鐘が鳴った。

 この鐘が朝食の合図になっているとか何とか聞いたことがあるんだけど、ここから食堂まで割と距離があった気がするんだけど……さっき後先考えて行動って決意したばかりなのに! そう言えばライが、編入はクラス決めとか、話とか当日に時間が掛かるから朝食食べたら直ぐ行くとか言ってた気が……とにかく急げ! 初日から遅刻とか笑えない! そしてライのお説教も笑えない!!

 自分でも驚くくらいの全速力を出して食堂に向かった。……あれ? なんか前より走りやすくなったような……?


 ***

 急いだおかげで何とか間に合った。ライの雷が落ちかけたけどちゃんと朝食も食べれたし間に合った。セーフ、セーフだからその拳骨用に振り上げた拳と怖い笑顔を引っ込めて!

 顔の前で手を合わせて謝っていると、ライは振り上げた拳を下ろしあたしの手を取ると「行ってきます」と見送りに来た人達に声をかける。あ、サクさんだ。「行ってきます」と手をぶんぶんと振ると、サクさんは軽く手を上げ二ヤリと微笑む……今日も目が怖い。

 どうやって登校するんだろうと思ってると、ライがあたしの手を握ったまま真剣な顔で考え事をしてる。どうしたんだろうと見てると、頭の中に複雑な魔法陣が浮かび上がった。点と点を繋ぐようなカクカクとした線が重なり合った中には、なぜか雪の結晶が沢山ある。転移魔法陣だね。綺麗……それに、懐かしい。

 ……ん? 懐かしい? それにあたしは転移魔法陣なんて今まで見たこと無かった気がするんだけど、何でそう思ったんだろう。見たこと無い? あれ、すっごい前に見たことある気が……あ! お兄ちゃんから渡された本! ……は読んでないから、魔術書かなんかかな? いやいや、日本の魔術書の魔法陣がここで使えるなんてこと、無い……いや、渡部(仮)さんが伝えたのかも。っていうか、あたし魔術書とか読んだこと無いし……すっごい前ってことはファンタジー系の絵本とか?

 絵本なら子供の頃に読んだことが……あれ? そんな本読んだっけ? っていうか絵本読んだっけ?

 あれ? あたし子供の頃何してたんだろう。幼稚園……覚えてない。小学校……何も思い出せない。中学校……あたしはそもそも中学校に行ったの? ……行ったはずだよね? どこを卒業したんだろう? 高校……は今、っていうよりこっち来る前通ってた湊高校で、入学式……は覚えてる。それ以前は……

 何かがあたしの中で崩れる音がした。


 ――何も、覚えてない。


 目の前が暗くなる。平衡感覚が狂ったみたいに、足元が覚束なくなって立っていることが辛くなってくる。急激に襲いかかってきた睡魔に身を任せようとしたとこで、視界が白く染まった。

 驚いていつの間にか瞑っていた目を開けると、サクさん達のいた魔王城ではなく透き通ったような白い壁の応接室らしきとこだった。

 窓際にある向かい合ったソファには、見知った顔の人達が居た。

「ノンン、魔王! ……え?」

「「……え!?」」


読んでくださりありがとうございます。

ここまでは確定

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