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このアイテムは呪われています!  作者: マリー?
6章.魔王編
68/98

65.トマト?

 

 ***

「……ぅん?」

 あたしは瞼を閉じてても目に入ってくる、強い光で目が覚めた。……あれ? いつの間にベッドで寝てたの?

 周りを見回してもあたしが泊ってた部屋だし。無駄に広いのに汚れ一つ見つからない、鏡の代わりが出来るんじゃないのって位磨き込まれた石造りの壁と深い緑の絨毯。そして部屋の中央には木目がきれいなセンターテーブルに落ち着いた色のソファ。カーテンの開けられた窓の近くには暗い色の重厚感溢れるデスク。廊下とをつなぐドアの近くの壁には何故か必死になってこっちをガン見してくる女性の絵画……ドア見るたびに目が合って怖い。

 それより、自分でベッドに入ったのかな……なんか会議室を出たとこから記憶が無いんだけど。


 ……っていうか、手とか腕とか……体中に付いた青い匂いって何だろう。……トマト?

 そう思った瞬間、虫が全身を這いまわるような、何時ぞやの芋虫のときみたいな不快感に包み込まれた。……え? 何これ? ……もしかして死神コス集団が……!


 そんな考えに辿り着いた瞬間、廊下につながるドアが勢いよく開け放たれた。

「ナオおはよう。昼まで寝るのはよくないよ。……寝顔を見たいけど……起き――いでっ」

 何でだろう……今何か聞こえたような気がするんだけど? ねえ、ライ?

 ひぃっ、また女の人と目が合った。

 あ、でもさっきまでの不快感が収まった。よかった。


「……起こしに来た人に魔力弾をぶつけるのはどうかと思うよ」

 特にダメージ無さそうだけど? 額の当たったとこがちょっと赤くなってるくらいで。

 ちなみに、これは会議中に魔力弾で遊んでたときに教えてもらった。

「……目覚まし時計みたいだから」

 ボソッと呟いたはずなのにしっかり聞こえてたみたい。

「……お祭り、参加させないよ?」

 ごめんなさい!

 この後、定番となりつつある土下座で謝り倒したのと、交換条件で一緒にお祭りを回る約束をしたことで機嫌を直してくれた……もとから一緒に回るつもりだったんだけど。


 そしてシャワーを浴びてトマトから解放された後、ライに押しつけられた――ごほごほ、渡された服を着た。……マントは要らない! 女の子仕様とかの問題でもないから! っていうかマントに性別関係あったの!?

「無いよ。これは女の()用」

「 ・ ・ ・ そ れ ど う い う 意 味 ?」

 もしかして子供用って意味かな?

 これでも元は高校生だよ?

「そういえば……最近見てなかったけど何してたの? ライの分まで仕事が増えたんだよ?」

 おもに当日の売り子とか。あたしが行ったらすっごい残念そうな顔してたな……特に女子。文句はライに言え。

「そ、それより早く行こう!」

 あ、誤魔化した。……手を引っ張らなくても行くよ。


 ***


 祭りが開催されている広場に設置された簡易ステージでは、あるコンテストが開かれていた。

 司会の声も聞き取りづらくなるほどの歓声に包まれる。

「さてそれでは登場していただきましょう! まず! リスト連合国一の実力者。光を切り裂く漆黒の豹! 我らが魔王――ダーク様!!」

 その言葉に黄色い声援も飛び始める。それは、ライが手を振りながらステージの上に上がるとさらに大きくなった……って、ライってそういえば顔は整ってたんだった。……顔は。

「続きまして……おっとこちらは人族の出場者だ! 黒髪黒目の女の子。カッコ可愛い吸血姫! ナオ!!」

「はい、行ってください」

 後ろから誘導の人が声を掛けてくる……ってサクさん!? ……今日も目が怖かった。しかも間近で見たから……ううっ。

 サクさんの「頑張って」って声に苦笑いしつつも、ステージに上がるため足を踏み出す。


 ……なんであたし、コスプレバトルコンテストに出てるの?


読んでくださりありがとうございます。

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