0.元は魔王?それとも――
空欄には言葉が入ります
「ねー、次は何して遊ぶ?」
「缶蹴りはどうだい? 地球って所にある遊びらしいよ」
「じゃ、それしよう!」
オレンジの空、大きな大きな『始まりの木』の下で、缶を蹴っては逃げる。その繰り返し。何十回も何百回も。
「あ、そろそろ時間だ」
「えー、もう帰るのー?」
「帰らないといけないからな……また遊ぼう」
「約束?」
「勿論。約束」
寂しくても止めてはいけない。彼とは住む世界が違うから。
寂しくてもいつも通りじゃないといけない。彼は今、不安定だから。
「じゃあね……」
***
「遊びたいー!」
「駄目だよ、 としての仕事があるだろう?」
「こんなことなら なんて辞めてやる!」
「ボク達を たのは君だよ? この の為に」
「そうだけど~」
「それなら最後まで頑張りなよ、 様?」
いつも同じ会話。
仕事をすることばかりで遊べず、他の皆が遊ぶ様子を見ては混ざる為に近づこうとして の に見つかって仕事場所に連れて行かれる。
数えるのもバカバカしくなるような程、繰り返される光景。
そんな中で彼女が望むことは一つ。
「普通に人として生まれたら、もっと楽しかったのかな?」
これまでをやり直すこと。もっと楽しく過ごす為に。
なのに……
彼女は血まみれになった手を見ながら呟く。
「なんでこうなったんだろうね。 、 、 。こんなことしたかったわけじゃないのに……ごめん」
「ねえ、魔王……約束は、ちゃんと守ってよ」
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