平行宇宙編AMラジオ「Amikana & Mika」:第8回「パンとご飯、涎が出るのはどっち?」
<次のお便りです。『アミカナさん、ミカさん、こんばんは!』>
<「こんばんは!」>
<『お二人は、パン派、ご飯派、どちらですか?』ということなんですが……>
「あー、これはミカから答えてもらいましょうか」
<私は……ご飯派かな>
「そうだね。卵かけご飯とか好きだよね」
<それ、あんまり言わないで>
「何で?」
<何か……全然料理できないみたいじゃん>
「できないじゃん、実際」
<うるさいうるさい! イメージ的に、私はできる感じでしょ? アミカナと違って>
「はあ?」
<で! アミカナは?……と聞きたいところなんですが。ねえ>
「はい。あのー、知ってる人は知ってると思うんですけど、実は私アンドロイドで」
<はい>
「なので、食べ物を必要としないんですね。水が燃料で。水を飲むだけで活動可能というか」
<そうなんです>
「だから、どっち派とかなくて」
<でも、食欲はあるの?>
「これが……あるんですよね。どうしよう? 説明する?」
<わかんないけど、どうぞ>
「私は、ミカを複製したアンドロイドで、なので、意識も記憶も人間と同じというか。『コノキモチハ、ナニ? ワタシ、ワカラナイ』とかないんです」
<『ああ、腹減った~!』とかになるんですね>
「違う! 今のは、恋した時の話!」
<あー、はいはい>
「なので、意識は人間と同じなので、食べ物を必要としなくても、食べ物を見ると、人間だった時の食欲の記憶は思い出すと」
<やっぱり腹減った話じゃん>
「うるさい!」
<でも、食べたらダメなんでしょう?>
「一応、嚙めるし、味も大体分かるけど、飲み込めない。いや、飲み込めるけど、即、故障……すると思う。怖くてやってないけど」
<口に含んだことはあるんだ?>
「あるよ。出しちゃったけど」
<あー、出す話はやめよ。またクラゲネタになるから>
「クラゲの話はミカがしたんじゃん! 何か、お叱りのお便りを頂いたんでしょ?」
<はい……アミカナさん可哀想、ミカさん酷い、というお便りを多数頂きまして。皆さん、ごめんなさい!>
「そーだろ、そーだろ。深夜放送でよかったね」
<……で、話を戻しますが>
「はいはい」
<お腹空いた、っていう感覚はあるの?>
「あー、これも微妙で、食べ物を見て、美味しそう!って思うと、お腹が空いたような感覚にはなるんだけど、実際には胃とかないし。だから、多分、量子頭脳の錯覚だと思う。ああ、量子頭脳というよりは、精神の反射、というか」
<何か、いつになく難しい話になってきてるけど……>
「毎回、高尚な話をしてますよ」
<涎は出るの?>
「まあね。今も出てるし。正確には水だと思うけど」
<じゃあ、パンを見た時と、ご飯を見た時で、涎の量は違いそう?>
「うわー、どうだろ? 違うのかな?」
<一度やってみる?>
「やってみるって、何を?」
<実際にパンとご飯を見て、出た涎の量を測ってみる>
「また口から出す話じゃん! やめてもう!」
<でもさー、食べられないのは辛いと思うけど、太らないのは超羨ましい!>
「あー、それはね、この体であることの数少ないメリットの一つですね。あと、実は裏技がありまして……」
<何? 何? 私の知ってるヤツ?>
「多分ミカにも話してない。食欲なんですけど、オフれます」
<どうゆうこと? 食欲をなくせるってこと?>
「まあ、完全にではないけど、メニューから選択して……」
<えー?! 凄い! じゃあ、辛くないじゃん!>
「まあね。でも、何度かやってみたけど、食べ物を見ても何も感じないのは寂しいから、今はずっとオンです」
<え……それ、辛くないの?>
「美味しそうなものを見て、『美味しそう!』と思えるのは幸せなことなんですよ。ましてや、それを食べられるということはね」
<……そう……>
「だから、卵かけご飯しか作れなくても、それを食べられるのなら十分幸せなんです!」
<……そう……って待って! 別に卵かけご飯しか作れないわけじゃないから!>
「じゃあ、何が作れるの?」
<え……色々よ、色々>
「すぐに出てこないところが致命的なんです」
<……う……ア、アミカナだって作れないでしょ!>
「私は大丈夫。『アンドロイドだもの。仕方ないよね』って言ってくれるから。これ、この体であることの数少ないメリットの一つ・パート2ですね」
<何でそこでアンドロイド強調してるの?! 人間と変わらないでしょ!>
「機械だからじゃないの。ミカのコピーだから」
<え?>
「オリジナルにできないことは、コピーにもできない」
<ちょっと! それ、志音君にも言ってるの?>
「いやいや! 急にプライベートな話ぶっ込まないで!……まあ、生身の方は、頑張ってお料理を覚えて下さい。イメージに合うように。以上!」
<……>
「コールをどうぞ」
<……何かむかつく……>
「『AMラジオ、アミカナ・アンド!」
<……ミカ』でした……>
「バイバーイ!」
<……ちょっと! それ、何で志音君に……>




