俺、森に行きます。
翌朝、俺たちは違和感を感じていた。
サラがいつまで経っても起きてこないのだ。
最初は、まだ寝ているという可能性もあったし、どこかに出かけているという可能性もあった。
しかし、昼になってもサラの部屋から反応がなく、帰ってくる気配もないのだ。
これは、さすがに見てきた方がいいかな?
「イラン、ちょっとサラの部屋を見てくるよ。」
「待ちなさい、ロイ。私も行きます。」
「あぁ、別に構わないが。」
そう、別に構わないんだが…どうしてそんなに不機嫌そうな顔になるんだ?
さっきまで普通だったのに、いきなりどうしたんだろ?
イランの変化に若干の戸惑いを覚えつつ俺たちはサラの部屋に向かった。
「おーい、サラ、起きてるかー?」
反応は…ない、か。
やはり、サラの部屋から反応はない。
なら、サラには悪いが部屋の中を開けてみるか。
「サラー、悪いな、開け「このおバカ!」…いって!?」
「痛いじゃありません!何しようとしてるんですか!」
イランに思いっきり叩かれた。
痛い、たんこぶ出来てなきゃいいけど…
「いや、サラがいないっぽいし、開けて確認しようかと…。」
「だからといって、男性が女性の部屋を勝手に開けるのは感心しませんよ。そういう時は私がやります。」
あぁ、そっか、そうだな。イランの言うとおりだ。俺が勝手に開けちゃまずいよな。
「そうだな、ごめん。それじゃ、イラン、頼むよ。」
「はい、承りました。」
そういってイランはドアを開けた…のだが、その顔がだんだんと強張っていった。
「どうしたんだ、イラン?」
「ロイ、これを見てください。」
その言葉につられて、サラの部屋を見た瞬間、俺は固まってしまった。
サラの部屋が荒されていたのだ。
机やイスは倒されていて、タンスからはサラの衣服らしきものが飛び散っている。さらに、床には人間のモノとは思えない足跡がいくつもついていた。
「これって、まさか…。」
「はい、どうやらそのまさかのようですね。サラは連れ去られたようです。」
くそっサラが連れ去られるなんて。
俺がいながら、こんなことになるなんて勇者失格じゃないか。どうしたら、どうしたらいい?
「ロイ、反省は後にしてください。今はそんなことより、サラを助ける方が先です。」
「あぁ、そうだな。すまない。でも、どこに?」
「そうですね…この足跡を見るに、森に住む大トカゲ部隊ではないでしょうか?」
大トカゲ部隊、か。
たしか森はここに来る途中に見かけたな。多分そこだろう。
「よし、なら行くか!」
「ええ、そうしましょうか。」
俺たちは、サラを大トカゲ部隊から助けるためにここにくる途中に見かけた森に行くのだった。