11.奈央の失敗
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あたし達は今、魔物たちと追いかけっこをしているよ。
……皆、必死に逃げてるけど……
「いやぁ！」
「来るなぁ！」
「うおっアブねー！」
「痛いっ！」
……アタシハナニモシラナイ……
＊＊＊＊＊
城門前
「皆いるな？ ではこれからダンジョンに出発する。はぐれるなよ」
そうライアさんが言って、あたし達はダンジョンに向かった。
でも、酒瓶は要らないと思う。
＊＊＊
「では、これからダンジョン〈夢見の大地〉に入る。まずはA班からだ」
そう言って、酒を飲みながらスタスタ入っていくライアさん。思い遣りはどこ？ そして、酒そんなに飲んでるけど体の何処に入ってるの？
今回は、A～F班の全6班で、それぞれ生徒5人に、サポートとして、騎士団の人2人の計33人で入る。
ちなみに、〈夢見の大地〉の由来は、新米の冒険者が将来を夢見て入るからだとか……他の強いとこ行けよ……
他にも、薬草が豊富で、魔物も比較的弱く、穏やかで新米の冒険者～薬を求める村人まで幅広い人気を誇っているらしい。
＊＊＊
そして、階層が変わるごとに班を変えていって、今現在地下5階、あたし達F班の番だ。
……。
……成果が、ない……。
あたしは魔物に斬りかかっても避けられ（避けてるよね!?）、攻撃されれば、避けるという不毛な闘いをしてる。
それに反して皆は、魔物を次々と斬っている。
そして、魔素（これを吸って強くなるらしい）が充満してる。
焦ってたあたしは、正常な判断が出来なかった。
コツン
あ、何か蹴った。
拾ってみると、それは指輪だった。
お宝だと思ったあたしは早速人差し指に着けてみた。おー、ピッタリ。
すると、奇妙なメッセージが流れた。
『このアイテムは呪われています。全てを集めれば外すことが出来ます。神の導きがあらんことを』
？？？ え、何？ 呪い？
そして、メッセージは更に続く。
『このアイテムの呪いは、動物からの愛です。頑張って全てを集めて下さい。では、またお会いしましょう」
始めの機械のような感じの声が、女の人の声に変わった。
いや、『動物からの愛』がなんなの？語尾は大切だよ!?
これは……
そんなあたしは、低く鋭い声で戻った。
「ぼーっとするな！ 死にたいのか！」
そして、今まさに噛みつこうとした小型犬魔物（かわいい）を焼き払った。（あぁー……）
「スミマセン！」
とりあえず謝っとく。怖いし謝っとく。
……ドドド……
ん？
「ねえ、何か聞こえないかしら？」
雪様が聞いてきた。
「聞こえたけど……」
そして、それは……
ドドドドドドドドドドドドドドド!!!!
魔物の大軍団だった。
……
………
……………うわあぁぁぁあ！
「おい！ 今すぐ上に逃げろ！」
鋭い指示が飛ぶ。
そして、ダンジョンは蜂の巣をつついたような騒ぎになった。
「うわあぁぁぁあ！」
「いやぁ！ こっち来ないでぇ！」
「あっち行け!!」
皆は全力で上に逃げている。
全筋力値を駆使して。
気がつけば、あたしは最後を走ってた。
すぐ前には雪様が走ってる。怪我でもしたのかな？遅い。
そして、後少しで出られるってとこで……
……あたしは、魔物に押し倒された。
……ん？
………ぇ…！
……………っ!?
「きゃあぁぁあ!!」
もう、ほとんどの生徒が外に逃げている。
後ろに騎士団の人が居ないのは何故だろう？
そして、前を走ってる雪様がチラリとこっちを向いて、驚いた隙に、魔物に押し倒されていた。
……あぁ、巻き込んじゃったね。ごめん……
そして、ダンジョンの出入口が魔法で閉じられる音を聞きながら、あたしは意識を手放した。
シリアス回です。やっと指輪GET！
