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育成ゲームならステータスの最後らへんの。


あの後少しお茶を飲んで、村を出た。特に話されることもなかったから、俺には話せないことなんだろう。

何時か聞けるといいけど、まァそれはいいや。


シュオルさんが黙りこくっているので、俺は周囲の風景を楽しむことにする。

道は舗装されていないけど、結構平らだ。馬車かな?車輪の跡はある。

右側は森。左側はゆるい傾斜で、下には畑。でもあんまり手入れはされていないな。

道を歩いているのは俺たちだけ。そんなに早くも遅くもない時間だと思うんだけど・・・村から村への移動って、そんなにしないのかな?


「・・・・どうした?」


おっ?シュオルさんが思考の海から戻ってきた?


「人がいないなーと思ってた。普通のこと?」

「・・・・魔物が出ると言っていただろう。」


あれっ?あ~・・・・・そういやギルドで出没率聞いた時に、受付のおねーさんが言ってた、かも?

村の南になんとかっていう魔物の群れが出没するようになって、この道はあんまり使われていないんだっけ?

出発前の出来事が衝撃過ぎて忘れてたよ。ってか、遭遇しても何とかなるだろうとか思ってあんまり聞いてなかっ・・・・こほん、周囲のことがまだもの珍しいお年頃だからなぁ。


「・・・・・・・・・・・・・・それに加えて、昨日神子が出発したらしいからな。」

「え?」


神子が出発?


「神子が通った道をすぐに歩きたがる人間は、何か特別な理由があるか、死にたがりか、だと言われている。」

「ちなみに俺たちは?」

「死のうとは思っていない。」


安心だね。死にたがりには見えないけど、もしそうなら俺と一緒に居ることは邪魔以外の何物でもないもの。

だって俺は死ねないし、目の前で知り合いに極力死んでほしくないし、恩人ならなおさら。


「この道が王都に一番早く、俺は神子を追いたい。だからこの道を選んだ。」

「なるほど。その理由なら、この道以外を選ぶ方がおかしいね。それで、どうして他の人は神子の通った道は歩きたがらないの?」


普通神の子なら逆じゃね?恩恵にあやかりたいとかさ。それともなに、恐れ多くて、ってやつ?


「・・・・・・・神子が魔力を持つことは話したな。」

「聞いた。」

「人の魔力は、魔を寄せる。」

「ま?」

「魔物はもちろん、水害や干ばつなどの天災、盗賊などの人災、馬車の暴走や積み荷の落下といった事故など、様々な“悪い出来事”だ。神子の近くにいれば巻き込まれると考えられている。」


・・・・・・・・・・・・・はぁ、なるほど。


「つまり、神子って運が悪いんだ。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」


えっ、聞いた限りではそうとしか言いようがなくない!?そりゃ天災までおこっちゃうってのは大規模だけど、周囲にそうとらえられていることも含めて運悪いよそれ!

そ、そんな信じられない言葉を聞いたような眼で見なくてもいいじゃん!!


「・・・・・っくっ、は、ははははははっ!」

「!?」

「そ、そんな結論が出るとはっ、っくくく・・」


そんな、腹抱えて涙流すほどのことを言ったかぁ?

そりゃあ、ここでは“神子を中心に悪いことがおこる”って言うのが常識かもしれないけどさ、俺はここの人間じゃないし。

今並べたてられた大体のことに対応できる・・・・っていうか、この世界の魔物を引き寄せるのはまだ無理だけど、他のことならやろうと思えばできるんだよな、俺。

引き起こす力があるなら、対処もできなきゃならんだろう。とーぜん。

自分のことは自分で始末できるようにならないといけないんだからな、大和。


心で言い聞かせると尊敬に彩られた納得の返事がきて、ちょっと気分が良くなっているところで、シュオルさんに撫でられた。

・・・・いやあの、ほんとに俺をいくつだと思ってるんですかね・・・。

別に、嫌じゃあないけど、さすがにこの年で撫でられるとか恥ずかしいぞ。姉さんも、ちっちゃい時しか撫でてこなかったしさ。



シュオルさんは神子に関してやりたいことがあるのだと、ちょこっとだけ話してくれた。

少々確認したいことがあって、その確認によってその後の行動も変わってくるとか。


「じゃあ、出発した神子に追い付くのが手っ取り早いんだ?」

「そうだな。だが、いいのか?」

「何が?」

「俺は急ぐ必要はない。神子に近づけば近づくだけ危険だ。お前は帰りたいんだろう?わざわざ危険に近づきたくはないんじゃないか?」

「何も言わずこの道を選んだ人の言葉じゃないね?」


にやっと笑って言ってやると、シュオルさんは気まずそうに視線をそらした。

それだけ余裕がなかったってことなんだろうな。見るからに頭に血が上っていたし。


「・・すま「冗談だよ。別に、俺はさっき並べられたことなら、特に危険だとは思わない。対処できるよ、大和もいるしね。それに帰り道に付き合ってもらってるんだから、シュオルさんに恩も返しておきたいんだ。問題はないよ。」

「・・・そうか?」

「うん。」

「・・・・・ありがとう。」


お、良い笑顔だね。美形だし、女の人が見たら騒ぎそうな感じ。気が抜けたような笑顔っていうの?

シュオルさん実はちょっと緊張してたのか。

ここで謝罪じゃなくお礼を言うのも、なかなか好感度高いよ?人付き合いを知ってるなぁ。


「じゃあ少し急ぐ?」

「そうだな。辛くなったら言ってくれ。」

「りょーかい。」


ま、大丈夫だと思いたいね。人並み以上の体力はあるつもりよ、俺。




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