69.テスト
「ねえ、このテストの点は何? 勉強してって言ったよね? 教科書も買ったよね?」
今はクラス分けのテストが終わり、現在ライの部屋。
あたしはライの方を見ないように目を逸らす。すると、机を叩くダンッという音とともに、ライの怒気を孕んだ声が聞こえてきた。びっくりした……。
「明後日の方を向かない! ……直ぐには無理だと思っていたけれど、この点数は無いよ!! ……いつまでもドアのところに居ないでこっち来なさい!」
なぜか冷や汗が背中を伝う。あれ? 相手はウサギなのに。魔王なのに威厳も何も無いライなのに……。
そんなことを考えてたら、また机を叩く音がした。はいもう考えません!
恐る恐る机の方を見ると、真っ白なままの解答用紙を凄みのある笑顔をしたライが持って手招きしてた。いやだ、行きたくない!
「ねえ、最初に言ったよね? 実力がすべてだって。少しは埋まってるかと思ったら真っ白……どういうこと?」
「こ、これでも勉強したんだよ? ホントに。……でも、書いてあることが呪文だったから……ほ、ほら、えーっと……毒消し草の最も効果的な部分はどこ! とか、どれと混ぜたらいいかとか、わからないよ……ね?」
話せば話すほどに残念なものを見る目になっていくライに、最後の抵抗とばかりに、自分でも引き攣ってると分かるくらいの笑顔を向ける。すると、あたしの笑顔を受けたライも笑い返してくれた……すっごい無理やり笑った感があるけど。
「はあ、初級クラス確定だね」
「初級クラスって?」
あたしが疲れたような溜息を吐くライに聞くと、更に疲れた顔をしながら答えてくれた……ちょっと!! 今なんでそんなに無知なのって呟いたの!? ばっちり聞こえたからね!?
「はいはい。学園は実力順で上から、マスター、上級、中級、初級クラスってなっているんだ。優遇される順番も同じ」
そうなんだ~。……ねえ、いつの間にか現れたホワイトボードとかは置いといて、なんであたし、絨毯の上に体育座りなの?
「テストが年に何回かあって、その結果次第でクラスが上がったりするんだ。ちなみに学年末にマスタークラスで卒業が出来るんだよ」
「質問! マスターになるまで卒業できないんですか?」
「そうでもないよ。最長で七年まで学べるけど、それ以内にマスターに上がって卒業出来なかったら、どのクラスでも強制的に卒業になるんだ」
へー。……ねえ、これってあたし、無事にマスタークラスになって卒業出来るかな?
……ライ、なんでそこであたしの肩に手を置いたの? その憐みの目は何!?
……勉強、頑張らないとね……。
「……ライ、勉強教えて」
結局呪文は呪文のままでした。
読んでくださりありがとうございます。
遅れてすみません。中々続きが思い浮かばなかったんです!
学園編から物語は急展開になる・・・はず。




