35.作戦を立てよう
読んでくださりありがとうございます。
意外とよく考えれなかったり考えれる主人公。
基本的に国民たちは勇者とかを盲信してると考えてください。
ダンジョン〈脱落の土地〉
「まあ、そのままキミを放り出しても何していいか分からないだろうから作戦会議をしようか」
そう言ってレンは勇者の現状を話し始めた。
「まず前提として、星名雪の着けている災厄は周りに、着けている本人と同じような影響が出るものなのさ」
「影響って?」
気になって思わず聞くと、指を四本立てて言った。
「破壊衝動さ。で、それの被害にあった村が、今のところ四つ」
……oh
雪様は筋力が高かったような……。ん? 周り? 信者――雪様の周りには雪様の信者が沢山居たような……。
その沢山の信者+雪様が破壊活動……。
残ってる村は在るのかな? なんか全部焼け野原しか想像できないんだけど……。
レンは頭を抱えてるあたしをニヤニヤと見てから、急にまじめな顔になって続ける。
「村は復興すればいいのだけれど」
「いや、あんまりよくないと思うけど」
「もっと大きな問題があってね。どうやら領主まで星名雪達に便乗しちゃっているのさ」
「あたしの言葉は聞こえないの!? って、便乗? 破壊活動に、なんで?」
領地のことなのになんで。被害が出る一方なのに……というか、どうやって?
何も思いつかなくて腕を組んで唸ってると、レンが常識だよ、って呆れた顔で答えた。イラッ。
「魔物被害で復興が難しいところには国から支援金が出るのさ。まあ、国に属している領地だけだけどね」
「てことは、そのお金目当てで魔物で襲わせたんだ! 勇者は焼け野原にするだろうから」
復興が難しくなるのはどれくらいからかは分からないけど(魔法あるし)、魔物被害なら魔物を使ったんだね! その魔物は……あれ、どうやって?
だんだん自信が無くなってきた……。
「確かに魔物を使ってるよ。餌で釣ってね」
答えだけを言われた。ものすごく分かりやすい答えを。なんで思いつかなかったんだろう、あたし。
魔物によるかは分かんないけど、三大欲求の一つだもんね。お腹へっててご飯があったら食べるからね。魔物も一緒だよね。現に夢見の大地の魔物もご飯食べてたもんね。……食べてたっけ?
まあ、それはいいとして。勇者がこんなとかの噂が流れたら駄目だろうし、なんとか誤魔化さないとねぇ。
うーん……。でも魔物を使ってるんなら、雪様たちは魔物退治をしたってことで誤魔化したらいいんじゃないかな……。魔物がどれくらい居たのかは知らないけど、魔物が普通に暮らしてて近くの村とかに少しは被害があるであろう中での(復興の)支援金ってくらいだし、ある程度は魔物を呼ぶはず……。それに、勇者の名前もあるから、魔物+勇者=魔物退治ってなるんじゃないかな、たぶん。駄目なら噂を流して情報操作をしないと……楽しみだね♪
ってことは情報収集をしないとね。
「その作戦いいね。その調子で領主も潰してね。今の領主は候補から選ばれた人で他の候補は真面目らしいから、思いっきりね」
あたしが密かにわくわくしてると、レンが心を読んでにこやかに言った。
そうだ、雪様たちを利用したんだから報復しないとね♪ ――あたしがレンに利用されてるとか思っちゃ駄目だよね、ね?
「あ、もう支援金を貰っていたらしいよ。明細書があるかもしれないね」
ヒントはくれるんだ……。
ていうかその情報はどこから……。
「夢の中では皆、素直なのさ」
爽やかな笑顔でサムズアップして答えてる。
怖いし心を読むな!!
それじゃあ、支援金の明細書を奪ってみようかな。それから、実際に使われた金額も確かめよう。書類上は……ってこともあるだろうし。
楽しみだし急がないと被害を受けた村とかが増えるね。
善は急げ、だね。いやなんか違うな。
「明日はもっと進もうか」
「うん、おやすみー」
「おやすみ」
そしてあたし達は眠りについた。




