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このアイテムは呪われています!  作者: マリー?
4章.仲間との出会い~魔王編~
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47.中二病でも侵入したい!

テストが終わったので更新再開。

 

「お疲れ様でしたー」

「おう、嬢ちゃんもお疲れさん」

 あれから最初に遭ったような群れに遭遇することなく、三日位でフェスト帝国の首都『フェスタ』に着いた。……けどなんか、どよーんとした重たい空気が漂ってる。人は居るには居るんだけどこの世の終わりみたいな顔してるし、ハロウにあったような石造りの建物は、窓という窓の全部が閉まってる。うん、空が曇ってるっていうのもあるけどね。

 あ、雨降りそう。


「いつもお祭りをしているとは思えないくらい暗いねぇ」

「確かにねー」

 なんでもこの国の皇帝がお酒が好きらしく、祭りならいつでもお酒が飲めるっていうことでお祭りを沢山開催してるらしい。ちなみに親子三代に渡って酒豪、酒好きが引き継がれてるとのこと。

 お祭りでは、月の初めにはその月に生まれた国民達の誕生日会(という名のお祭り)、さらに皇帝や皇帝の子息、息女などの誕生祭もあるらしい。お祭りばっかりだ……。

 でも、周りには国民の陽気さと相まって受け入れられてるから、もう驚きとしか感想はないよ。

 ちなみに沢山の人がお祭りのために遠くから足を運ぶとかなんとか。


 で、そんな陽気な国民がこんなに暗くなってる理由は、主サマとロイさんによって魔王が倒された、っていうお祭りをしてるとこに来る不吉な知らせ『魔王復活!』を知ったからだね。喜んでるとこに来るっていう、上げて落とされた状態だもんね。


 でも、でもね? そんなに暗くなってるとこ悪いけど、魔王は勇者をストーカーしてるし、当の勇者にはバレてるんだよ?

 部下には仕事をしろって連れ去られるんだよ?


 そ れ で も 怖 い と 思 う ?


 一回聞いてみたいけど、聞いたら最後「魔王の手の者か!?」ってなりそうだから止めとこう。


「それじゃあ、宿屋に行こうか」

「うん」



 ***


「これ思ったより高いんだけど……」

 無事宿屋に辿り着いて、夜になってから証拠を王城に置きに潜入しようと城壁近くに来たんだけど。


 レン、壁走りすれば行けるって言ったの嘘だよね?

 王城がなんか城塞っぽいんだけど。ものすっごく高いんだけど。前は馬鹿みたいな筋力があったから行けただけなんだけど、今回もそれを期待してないよね? っていうか、大砲とか装備してるんだけどこの城塞。

 見つかったらあれで撃たれ……はしないだろうけど、怖い、行きたくないっていうか行けない。


 はあ、下っ端には何も考えずにとにかく与えられた命令を実行しないといけないんだよね……。

 とりあえず、壁には弓とかを使う用かなんかの窓があるからそこから入るとして、どうやってそこまで行こう?

 壁走りは筋力的に無理だし、何よりあんな高いとこを落ちる落ちるって必死になりながら走るのは嫌だ、怖いし。


 空を歩けたらいいんだけど……楽だし。

 地面を空中に持ち上げるとか? そもそも使えないし、ただのポルターガイストだね。いやあたし幽霊じゃないけど。


 あ、時間魔法で空気中の粒子を固めるのはどうだろう。階段みたいにして。

 そうと決まればやってみよう!


 ***

「っと、っほ」

 パリンッ……

「~~~!」

 ぽむっ


 あれから三十分くらい経つけどなんかなかなか成功しない。十段くらいは安定して出来るようになったけど、その後は割れては落ちるの繰り返し……。でも、下の空気の動きをものすっごくスローにすることでクッションみたいにできた。なんか水の中に居るみたいで楽しい。……これは要練習だねっ!


 でも、今は楽しんでいないで登らないと。慣れてきたこともあってか、落ちてもすぐ発動できるから少しずつ上がってるけどまだ三十メートルくらいありそう……どんだけ高いの、この壁。


 ……よし、壊れる前に駆け上がろう。落ちそうになったらクッションを使えばいいし。

 せーのっ!


 タタタタタタタタタタタタタタタタッ!

 パリンパリンパリンパリンパリン……!


「ん? なんの音だ?」

 わーやばい! 見張りかなんかの人が窓のとこに居た!

 擬態擬態……あ、このローブ! 魔力を隠蔽しながらそっと流して……。ドキドキ。


「…………ふん、気のせいか」

 なんか矢鱈とこっちをジッと見てきたけどセーフだよね? ピクリとも動かなかったしローブの効果もあるしね?

 はぁ、ビビッた……。


 と、とりあえず、ここの窓から入るのは止めとこう。うん。

 それじゃあ……、右端の塔にしよう。誰も居なさそうだし。


 それからは自分でも驚きの集中力で一回も割らずに塔まで行けた。いっつもこれくらいの集中力が欲しい!


 こそっと窓ガラスから中を見ると思ったより内装の質がよかった。壁を埋め尽くす勢いで置かれた本棚には古そうな本が所狭しと詰められ、革が張られたソファや椅子にはよく貴族とかが着そうなキラッキラした服や装飾具――は多分魔道具かな? 魔力感じるし。

 そして極めつけは純白の天蓋つきのベッド。でも、そこからは眠ってるのか寝息が聞こえる。おおう、これ行っちゃってもいいの?


 まあ、サンタも寝静まったなかこそっと入るもんね! あれ? よく考えたら不法侵にゅ……そ、そもそも居ないか。うん。


 よし、行こう。こそっと本棚の近くにある机に置いておこう。そうしよう。

 あたしはマフラーに手を掛けると鼻の上に掛ける。うん、マスクの代わりだね。


 えっと、解錠。で、忍び足でコソコソ。

 ちらっとベッドのほうを見ると紅い髪の人が目を閉じてる。ふう、気づかれてない。

 でも、領主の家であった赤髪の人を思い出す……いい加減あれは忘れよう。何も見てないし覚えてない。よし。


 ポーチから取り出した魔結晶(魔力を流したら再生されるように設定済み)と書類を机にそっと置く。ああ、書類に皺が……。伸ばそう。

 すると、ベッドが有った方から衣擦れの音が聞こえてきた。え、ちょっ!


 やばいやばい! 見つかった!? 窓から逃げるのはきつそうかな? でも、扉から壁の中に入ってもさっきの見張りの人に見つかりそうだし……。相手の隙を突いて窓から逃げよう。うん。


 ばっと振り返ると、護衛のときに見た矢鱈と倒してた人とおんなじマントを目深に被った人がいた。貴族もそのマント使うの!? まさかの!?


 じゃなくて、えーと……あ、そうだ。

「し、深淵より蘇った我が同胞は、こ、此れを届けることを望む……!」

 ポカーンとしてるのはいいけどなんか恥ずかしい!!!!

 こ、これだけじゃ分からないだろうから、と、とりあえず魔力を流してデモンストレーションしとこう。


『今回は誠にお世話になりました。お陰様で無事支援金を――』


 さらに、魔結晶から聞こえてきた声に瞠目する。

 よし、今のうちに!


 あたしは思いっきり走ると窓枠に足を掛け、ジャンプした。

 ……怖くない怖くない怖くない怖くない怖くない怖くない怖くない怖くない!


 そして、階段やクッションを使って、なんとか宿屋に帰った。



読んでくださりありがとうございます。

割れる音はそこまで大きくないです。

中2セリフが思い浮かばない……。

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