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このアイテムは呪われています!  作者: マリー?
6章.魔王編
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66.お祭り

 

 時間はちょっと前に遡る。


 ***

「お昼かー。何食べる?」

 あたしはライの方を見ながら問いかける。するとライはちょっと考える素振りをしてから言った。

「ハンバーグ」

 子供か!

 多分目の前にお店があるからだろうけど……っていうかなんでお祭りで売ってあるの?

 有る無はいいとして、寝起きでハンバーグはちょっと重いかな? 昼まで寝てたあたしが言うのも何だけど。

「なんで頭を撫でているの?」

 どうやら無意識で撫でてたみたい。子供……子供か。

「ごめんねタイラント。もうそんな年じゃ――」

「煩い」

 声と共にライの拳が飛んでくる。最近はあたしがふざけなかったからあんまり無かったけど、何回も殴られたからか身体が勝手に拳を受け止めようとする。……が、ライの拳はあたしの手を軽々と避けてお腹に命中した……うん、痛くない。

 ライはご丁寧なことに認識され難くなる魔法をかけてたらしい。……そこまでして殴りたかったの!?


「あたしはサンドイッチかなんかが良い」

 あたしは何事もなかったみたいに言う……いつものことだからね。ライもスルーしてるし。

「じゃあ、勝負しよう!」

 ……なんか前にもこんなことがあった気が。意見が割れた時は決闘的ななんかかな? 面倒くさいけどまた「お祭りに参加……」とか言ってきたら嫌だな……っていうかお祭りを楽しませて!?

「はいはい。で、どこで?」

「こっち!」

 だから手を引っ張らなくても行くよ。っていうか腕もげる……。


 ***

 参加の為の用紙をあたしの分まで何故かライが書いて今に至る。

 今思えば目が煌めいてたな。っていうか流されたあたしが悪いのかもしれない……どっちにしろやってた気がしなくもないけど。


 階段を上ってステージに上がるとライが未だに黄色い歓声を上げる観客に対して手を振ってた。

 ……あれ? ライが着替えてる。着替えてるっていうか、いつもの黒いワイシャツはそのままで、上に黒色の耳付きパーカーを着てる。……ズボンから出てるあれは尻尾? ライはサイズが思いっきりあってなくて余ってる袖を持ち上げ目の前に構えまねをする。

「がお」

 ……それライオン。

 ライがまねした途端歓声が倍近くになった。最早司会の声が聞こえない……とりあえずステージに登ったから礼しとく。……誰も気づいて無いのが悲しい。

 あたしが着てるのは、ライに押しつけられた赤いブラウスと貴族とかが着そうな黒い服。そして「ダーク様に渡された」と無理やり着せられた黒いマントに申し訳程度に付いたフリル。「ダーク様に頼まれた」っていう人に背中の中程まで伸びた髪を後ろで束ねられた。

 ……何この服装。っていうかこの服を最初に渡してきたってことは、はじめから参加するつもりだったの!?


「それでは武器を選んでください」

 歓声が静まってきたころに説明が入る。

 要約すると、

 ・戦闘は武器のみ使う

 ・武器は水鉄砲、石鹸、火炎放射機、ロープなどからくじで三つ選ぶ

 ・相手ゾーンにある的に攻撃を当てるか、相手を行動不能、降参させた方の勝ち

 ・致死の攻撃、武器以外の攻撃は失格


 ということで、くじを引くため箱を持った人の方へ行く。なんか危ない単語が聞こえた気がしなくもないけど気のせいにしとこう。……流石に死者は出ないよね?

 くじの結果。水鉄砲、油、油

 なんで油×2!? 水の代わりに使えってこと!?

 そういえばライは何が当たったんだろ。ライの方を見るとあたしが持ってるのと同じ水鉄砲、そして油と書かれたコップ、マッチを持ってた。……マッチ!! 危ないから! っていうかこんなの企画したのどこの誰!?


「それでは、レディー……ゴー!!」

 ゴーじゃないよ!? 何で誰も止めないの!? ……ってライがこっち向かってきてるし……怖い怖い怖い! 適当に撃ったら当たるかな? ……あ、ライが滑った。

 ***

 その後会場は炎に包まれる……ってことは無く、ライの優勝で幕を閉じた。

 ……っていうかもう夜なんだけど! 何人参加者がいるの!?


 そして表彰式の後部屋に戻って着替え、射的をしたりりんご飴食べたりした。……ちらほら売ってあったダークマターとかよく分かんない目玉とかグロいのはスルーした。ちなみにサクさんが売り子やってた所だけ皆に避けられてた。



 余談だけど、お祭りが終わって帰ってからサクさんが死にそうな顔で電卓を叩いてたからちょっとだけ手伝った。結果また昼過ぎにライに起こされるという光景を繰り返したけど後悔はしてない。ライが寝顔がどうとか言った直後に相手に悪夢を見せる『悪夢』が睡眠魔法に追加されたけどなんでかな?


読んでくださりありがとうございます。

遅れましたすみません!

なかなか思い浮かばないのでさっさと次に行きます。

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