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このアイテムは呪われています!  作者: マリー?
6章.魔王編
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57.兄弟喧嘩

「そ~して、……は両……を殺…、ぼ~く……てた」

 ん!? 殺? 今殺って聞こえた? っていうか幽霊!?


 耳を澄ますと声の主が近づいてきてることが分かった。

「そ~して、ライは両~親を…し、ぼ~くを捨……」


 ライって……タイラントのことか!

「タイラントじゃ……て、アイ?」

 アイって、この声の人で、魔王の弟君かな?


「そ~して、ライは両~親を殺しぼ~くを捨てた! …………ない。…さない」

 シンと静まり返った中、アイと呼ばれた声の主はヒステリックな声を上げた。

「許さない!」

 そして浮かび上がるのは、不気味な姿の者……じゃ無くて、白い小さなウサギ。

 ・ ・ ・ え ?


 あ、タイ――こほん、魔王がやってるみたいなことかな? タイr――魔王は黒いウサギだけど。

 タイランt――魔王の弟だか

「もうライって呼んでよ!」

 あ、タイラント間違えたライがお怒りのようです。ゴメン謝るからその握り拳仕舞って欲しいんだけどグエッ。


 それよりライがデレた。鯛と鳥っていう名前にコンプレックスを持ってたライが、その名前で、しかもファーストネームで呼んでってデレああもう考えませんスミマセッ……ぎゃああああ。

「別にライって名前にコンプレックスを持ってたわけじゃなくて、ナオにはそう呼んで……」

「あ、またデレゴメンナサイゴメンナサイ」


「お兄様は僕のことはどうでもいいんだね!?」

 ええええ!? 確かに空気になりかけてたアイ君の目から大粒の涙がポロポロと、どうしよう。……っていうか、人型……可愛い。


「アイ、泣かないで。アイは俺の大切な家族なんだ。だから……もう」

「嘘つき! それじゃあ何で“大切な家族”のお父様とお母様を殺したんだ!?」

「それは……そうするしか……」

「お兄様が消えてから、お兄様に捨てられてから寂しかった……! だから、僕に残された“大切な家族”の最後の希望を『反神』を造るんだ! どんなことをしても、必ず!」

「アイ! やめるんだ! また俺達みたいな失敗作をっ!」

「ぼくは失敗しない! ぼくは天才だから、お兄様やおねーちゃん達みたいなことにはしない!」

「お父さんやお母さんはそう言って失敗して、壊れ……」

「煩い! うるさいうるさいうるさいうるさいうるさい! 捨てたのならお兄様には関係ないんだ! 僕にもう、関わらないで!!」

 そして、両手で耳を塞ぐアイ君の指がキラリと光った。

 あ、アイ君の左手にあるあの指輪って、もしかして魔王の破片? 直感だから自信は無いけど、多分そうだ。


「待って!」

 そう手を出すのと同時に、アイ君は光を残して消えた。



「……」

「……」

 あたしは気まずい沈黙を破った。

「ねえ、さっきの両親を殺したって本当?」

 すると、ライは最初みたいにビクッと震えた。けど、今度は向けられる視線に、焦りが入ってる。

 ああ、きっと嫌われたくないんだ。あたしも嫌われるのは嫌だけど、ライはもっとその思いが強いんだ。――何故かそう思った。


「うん」

 警戒の混じった声で答えるライ。

 あたしは目をしっかり見て言う。

「親を殺すのはよくないよ。例え何があっても」

 そう言うとライはガタガタと震えだした。

「でも、殺さずに何とかしろっていうのも詭弁なんだ。仕方ないって言ったらお終いだけど、必ず何かを殺してる。賛否両論あるんなら、せめて、自分のした事に自信を持ってよ」

「なにそれ……でも、そうだね。ありがとう」

 そしてクシャッと泣き笑いをする。確かに、自分で言っててそう思う。

 あたしも苦笑をした。


 うん。

 あたしはまだ涙の跡の残るライにニヤッと笑いかけ、言う。

「それじゃあ、ライ。行こうか」

「どこに?」

「アイ君のとこにだよ。仲直りは一秒でも早い方がいいじゃん」

「うん!」

「それじゃあ、行こうかタイラント」

 あたしも、お兄ちゃんや陽と仲直りしないとね。


「……タイラントじゃないよ」

こそっと、静かに少年は微笑んだ。

珍しく予約出来ました。ワーイ。


大分デレてきたライ君。

主人公が変なこと言った……あまり思い浮かばなかったんです

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