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俺、仲間を助けました。


俺は今、海辺の洞窟にいる。


アミーとサラがいるのはおそらくだが、前に見た、地下にある檻だろう。


イランがいない今、1人でアミーとサラを助けに行かなければならないのだが…


「くっそ、またかよっ」


後悔していた。


前に来たときは4人で来ていたのでモンスターとの戦闘も苦にならなかったが、今は1人だ。


そう、1人なのだ。


「イラン…。」


やっちまったな。


『逃げる』ではなく、『説得』をするべきだった。


そうすることが正しいと分かっているはずなのに、あのときの俺は出来なかった。


…はぁ。帰ったら謝ろう。あと、もう一回一緒に旅をしてくれるように頼むか。


「そのためには、無事に帰らなきゃなぁ。」


そう覚悟を決めた俺は、新たに出てきたモンスターと戦いながら、檻を目指すのだった。


俺は、あの後にも何度か戦闘があったが、無事に檻にたどり着くことが出来た。


アミーたち、無事だといいんだが…


「おーい!アミー!サラ!いないのかー?」


俺が呼びかけると、数秒後に、


「ロ、ロイさん!?」


「ロイ?ロイなのか?」


という声が聞こえた。


よかった、無事みたいだ。


「2人とも、落ち着いて。それより、何とかしてこの檻から出る方法を考えよう。」


「ああ…それは構わないんだが、イランはどうしたんだ?」


「イランは…ちょっと喧嘩しちゃってな。今はいないんだ。」


俺がそう答えると、アミーとサラは黙ってしまった。


「ま、まぁイランには後で謝ることにするよ。それより、何か方法はないかな?」


俺は、雰囲気を軽くするために、ことさら明るい声で話す。


アミーたちも俺の心境を分かってくれたのか、ノってくれた。


「そうですね。いっそ壊すというのはどうでしょう?」


サラのこの提案に俺は驚いた。


「サラ、壊すって…」


俺がサラに別の方法を考えてみようと言おうとしたとき


「いいんじゃないか?」


という、アミーの声が聞こえた。


「他に方法は思いつかないし、やってみる価値はありそうだな。」


アミーは案外、ノリ気だった。


「壊すって言っても、誰がやるんだ?」


俺のこの問いに


「「もちろん、ロイ(さん)だな。(ですね。)」」


と、綺麗にハモった答えが返ってきた。


こう返されてしまっては、俺に反論する術はなく、


「はぁ、分かったよ。危ないから下がっててくれ。」


と、折れる他になかった。


しょうがないか。壊れるかは分からないが、一応、やってみよう。


俺は檻から少し離れて檻全体を見渡す。


すると、檻と接している右側の壁が、崩れかかっていることが分かった。


狙いはあそこだな。


俺は狙いを定めると、一気に剣を振り下ろした。


剣は狙い通りのところにあたり、壁はその衝撃で崩れ去った。


「っしゃあ!!」


俺は崩れた壁から檻を引き抜き、アミーとサラを出した。


「ありがとうございます、ロイさん。」


「ああ、助かったよ。ありがとな。」


そう言って微笑むアミーとサラの笑顔が眩しくて、俺は見惚れてしまった。


その時、


俺の首筋に寒気が走った。


何かに見られているというか、観察されているような感じがする。


とっさに振り返るが、誰もいないように見える。


「どうしたんですか?」


サラの問いに俺は曖昧に答えながら、地下からあがろうと歩き出す。


アミーとサラも俺の態度を不審に思っているだろうが、付いてきてくれた。


地下からあがってきた俺は、まず周りを見回した。


が、俺たち以外には誰もいなかった。


俺は、あの寒気の正体が気になったが、檻から出たばかりのアミーたちを怖がらせてはいけないと思い、言わないことにした。


「ロイ、出たはいいが、これからどうするんだ?」


俺はこの問いにあらかじめ決めていた答えを返す。


「ああ、俺は、もう一回ゲルド将軍の所に行こうと思うんだ。」


そう、俺はもう一度ゲルド将軍の所に行こうと思っていた。


もちろん、今度こそ倒すために。


相手が油断している今こそチャンスだと思ったのもあるが、1番の理由は、早く村人たちを安心させてあげたかったからだ。


俺がこの旨を伝えると、アミーとサラも賛成らしく、少し休憩した後に行くことになった。


ゲルド将軍、今度こそ必ず、倒す!!


決意を旨に秘めながら、俺は休憩するのだった。

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