その後
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りんご王子(皇子)のイクスタスが城に帰ってから、イクスタスとその父の会話です。
「は? 領主になれ!?」
領主邸での騒動の後、城に帰ってきたりんご王子改めイクスタスは、メガホンもかくやというほどの大声を上げた。
皇帝はそんなことは気にせずに続ける。
「そうだ。昨日議会で決まったことだぞ」
「何故ですか父上!? どうしてそんなことに」
「うむ、確か……」
***
「皇帝! 大変です。イクスタス様が!」
「イクスタスがどうした!?」
皇帝の執務室に駆け込んできた、イクスタスの世話係の侍女の尋常ではない雰囲気に強張る皇帝。
「イクスタス様が、この書類と魔道具を置いて消えました!」
侍女から告げられた事実に皇帝は――
「いつも本を読んだり魔術で遊んだりしていた、あのイクスタスが己の意思で外に出たのか!?」
この頃様子がおかしいと思ったら逢瀬をしに行ったのか、やるな。と続ける皇帝。しかし侍女はそれを否定する。
「いえ、この書類は魔物被害が多いハロウについての書類で、この魔道具は恐らくその証拠か何かかと」
「ほう……どうやって使うのだ?」
「魔力を流した跡があるので、そのまま流すものでしょう」
「ふむ。では頼む」
はっ。と返事をし、魔力を流し込む侍女。
『今回は誠にお世話になりました。お陰様で無事支援金を――』
そして流れてきた声を聞いた途端、皇帝は会議を開く為に官僚達を集めた。
「――それではハロウの領主、ギルト・ルーズを国家反逆罪に処す」
皇帝が宣言をした後の場の空気が弛緩した中、冴え冴えとした第一皇子の声が響いた。
「父上、ハロウの領主はどうなさるおつもりで?」
「うむ、イクスタスに任せるつもりだ」
ビシッとサムズアップする皇帝に凍りつく官僚達。
所々で「イクスタス様が?」「引きこもり皇子が?」という声が上がる。
「一日を部屋の中で過ごすあの皇子が……ですか?」
「あれでもお前の兄だぞ? そんなこというな」
「あれを兄とは思いません。それに父上も周りも多かれ少なかれ思っていますよね?」
その言葉と鋭い視線に、コソコソ話していた者達が視線をあさっての方に向ける。
「何故父上も視線をそらすのですか?」
「い、いや……はは。まあ、普段がどうであれ管理は必要であり、イクスタスが動いたのだ……任せようではないか」
***
「――と、いうことだな」
「嫌だ!」
勢いよく首を振るイクスタスだが、皇帝は書類を見せつけながら言い切る。
「もう決まったことだ諦めろ」
「そんなーーーー!」
***
そんな彼らの元にキェフシー大公国から、領主から助けてもらったお礼の手紙が来た。
この頃の様子がおかしい、はイクスタスが魔法を使って分身を作って外出していたからです
イクスタス君は第一皇子の兄貴分です。




