表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このアイテムは呪われています!  作者: マリー?
2章.仲間との出会い~王子編~
26/98

24.ロイさんの過去〈ロイ・F・ノワール視点〉

読んでくださりありがとうございます!


なんか書いてるうちに話がずれて、過去編になりました。あれ?



しんみり系です。

 ダンジョン〈夢見の大地〉




 それは、ナオが王宮に行くと言った次の日のことです。


「そこをこうやってモヤーとさせればいい」

「主サマ、もうちょい分かりやすく言って! モヤーって何!」

 今、わたし達は練習用にとダンジョンの一部を貸してもらっています。

 ナオはダインという者と魔法の練習をしています。

 そして、わたしはそれを眺めながら、考え事をしています。


 あのダインという者は始めに会ったとき、気配が何故だか異様に感じました。まるで、人ではない何か。魔物のような感じがしました。(まぁ、ダンジョンの管理室と言った時点で、相手は魔物かそれに近い関係者だろうという憶測はできますが)


 わたしはもともと魔物や魔人と親交のある国の第2王子として生まれました。なので、魔人とはよく話す機会がありました。(魔物は民と親交が深いらしいです)なので、魔人やダンジョンの仕組みなどは自然と理解出来ました。(管理室と言われたとき、わたしは驚かなかったのでただの人ではないと思われているでしょうが……)



 わたしの母国は、人族と魔人族が暮らしていました。

 だからでしょうか。

 魔物が暴れまわるだけで、すぐにわたしの母国は他の人族の国々に狙われました。(魔神は魔法の象徴なので、信仰していても問題にはなりません)まぁ、魔人族も居ますしそこまで被害は大きくなりませんでしたが。

 ですが、ある日。

 魔王が復活したという知らせと共に、それに危機感を持った人族の国々が大きな討伐隊を組み攻めてきた、という噂が流れました。


 そして、それを確かめているうちに討伐隊が来てしまいました。噂が流れてからあまりにも早く、そして大勢の精鋭にわたし達は押され続け、開戦2日目に王宮まで攻め込まれました。


 わたしはそのときから女性のような姿でした。なので、女性と勘違いされたのか捕虜として妹と(母は、病気で亡くなっていました)何処かの国へ連れていかれるらしかったのですが(兄と父は処刑のようでした)、最後の抵抗とばかりに兄弟3人で逃げ出しました。(今思えば、自害しなかったのは、まだ思い残す事があったのでしょう)


 ですが、逃走劇はすぐに終わりました。

 国から出る直前にわたし達は見つかってしまったのです。

 すぐに取り押さえられました。ですがわたしは隙を突いて小ぶりの剣を奪い、押さえている人を切りつけ逃げ出しました。……兄妹を置いて……。


 わたしはそのとき、兄と妹はすぐに追い付いて来ると思いました。わたしのように相手を切り……。わたしは、これが初めて生きた者を殺した経験でしたが、何も感じませんでした。


 いくら待っても、兄と妹はなかなか来ません。

 わたしは魔物を倒し、商人を襲いながらずっと待ちました。そして半年くらい経つ頃に、わたしは別人として生きる決心をしました。

 近くの国に行き、冒険者になりました。

 名前は、わたしの影武者のような存在だった(実際そうだったのでしょう)女性の友達の”サラ”としました。

 わたしは、父が人族。母が魔人族でした。母の血を濃く受け継いだわたしは、すぐに強くなりました。


 そして、わたしは兄妹と父がどうなったのか調べました。

 その途中でわたしの母国から来たという人を見かけました。わたしが王子のロイだと知ると、応援する人が大勢でした。恨まれてもおかしくないのに。


 数日後。わたしは、わたしの母国は無いことと、皆処刑されていると知りました。わたし含め、全員です。わたしはなんとなく悟りました。

 ……サラ。わたしのせいで……


 それからわたしは、一層女性のように、サラのように振る舞いました。サラはまだ生きているように。

 わたしは孤独でした。強すぎる力は相手から距離をとらせます。そして、わたしには親しい人達もいませんでした。



 その後すぐ、勇者が呼ばれたという知らせが世界中に広がりました。


 わたしは、わたしには関係ない、と依頼を受けたりダンジョンに潜ったりしました。


 ある日、わたしの依頼と探し物の場所と、勇者の訓練場所が被ってしまいました。

 わたしの調べ不足だということで、勇者の訓練が終わってから潜りました。


 その途中で、目の前で魔法の練習をしている少女”ナオ”と”ダイン”と名乗る不思議な人物と会いました。ナオ・ノガワという名前は聞いたことの無い響きでした。会う前に、今まで感じたことの無い危険な気配が近づいて来ました。そのせいで、殺気が出ていたかもしれません。


 それでも、ダインと名乗る人物はわたしを仲間にしました。

 わたしが仲間になったのは、わたしの依頼の内容と一致していたからです。

 そして今まで気を張っていたわたしは珍しく、ナオ達に付いていきました。ナオといると何故か安心したからです。


 そしてナオが寝ているとき、わたしは、彼女の人指し指に探していた指輪を見つけ、ナオと話をしました。


 彼女の過去を聞き、呪いにかかっても、リーダー君や雪様…唯一の親しい人達に置いていかれても明るく振る舞う彼女に「何故、唯一の親しい人も居ない状況、知らない土地でそんなふうにいられるのか」と疑問に思うと共に、決意しました。


 わたしは逃げずに現実と向き合おう、異種族間でも仲良く、手を取り合って暮らしていたわたし達の母国を復活させよう。

 母国”リラッド”を。

 と。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ