55.異世界の本棚凄い……
「依頼は完了になりますが、これをこんなにどこで採ったのですか」
「草原から少し奥に行ったところの森です」
「あの森に行ったのですか!?」
「は、はい……」
い、いきなり大声を出さないで欲しいんだけど。ほら、他の人たちが一斉にこっち向いたし……うん、何事かってあたしが一番聞きたいよ。
「そうですか。それでは品質Sランク19束、Aランク15束を買い取りさせて頂きます。金額は五十二万になります」
「ありがとうございます」
うわぁ、雷草ってそんなに希少価値が高いんだ……一気に手持ちが増えたからよかったけど。
***
「それで、相談なんだけど……」
場所を移動して、現在宿屋の食堂。遅めの昼食。
「反神仏教団の研究所に潜入しよう」
「いいけど……いつ?」
そう聞いた途端――
「……今行くんだ……準備とかなにもしてないんだけど」
あたし達は寂れた研究所の前の森に居た。
っていうかまだ昼なのに暗くて、蔦とかが絡んでて、見たら一発で老朽化してるって分かるくらいボロッとしてるって……雰囲気あるね。
「構造なら分かってるから大丈夫」
そういう問題でもないんだけど……っていうか先に調べてたの?
「行こう」
わーすっごい強引。腕引っ張んないで。
とりあえず歩きで行こう。タイラント走るの速すぎ、こけそ――
「タイラントじゃない」
「ぐふっ」
だからお腹殴るのやめて……痛くは無い。それより殴られてこけた時の方が痛いんだけど。
けど、痛くないけどなんか駄目。出てきちゃ駄目なものが……キラキラしたものが口から……っ。
***
とりあえず忍び足発動。
え? さっきの? 勿論胃の中に居ますが何か?
「こっち」
先頭のタイラン――ゲフンゲフン、魔王に付いて行く。
一瞬こっち見た気がしなくも無いけど、気のせいだきっと。
それにしても誰もいないね~。見た目通り使われてないとか?
――とか考えてたら魔王が地下への扉を開きました。
研究資料とか本とかが沢山置かれてる本棚のどれかの本を引いたら、本棚が動いて、扉の付いた壁が出てきた。……ベタだなーもっと捻れよ~。
「……タイラ――魔王なにしてるの?」
なんか……なんか他の本棚から取った本でジャグリングしてるんだけど……病院に連れて行くべきかな?
ガチャ
え、扉が開いた? まさかそのジャグリングで? ……さっきもっと捻れとか思ってゴメンナサイ……。
ていうか、毎回開くときそれやるの? 凝ってるってレベルじゃない……っていうかシュール。白衣着た研究者が開くまで本でジャグリングって……ぷぷっ。
「あ、待ってよタイ――魔王~」
謝る、謝るから不気味な中に置いてかないで。クモの巣とか不気味なんだけど~……。
***
下りた先は……また本棚が沢山有るとこだね。不思議と明るいけど。……地下だよね、ここ。
魔王がなんか物色し始めたね。また隠し扉かなんかかな?
……どんな本なんだろ。
近くの本棚から一冊取り出す。わーまさかの日本語。いや、助かるって言えば助かるんだけど……異世界なら異世界の言葉があるんじゃないの? まさか渡部(仮)さんが伝えすぎたとか?
うーん、これは……。
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平安時代
794年 平安京に都を移す
797年 坂上田村麻呂が征夷大将軍になる
→蝦夷の平定。
……
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日本史……かな?
なんでここに? 割と本気で。異世界の歴史の勉強かな?
……ま、まあ次ぎ見よう。
えーっと……これはどうかな?
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気になる彼に意識してもらおう♥
さりげなく編!
1.気になる彼の視界に入るようにしよう!
Point:いつも見かけることで意識してくれるようになるかも!?
……
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……そっと戻しとこう。あたしは何も見なかった。そう、見なかったんだ。
つ、つぎは~どれにしようか。
ん? このファイルって研究の結果とかかな?
ペラ
えっと被験体名『ライ・タイトリー』。
鯛鳥? 色んな名前があるんだね……。
『実験内容
・昇種プロジェクト
M-13 投与
L-500 投与
K-α 100ml/日 投与
……
・不死プロジェクト
……』
……なに、これ。
非人道的な実験って……こんな、こんな……っ。
見ないようにと思いながらも、ページを繰る指は止まらない。
すると、ある一点に目が留まる。
『症状
・右手に謎の文字
〈Shinn…ai wo t…ur…no ko……no〉』
そしてその下にはそのときの模写らしきものがあった。
……これって、タイラントの右手にあったメモみたいなやつ……とおんなじだ。
読んでくださりありがとうございます。
水曜日更新できる的なこと言ってすみませんでした~!(スライディング土下座)まだテストだったんです。
変な終わりかたになってすみません。
りんご王子編のその後をあげました。
明日、できたら更新します。




