13.ダンジョンの裏事情
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今回は説明回です。
ダンジョン〈夢見の大地〉
ここでは、作戦会議という名の、説明会が開かれてる。
「で、結局ここはどこ?」
あたしは銀色のオオカミ、フレッドに聞いてみた。でも、返ってきたのは意外な言葉だった……
『ダンジョン管理室ッスよ、管理室』
え……そんなものが?
『うーん……ダンジョンっていうのは雇い主、このダンジョンそのものと雇い人、僕たちみたいな魔物が契約をして、経営してるッス』
契約……経営……
『ダンジョンも上位の魔物ッスからね。で、契約内容によるんスけど、ダンジョンは普通、餌や身の回りの世話なんかをしてもらうッス。まぁ、ここでは娯楽を……ッスけど。僕たち魔物はそれを提供するのと引き替えに、住むところや力、お金を貰ってるッス』
餌って……
いや、考えないようにしよ……。
「それは、本当そうですわ……。これを見てくださるかしら?」
言われた方を見てみる。
何あれ。魔方陣?
あたしが首をかしげてるとフレッドが説明した。
『あぁ、それは出入口ッス。向こうからは見えないッスから、そこから覗くことも出来るッス』
……ぇ!
『そろそろ主が来る頃ッス。よく何処かに行くッスから』
ダンジョンが移動を……!? ダンジョンって大きいから、周りの被害が……。
一人で戦慄してると
『上位の魔物は、姿を変えたり分身を作れるッスよ?』
一瞬の強い光に目を瞑って、恐る恐る開けたときには……
……期待は裏切られるためにあるんだろうか。
「こんな風にッス!」
……目の前には赤い瞳で切れ長の目をしていて、銀色の少し長めの髪をした、いかにも野生の狼! っていう人が立ってる。
ここまではかっこいい。100人中100人がイケメンって言いそうだな……
……でも、要らないことにその雰囲気をぶち壊しにするドヤ顔をした人がいる。ついでに言うと頭の上の三角の獣耳がせわしなくピョコピョコ動いてる(いや、可愛いけどね)……もっとかっこよくドヤ顔しようよ!
いや、ドヤ顔自体イラッっとくるけど!
ん?
「ダンジョンって分身作ってうろちょろしてるんなら、さくっと殺ったら良いのに?」
フレッドの褒めてオーラなんて見えないよ!
「……。……面白がってるんスよ。娯楽大好きッスから」
ピンチじゃ無いの!?
「あ、あれかしら? やっと見つけたわ♪」
……ずっと探してたんだ。雪様が嬉しそうな声で言った。
「あ、ヤバいッス。主が冒険者と接触したッス。主は結構強いッスけど、抜けてるッスから……」
………。
「ちなみに、主さん? が殺られるとどうなるのかしら?」
雪様が恐る恐る、って風にフレッドに聞いた。
「……主は長い間遊べるようにと、多くの魔力を分身に注ぎ込んでるッス……。つまり……、殺られるとダンジョンが形を保ちにくくなるッス……、5年くらい……」
……主! 何してんの!?
「止めましょう!」
雪様がキッパリと言った。
あたしも大賛成。
あたしが頷くと、雪様も頷き返してくる。
「行こう!」
出入口を出ようとするあたし達に
「一応、主も本当に危なくなったら本気でやるッス。やるときはやる奴ッス」
少し、嬉しそうな声が掛けられた。
そして、あたし達は出ていった。