表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/15

俺、幼なじみ説得します。


俺、、イラン、サラ、アミーの4人は海辺にある村に来ていた。


ここでは漁業が盛んで獲れる魚も豊富で美味しいと遠く離れた俺たちの村まで評判が聞こえてくる村…


の、はずだった。


しかし、俺たちが見た村は廃れており、人々の顔に生気はなく、皆、暗い表情をしていた。


どうなってんだ?


そう思った俺は村人に話しかけることにした。


「あの、この村は漁業で有名だときいたんですが…」


そう尋ねる俺に対し村人は


「ああ、それは数年前のことだよ。この村にアイツ、ゲルド将軍が来る前の話しさ。どうせヤツは今頃海辺の洞窟でくつろいでるだろうな。」


ゲルド将軍?


再度尋ねようとする俺に対し、村人は


「さあ、もういいだろう。忙しいんだ。どっか行っておくれ。」


そう言って、足早に去っていった。


そのゲルド将軍ってのは誰だ?


「ロイ、ゲルド将軍というのは、魔王の部下の名前ですよ。」


俺の疑問が顔に出ていたのか、イランが答えてくれた。


「けど、それがどう関係あるんだ?」


「おそらくですが、ゲルド将軍がこの村から色々なものを強奪しているのでしょう。」


なっ!?それじゃこの村の現状はそのゲルド将軍のせいじゃないか!


「だったら、早くそのゲルド将軍ってヤツを倒して、この村のものを返してもらわないとな。」


俺のこの言葉に


「ああ、そうだな。アタシも賛成だ。そんなヤツほっとけないしな。」


「は、はい。そうですね。この村の人たちが早く安心できるようにしないと。」


と、アミーとサラは賛成してくれたが、


「ダメです。それは許可できません。」


と、イランには反対された。


「ここからもう少し東に行ったところにもう1つ村があります。そこに行きましょう。」


「そんなこと出来るか!この村の人たちは困ってるんだぞ。助けないと!」


「貴方になにかあったらどうするんですか!!貴方がいなくなってしまったら、私は、私は…」


そう言って顔を俯かせるイラン。


イランからは鼻をすする音が聞こえる。


泣いているのか?


俺は、どうしたらいいんだ?


俺がもし、やっぱりイランの言うとおり東にある村に行こうと言えば、イランは泣き止んでくれるだろう。


しかし、それは出来ない。何故なら決めてしまったから。決意してしまったから。


人のものを盗むなんて行為を許さないと決意してしまったから。


だから、俺は…


「ごめん、イラン。やっぱり行かなきゃ。」


イランの涙はまだ止まらない。


「俺は、決意しちゃったんだよ。人のものをとるなんて行為を許さないって。」


まだ、止まらない。


「だから、行かなきゃ。それに、俺は大丈夫だよ。聖教会をしっかり卒業したし、さ。」


やはり、イランは泣いたままだ。


「けど、もし、さ。それでも心配だって言うなら…」


イランは顔を上げてくれた。だが、その顔はまだ涙に濡れたままだ。


「イランも一緒に来てくれ。そして、俺を守ってくれよ。」


俺には、そう言うことしか出来なかった。


イランの言いたいことも分かる。俺たちに傷ついてほしくないのだろう。俺だってイランやサラ、アミーが傷つくのを見たくはない。


でも、それでも、俺たちが出来ることをしないせいで、もっと多くの人が傷つくのは、もっと嫌だ。


だから、俺はこう言うしか出来ない。


イランは再び顔を俯かせた。けど、鼻をすする音は聞こえないので、泣いているわけではないのだろう。


よかった。俺はイランの涙を止めることが出来たみたいだ。


イランが顔を俯かせて数分が経った後、イランは唐突に、顔を上げた。


目は、力強く光っており、なにかしらの決意が感じられる。


「わかりました。私も行きましょう。行って、ロイは私が守ります。」


よかった。無事に説得できたみたいだ。


「ああ、頼りにしてるよ。イラン。」


「ええ、ロイ。任せてください。」


こうして、イランの了解をとれた俺たちはゲルド将軍のいる、海辺の洞窟に行くことにした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ