表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このアイテムは呪われています!  作者: マリー?
6章.魔王編
59/98

56.独り

 

 これはなんて書いてあるんだろ。しん、あい? を……?


「どうしたの?」

 するとタイラントの声がした。慌てて本を後ろに隠すと訝しげな視線を送ってくる。

 わー、なんか修羅場。

「なんでもないよ~。それよりタイラ――」

「じゃ無い」

「ぐぇ」


 パタリ


 あ、殴られた衝撃でファイルが落ちた。

 タ――魔王それ拾ったら……!

「……見たの? どこまで?」

 うわあ……これあれかな? 記憶諸共消すよ的な死亡フラグかな? なんか暗黒オーラが見えるんだけど。

 と、とりあえず正直に話そう。まだ助かる望みはあるかもしれないし。


「タイトリーくん、メモみたいなのって、その……」

 あたしがそう言うと、魔王はビクッと震え、怯えたようにこっちを見る。


 あ……きっとこれまでも、こんなことがあったんだ……。


 その反応はこう思うのに十分だった。


 ここであたしが他の人みたいに奇妙なものを見る目、よく分からないものへの怯えた目をおくることは簡単だろうね。

 あたしは会わなかったってことにして、誰に対してもどこか距離のある魔王は一人に戻るだけだから。


 あたしも前は実害は無いものの、クラスで浮いてたし。


 ……でも、家に帰ったらお母さんが美味しい料理を作ってくれて、お兄ちゃんを殴って、陽と話して。

 本当は一人じゃなかったんだね、あたし。


 でも、魔王はあたしが想像付かないくらい寂しかったりしたんだろう……。

 あたしはヒーローになんかなれないし、判断もきっぱりしないで周りに流されてここまで来たし、物語の主人公になれてるか分かんないけど……ここで突き放すのはよくないって思う。


 だから……


「それよりタイラント、探し物は見つかった?」

 受け流すことにした。

 意識して明るくいうと、タイラントが石像になった。どうせなら自由の女神とか二宮金次郎のポーズをして欲しいんだけど。


「あれ? 否定しないって事はタイラントって名前を受け入れてくれたの? やった!」

「……俺が怖くないの?」

 あれー? 一人称が俺になってるんだけど? それとシリアスに戻さないでよ。ガッツポーズしてるあたしがおかしい人じゃん。

「怖くないって言ったら嘘になるけど……あたしも今色々おかしなことになってるし、大丈夫じゃない?」

「そう……かな? ……そうだね」

 ……これ口調について聞いた方がいい? 一人称が俺に変わったのに、なんで口調が変わってないの? とか……別にいいか。


「でもなんで急に潜入を?」

「……ここに俺の弟がいるんだ。俺と同じ被験者で……反神仏教団の最高管理人をしている弟がね」

 ……え?

 ……え゛。


「それで、もう被験者を出させないようにって思って」

 お~正義感の強いお兄さんだね。でも続けて言った「ダンジョンにいたライオンの獣人ネリーみたいな」っていうのが気になる。

「それで、神が一緒だったら何でも出来るかな? って思って……。他人行儀で悪……」

「え、(レン)なら宿屋だよ?」

「え?」

「え?」

 ……一旦落ち着こう。


「レンから神の一人だって聞いたよ?」

「なんも聞いてないけど?」

「え?」

「え?」

 ……もう一度落ち着こう。


「つまり、あたしは神だと」

「そう聞いたよ」

 ……ヤバイ。このセリフだけ聞くとものすっごいバカっぽいんだけど。っていうか、治まりかけてた中二病が……治まれ、あたしの中の暗黒病ー……なんかもう駄目な気がする。


「……一般人だよ?」

「神とか魔王とかと知り合いの一般人がいるもんか」

 そう言われると自信無くすんだけど……。


「でも、そんな感じはしないよ? どんな感じかも知らないけど」

 そう言うとタイ――魔王は頭を抱えて悩みだした。……ねえ? 最初どれくらいあたしに任せる気だったの? 作戦をちょっと聞きたいんだけど?


 ジトッとした視線をタイラン――魔王に向けていると、声が聞こえてきた。



読んでくださりありがとうございます!


また、微妙な終わりです。スッキリしませんね。

まさかの主人公神疑惑。

まだ当分、晴れません。

……設定では……ゴホゴホ。


次の次から二人が本格的に動きます。

では、水曜日の6時に。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ