表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このアイテムは呪われています!  作者: マリー?
3章.裏切りと出合い~夢の住人編~
29/98

27.王宮侵入したら捕まった!

読んでくださりありがとうございます!

指摘、質問等どうぞ!


カスミソウの花言葉は

無邪気、幸福などだそうです。



 ダンジョン〈夢見の大地〉




「えっと、鞄とレイピア、あと、王国の紋様の入った布。これだけかな」


 あたしは、2時間くらいで痺れが取れた(それなりに有ったのかな、毒)あと、早速侵入の準備をしてる。


 ショルダーバッグとベルトと、それに付けるポーチをロイさんにもらったあたしは、ベルトポーチを腰に付けて、その中に布を入れる。

 この3つはロイさんがあたしが侵入すると聞いた後に作ったらしい。けっこう器用だね、ロイさん……。

 ベルト部分は魔物の革が使われていて、他は布が使われている。端っこにカスミソウみたいな花の刺繍が入ってる。こんな短時間に作ったとは思えないほど丈夫で、思ったより布に伸縮性があってガラス瓶とかも傷つきにくくなってる。


 とりあえず、ショルダーバッグは侵入には使いづらいから、置いていこう。

 よし。行くかな。


 あたしは、皆に出掛けることを伝えた。

「行ってきます」

「頑張ってください」

「いってらっしゃいッス」

「ドジは踏むなよ」

 ……主サマ、それは約束出来ないよ。

 ……。努力しますから睨まないで。皆はやっぱりするだろうな、って顔をしないで!


「りょーかい。じゃあ、行ってきます」

 そう言ってダンジョンを出る。


 ここから王宮までは徒歩2時間だったから、走れば……15分位かな? 道が直線的じゃないから器用0の直線しか走れないあたしは、それ以上かかりそうだけど。


 今何時だろ。月は……。

 月が3つある。……。

 衛星が3つ……そもそも、太陽とかって地球とおんなじなのかな?

 後で聞こう。とりあえず、もしも侵入途中で朝になったときのために急いだ方がいいよね。


 ……こんなときにワープとかテレポートが使えたらなぁ。無い物ねだりか。


 擬態しながら出来るだけ直線的に走って、城壁とか、王宮の壁を壁走りで駆け上がって、鍵を解錠で開けながら部屋に行って本を取って、陽とお兄ちゃんに会って。あ、布は雪様に渡そう。

 計画も立てれたし、行こう。


 あたしは地面を蹴って走り出した。

 周りは暗いけど、夜目のお陰で普通に見える。ダンジョン暗かったからかな、いつの間にか身に付いてた。


 入るときは人が多かったのと、成果のことで頭が一杯で周りをあんまり見てなかったけど、ダンジョンを出たとこは広場みたいになってて、木はあんまり無く、走りやすい。

 広場を出ると道が少し続いていて、その先には家が見える。

 あたしは、住宅街に入ると、サルに擬態しながら(屋根の上を走るでパッと思い浮かんだのがサルだったから……)屋根の上を走る。これでもし見られても安心。家と家の間はそんなに広くないから(むしろ狭い?)普通に走る感覚で走れる。時々家の間に躓いてこけそうになるけど……。


 そんなこんなで走り続け、13分位で王宮に着いた。おぉ~。思ったより早い。


 そして、走ってきた勢いそのまま壁を駆け上がる。しばらく走るとよくある頭から落ちそうになる現象(重力だからしかたない)をなんとか堪えつつ、城壁を登りきる。下は見ないようにした。怖いから。



 ……そして、ひとつ思った。


 登 っ た は い い が 、 ど う や っ て 降 り よ う 。



 全く考えてなかった。飛び降りるにしても受け身を取れなきゃベチョだろうし、壁走りで駆け降りるのは勢いがつきすぎてそのまま地面にベショってなりそう。


 う~ん。


 あ、ここから斜め下の部屋の窓が開いてる。

 王宮と城壁は5メートル位しか離れてない。ちょうど城が城壁に寄ってる方だ(もう片方は庭園があるらしい)。


 ……助走をつければ行けるかな? 部屋が明るくないから誰もいないっぽいし。


 よし。

 城壁のギリギリまで下がって、思い切り走る。

 城壁の端まで来たらジャンプする。

 少しずつ落ちながら壁に近づいていく。……ん? 壁?


 うわっ!?



 あたしは急いで前転して足を壁に付ける。……危なかった。

 ただ、王宮が少し揺れた。多分、王宮の中には音が響いてそうだな。

 急ごう。

 そんなことを壁を走りながら考える。


 確かここがあたしがいた部屋。誰もいないのを確認して、窓の鍵を解錠で開けて素早く中に入る。

 どうやら片付けられていないらしく、本はベッドの上にあった。ポーチの中に入れると、部屋の外で慌ただし足音が聞こえた。


 陽達をどうやって探そうと考えていると、誰かが入ってきた。



 ……え、バレた?

 あたしは最後の抵抗と擬態で周りの景色に溶け込んだ。


 ……バレた!? こっち見てる!

 あたしの行動はあんまり意味は無かったらしい。……どうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう!

 これ打ち首だよね! 処刑だよね! 王宮に侵入したんだから!


 真っ青になって、軽くパニックになってるあたしを他所に、誰かは部屋の外の人を連れてくる。

 そして、一番最初に入ってきていた誰かがあたしに抱きついてきた。……うん?


「奈央、無事だった? お兄ちゃん心配でずっと部屋の隣の部屋に居たんだよ」

 どうやらお兄ちゃんのようだ。後ろには陽もいる。


 陽に抱きつきたい衝動に駆られたけど、家族のとこに帰れたからか、お兄ちゃんの暖かさに触れたからか(絶対に前者だよね? ……まぁ、後者でも……)、涙が出てきて、その場から動けなくなった。

 そんなあたしを、お兄ちゃんはいつもみたいにふざけずに、やさしく頭を撫でてくれた。


 ううっ。ひっく。

 しばらくの間、部屋にはあたしの嗚咽が響いていた。


 少しして、陽が慰めに来てないことに気づいた。

 ……陽もおいで?


 あたしがおいでおいでしてると、陽が

「じゃ、王のとこに行かないと。……死んだことになってるから」

 爆弾をくれた。ハグが欲しかったな。

 ……じゃなくて。

 あたし死んでたの!? いつの間に!?


 あたしが事情を話す前にお兄ちゃんが

「そうだね。皆強くなってるし、奈央も不安だろうけど、頑張らないとね。そんな奈央の為に僕が手取り足取り教えてあげるよ♪」


 なんかいつの間にか、あたしが戻る流れになってる。

 でも、戻りづらいんだよね。

 あたしがボッチなのはお兄ちゃんや雪様が原因だし。近くに居るだけで鋭い視線という攻撃をくらってるのに、さらに近づくと、危ないよね?

 特に、力を持って浮かれてる人達。お兄ちゃんや雪様に近づけると思った矢先にあたしは、ね。最悪、ボコられ過ぎて死ぬかも……さすがにそれは無いとしても、痛そうだからな……特に転移前に不穏な会話をしてた誰かさん達!


 とりあえず、あたしに帰るとこが出来たことと、お世話になったこと、(皆が)安定して、(あたしがボコられる)心配が無くなるまで、その人達と居ることを、知られたらヤバそうなこと(リーダー君のこととか、ボコられることとか)をかいつまみながら話した。


 意外にも、二人は同意してくれた。お兄ちゃん過保護なのに……なぜ?

 まぁ、同意してくれたんだし、細かいことはいいか、と気にしないで居ると、

「奈央さん、帰られましたのね!」

 雪様がやって来た。……狂信者を連れて。あたしを見ると驚いた顔で言った。


「野川の幽霊だ」

「私の優斗様に抱かれて……なんなのこいつ!」

「何!? オレの優斗様がっ!?」

 最後の何!?

 思わずお兄ちゃんの顔を見ると、聞こえてないのか、聞こえてて敢えてスルーしたのかやさしい微笑みでこっちを見詰めてる。……いや、若干顔色が悪いから、聞こえてたんだな。御愁傷様。あたしは深入りしないよ。



「おい、お前が侵入者か?」

「おい、ばか! ……こほん。えっと、あなたが城壁から入ってきた人ですね?そして、少々報告する必要のあるものがあるので、付いてきて下さい」


 あ、

 いつぞやの脳筋風騎士とインテリ風騎士だ。

 そしてデジャヴ。


 でも今度は問答無用で、手錠らしきものを付けられ引っ張られていった。



 ……引き摺るのはどうかと思う。




インテリくんが言い直したのは、奈央の隣にいた奈央の兄が怖かったのと、勇者の一人だと気づいたからです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ