17.依頼完了♪
読んでくださりありがとうございます!
ダンジョン〈夢見の大地〉
5回ぐらい階段を駆け降りていったところで、急にあたし達の後ろの階段が盛り上がった。……うん? 階段にそんな機能は無いよね…?
「おぃ、誰だよ罠引っ掛かったの!」
主サマのイラついた声が響いた。
そういえば、主サマはボス部屋には階段が無くなる罠があるって言ってたな……あたしは引っ掛かってないよ? それに、ダンジョン自体が引っ掛かるわけないよね?
てことは……
「あ……あの、すみませんわたしが……」
ちょっと怯えた風にサラさんが手を挙げた。
そりゃ怯えるよね、主サマが睨んでくるから。
……いや、あたし引っ掛かって無いから……。
あたしは固まっていた。それは、主サマも怖いけど(主サマ、睨まないで……)、目の前の光景の方も怖いから……。
そこは、今までみたいな土と岩で出来たダンジョンではなく、古びたコンクリートと、光る沢山の苔でできていた。
周りの壁は白い石を削ったみたいに真っ平らになっていて、何か文字が刻まれてる。いや、ミミズがのた打ち回ったような字だね。床には、古びたコンクリートが敷き詰められ、溝には光る苔が生えてる。おかげで視界には困らない。そして、ところどころに壁と同じような、石柱がある。
それを見たサラさんと主サマの
「意外と優秀ですねぇ、このダンジョン」
「よく知っている様だな」
っていう後ろからの話は、あたしには聞き取りづらくて、何か言ってるな、程度に聞こえた。
ん?
あの二人はまだ話してるの?
いい加減、目の前の怖いやつ……オオカミ型の魔物の群れと、大きな赤いオオカミの魔物(たぶんレッドウルフ)をどうにかしないとね……おーい二人ともいい加減、目の前のをどうにかしようよ。
ねぇ、何か魔物がこっち向かって来るんだけど……。
……ねぇ、何か喰われそうなんだけど。
ね ぇ 気 付 い て !
大きな音は、余計魔物の気を逆撫でるだけだと教わったあたしは、必死に魔物にレイピアを刺し、倒しながら心から助けを待った。……いや、早く助けて!! 待ったら死ぬ!!
「……ッ……」
鋭い息遣いがしたと思ったら、近くの魔物が5体倒れた。
「大丈夫ですか?」
そう、サラさんが言ってきた。今のはサラさんの投擲か……速い…。
「はい、サ ラ さ ん ありがとうございます」
「なぜサラさんのとこを強調する。2体はオレが倒したんだぞ」
主サマからは何も聞こえない!
あたしの頬をかすりながら魔物に当たったのは、魔物の攻撃だよね!あれ、主サマも魔物か……。
「あれが、レッドウルフですね?」
サラさんが主サマに聞いた。
「あぁ」
主サマは短く答えてる。……なぜそんなに機嫌が悪いの? さっきのが気に障ったの? いつもの事だよ? ……後で謝ろう。
とりあえず、戦闘開始だね♪
……とはいっても、決着は直ぐだった。
***
「……ッ、ッ」
サラさんが鋭い息遣いと一緒に、20体ーー半数近くのオオカミ型の魔物〈ウルフィア〉にダガーを投擲していく…。
「……ボム」
主サマは短い詠唱で魔法を放つ。瞬間爆発した。近くの魔物ごと、爆炎で焼き払っていく。……その数20体。
……あたしは要らなかったんじゃ。
でも、レッドウルフには攻撃が当たっていない……当てていない……。……殺れと、潰せという事だね! 役を少しでもくれてありがとう♪
……やりますよ、やればいんでしょ!
そしてあたしは、レッドウルフが二人に気を取られてるうちに、さっと後ろに回り込む。
そこで、レッドウルフの口の近くにノルス王国の、紋章の入った布があるのを見つけた。
それを見て、あたしが指輪を拾ったときの、あの騎士達は、レッドウルフに殺された……喰われたんだと悟った。
王宮に帰るときは、あの布も持っていこう。そう思いながら
トスッ
レッドウルフの首にレイピアを突き刺した。
絶命するのを確かめてから、布を取る。
どうやら、二人とも終わったらしい。……。色々言いたいことはあるけどとりあえず、
討伐依頼完了!
だよね♪
ダンジョンについてはあまり情報が出回ってないから、人族は特にダンジョンは土に何かあってダンジョンが出来たと考えられています!