俺、女戦士助けます。
サラも旅に同行することが決定してから早数日が経っていた。
最初は守られるばかりだったサラも、ここ最近から自分の身は自分で守れるようになりたいとのことでダガーの使い方を練習し始めた。
先生はもちろん俺ではなくイランであり、今も歩きながら…
「サラ、もう少し引き付けてからダガーを振りなさい。そんな遠くで振っていては当たらないでしょう?」
「はいっ。」
と、2人で話している。
非常に楽しそうだ。
おかげで俺は1人寂しく2人の後ろをトボトボ歩いていた。
そうそう、サラの料理だが、やはりというべきかサラの手料理はとても美味しかったです。
俺が、そんな感慨に耽っていいると…
「あの、ロイさん。」
サラが呼んできた。
「ん?どうしたんだ?」
「い、いえ、それが…」
言葉を濁すサラ
どうしたんだろ?何か言いにくいことなのか?
「大丈夫だぞ、サラ。何でも言ってくれ。」
「は、はい。あの、あそこに倒れている方を助けてあげてくれませんか?」
そう言ってサラはある方向を指差した。
そこは、俺たちが通っている道からは外れており、茂みになっている。
なにもないように見えたが、サラが助けてあげてと言う以上誰かいるんだろう。
俺は目を凝らしてみると、茂みの下のほうに人の手らしきものを発見した。
俺はその人の手らしきものを引っ張った。
するとそこから、美少女が出てきた。
俺たちはその少女を介抱した。
数時間後、少女は目を覚ました。
最初は俺たちに驚いていたものの、経緯を説明すると納得してくれた様子だ。
名前はアミーといい、女戦士だそうだ。
しかし、このアミーという少女、イランやサラに負けず劣らずの美少女だ。
髪は黒髪のショートで、身長はイランとサラの中間の160弱といったところだろう。
目は若干の釣り目になっていて、どこか高貴な猫のような雰囲気を感じさせる。
体は少し日に焼けており、そこもまた女戦士ならではの活発さを引き出し、魅力のひとつにしている。
俺が、アミーに見惚れていると、わき腹を抓られた。両方から。思いっきり。
「ロイ、なにを呆けた顔をしているんですか。」
「そ、そうですよ、ロイさん。」
だからって抓らなくてもいいじゃないか。
そう言おうとしたが、また抓られたら嫌なので黙っていることにした。
っと、いけね。そんな場合じゃなかった。
「それより、アミーはどうしてあんなとこで倒れていたんだ?」
俺のこの問いに対して、アミーは
「多分、殴られたんだと思う。」
と、答えた。
「殴られた?」
「ああ、後ろからやられたんだと思う。」
「そうか…。」
「まぁ、助けてくれてありがとな。それじゃ、アタシはもう行くよ。」
そういって、立ち上がろうとしたアミーだが、その顔がだんだんと蒼白なものになっていった。
「どうしたんだ?アミー?」
「な、ない。ブレスレットが、ない。」
「ブレスレット?」
「ああ、兄貴の形見のブレスレットなんだが。こう獅子の紋様が入ったやつを知らないか?」
知らないかといわれてもなんのことか分からず、俺が悩んでいると
「確かかどうかは分かりませんが、アミーを襲った輩が盗んだのではないかしら?」
サラがそう言った。
サラの言葉を聞いたアミーはさらに顔を白くさせ、俺にある一つの決意をさせた。
「なぁ、アミー。俺たちと一緒に来ないか?」
「…へ?」
「だから、俺たちと一緒に来ないか?ブレスレットを見つけるまででいいから、俺たちと旅をして欲しいんだ。」
「それは構わないが、どうしてだ?」
「アミーは戦力としては十分だし、人の大事なものを盗むなんて最低の行為だ。許しちゃおけない。それに、俺たちは旅をしているから、ブレスレットの手がかりも掴めるかもしれないしな。」
そう、許しちゃおけない。そんなこと許してたまるか。
俺のこの決意に共感したのか、アミーも
「ああ、分かった。アタシもアンタたちについてくよ。」
と、言ってくれた。
こうして、俺たちのメンバーに女戦士が増え、旅に出発するのだった。




