54.勝つのはドラ○エ
そうだよねやっぱりこうなるんだね、あれはフラグだったんだよね。
皆さんお察しの通り、バッチリ迷ったよ!
って明るく言ってみたけど、ここものすっごく怖い。
あんなに煩かった魔物の呻き声とか、本来なら聞こえるであろう鳥とかの鳴き声もいつの間にか止んでるし、一層薄暗くなったんだよ。体感温度なんか三十℃は下がった気分だよ! 寒いね、っていうか凍るね。鳥肌立ってるし……。
それより、不気味! 幽霊出そう!
ガサガサッガサッ
って言ってる傍から!
「~~~~~! ~~って……あれ?」
「た……助け……」
「タイラン――「じゃ無い」ふぐっ!?」
おーい、さっきのフラフラが演技じゃないかってくらい素早かったよ、今の攻撃。普通は女の子のお腹に攻撃しないと思う。っていうかしたら駄目だと思う。
でも痛く無かったってことは、タイラントが手加減してるか、そんな力も無いかのどっちかだよね。筋力がどっちが高いかなんて考える必要も無いよね。
うーん、取り敢えずさっき採取した薬草を飲ませようか。風邪とか傷とか何でも治すっていう回復薬の原料だし、何とかなるよね?
よく分かんないけど、良さそうなやつは……これでいいや。
……えいっ。
「口に突っ込まま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛」
ええー!? 薬草って生で食べたら痙攣するもんなの? なんか、感電してるみたい。ぷぷっ。
「わ゛、笑うな゛な゛な゛な゛な゛」
「あばばばばばばばば」
痺れるる! 痺れるるから!
っていうか……タイラント、同じ事をやり返すって……子供?
ああ、すみませんごめんなさいもう考えないので追加でそれ口に入れるの止めてください動けないんです!
~~~~~っ!
***
「で、なんであんなことしたの?」
「つい、出来心で……」
「で、なんであんなことしたの?」
「いや、だから出来心で」
「で、なんであんなことしたの?」
「あ、あの魔王さん? 聞いてます?」
「で、なんであんなことしたの?」
「……間違えただけですすみません」
ドラ○エなの? 都合のいいことしか聞かないの? ねえ?
最初に刑事ドラマみたいだって思ったあたしが馬鹿にしか見えないんだけど。
「はあ、あれは雷草って言って、本来は安楽死用の薬草なんだ」
いやいや、あんなに痺れるのが安楽死なわけない。
……ん? って、タイラントそれが分かっててあたしにそれ飲ませたの!?
それより足が痺れてきた。……正座やめてもいい?
「追加三十分。……勿論。それは煎じて色々混ぜてから使うものだよ基本的には。生でも十分だけど、痺れが酷いから色々混ぜるんだよ」
「へー、よく知ってるね」
あ、タイラントがちょっと嬉しそう。
……ねえ、最初の勿論は何に対しての勿論?
あんなに痺れるのが安楽死なわけない? それとも、それが分かっててあたしにそれ飲ませた?
「そう、これとか……これとか、これと一緒に混ぜて」
あれ、そういえばなんで生きてるんだろ? 生でも十分とか言ってたけど……はっ、もしかしてもう!
「……急に頬をつねってどうしたの?」
「痛い? ねえ痛い?」
「痛くないけど……」
そ、そんな……ここはもうあの世だったのか……。
ううっ、お母さん、お兄ちゃんに陽、そして見たことないからよく分かんないけど一応お父さん。こんなとこで死んじゃって、ドジのやり返しされて死んじゃってゴメンナサイ!
「絶望に打ちひしがれたポーズしてるとこ悪……くはないか、ここは現実だよ」
「は? ……ってことは生きて!」
「うん」
みんな、まだだったよ。よかった。
「それより、これってどこで見つけたの? しかもこんなに」
「うーん、向こうの森」
あたしが進んできた森のほうを指差すと訝しむような視線を向ける。とすぐに苦笑いに変わった。
「アバウトだねえ……なんでその森に?」
なんでって、クエストで薬草を集めるため? って、これじゃあクエスト失敗じゃん!
「一応、それも薬草だよ」
「あ、ならよかった」
「はあ、取り敢えず達成報告とかをしたら僕の頼みを聞いてね」
「いいよ」
「いくよ」
タイラントありがとう。こういう時に便利だよね、空間魔法って。
……あれ? 何気に心読まれてた?
読んでくださりありがとうございます。
テストです!次の日曜は更新出来ません。すみません。
タイラントがいつの間にか主人公の心を読んでいた。




