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共犯執事、悪役令嬢のお嬢様の破滅フラグは俺が全力でへし折ります  作者: 高天みず


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第一章 公開処刑エンド、ここに開幕

初投稿作品となります!

温かい目で見守ってくださると幸いです!


「――リリアーナ・フォン・ローゼンベルク。貴様との婚約を、ここに破棄する!」


王立学園大講堂。


卒業記念パーティーの最中に突如としてそれは起こった

天井から吊るされた無数のシャンデリアが、宝石みたいな光を床に散らしている。

未来ある貴族子弟たちの一生に一度の晴れ舞台だというのに…


そのど真ん中で、王太子レオンハルト殿下は高らかに宣言した。


俺は会場の端で、銀の盆を持ったまま冷や汗をかいた

嫌な予感がする…


視線の先では、我が主――リリアーナお嬢様が、わなわなと震えていた。


金髪縦ロールが怒りでふるふる揺れている。


「な、な、な……なんですってぇぇぇ!? わたくしが、婚約破棄ですって!?」


声、でかい。会場のグラスが共鳴してる。


「貴様はエルミナ嬢を執拗にいじめ、さらには毒を盛ろうとしたと報告が上がっている」


なんだそれは。寝耳に水とはこの事だ。

お嬢様の専属執事である俺が知らないなんて事ありえないだろ。


毒未遂、階段突き落とし、陰口、手紙捏造。

次から次へとありもしない罪状が王子の口から出てくる


中央には、令嬢エルミナが涙目で立っていた。

よく見れば、すぐ分かる。あれは嘘吐きの涙だ


「ち、違いますわ! わたくしはただ、あの方に“お茶はマナーを学んでから淹れなさい”と申し上げただけですの!」


言い方ぁ!!


周囲がざわつく。


「ほら見ろ」「やはり高慢だ」「最低だな」「悪役令嬢の異名通りだ」


好感度、下がってますよお嬢様。


俺は小声で囁く。


「お嬢様、言葉を選んでください。ナイフより鋭いです」


「アルト! だって事実ですもの! 紅茶は三分蒸らすのが常識でしょう!?」


「そこじゃない」


レオンハルト殿下が冷たい目を向けた。


「そして貴様の共犯者――執事アルト」


俺もか


会場の視線が一斉に刺さる。


「貴様もまた、悪辣な策を弄し彼女を追い詰めた。よって両名を拘束し、王都裁定会議にて処刑を審議する」


処刑。


その単語が、シャンデリアの光よりも鋭く落ちた。


お嬢様の顔が真っ青になる。


「しょ、処刑……? ちょ、ちょっとお待ちなさいませ!わたくし、まだ十八ですわよ!?」


年齢の問題じゃない。


衛兵が一歩踏み出す。


その瞬間――


《BAD END FLAG:確定》


という赤い文字が、俺の視界いっぱいに浮かび上がった。


……は?


何度まばたきしても消えない。


さらにその横に、見慣れたバーが出現する。


【レオンハルト→リリアーナ 好感度:5/100】

【レオンハルト→アルト 警戒度:85/100】


なんだこれ。


ゲーム画面?


―――――あ!


俺の脳裏に、前世の記憶がフラッシュする。

乙女ゲーム『ロゼリアの誓約』

俺はその隠しルートまでやり込んだ廃人だった。


そして今、理解する。


(俺、共犯執事アルトに転生してるじゃん……!)


最悪だ。なんてタイミングで思い出すんだ…


このルートは、悪役令嬢と共に公開断罪→投獄→処刑エンド固定。


しかも救済なし


だが


視界の端で、お嬢様のゲージが震えた。


【リリアーナ→アルト 信頼度:100/100】


俺への信頼が振り切ってる。

お嬢様が俺の事を心から信頼してくれている揺るぎない証拠だ。


泣きそうな顔で、彼女は俺を見た。


「アルト……ごめんなさい、あなたまで巻き込んでしまって…」


震えている。


強がりなお嬢様が、初めて見せた弱い顔。


胸の奥が、妙に熱くなった。


(ああ、くそ!)


俺は一歩前に出る。


「恐れながら、殿下」


会場が静まる。


「証拠は、どこに?」


レオンハルトの眉がぴくりと動く。


「なに?」


「毒物の現物、目撃証言、鑑定書。いずれも提出されていないようですが」


ざわっ。


攻略対象たちのゲージが一斉に揺れた。


【シリウス→アルト 興味:12/100】

【学園生徒→アルト 評価:10→18】


数値が上がった

解決の糸口が見えた気がした


殿下が低く言う。


「言い逃れは無用だ」


「言い逃れではなく、確認です。王家の裁定が“噂”で決まるなら、王都の法は随分と軽い」


会場の空気が凍る。

けど、ここは強気に出ても良いはずだ。

このゲームはゲージの数値変動が攻略の鍵なんだ


お嬢様が小声で。


「アルト、それ煽りすぎですわ」


「大丈夫なはずです、多分」


「多分!?」


お嬢様の大声のすぐ後

エルミナが一歩出た。


「わ、私は……リリアーナ様に嫌われていたかもしれません。でも、処刑なんて……」


涙ぽろぽろ。

彼女は稀代の名女優だ


そして観客の同情ゲージは急上昇。

なんてお手軽なんだ


俺の視界に別の表示が出た。


【エルミナ:イベント強制力 発動中】


は?


次の瞬間、天井のシャンデリアが不自然に軋んだ。


(まさか――落下イベント!?)


ありえない

ゲームでは、断罪イベントの前に起こるイベントだ

ここで悪役令嬢がヒロインのエルミナを庇わなかった事で、印象が最悪になり断罪ルートへ入る。


だが。


「きゃあっ!」


エルミナの真上から鎖が切れた。


巨大なシャンデリアが落下する。


俺が動くより早く。


「危ないですわ!」


お嬢様が飛び出した。


ドレスを翻し、ヒロインを突き飛ばす。


ドゴォン!!


床に砕け散るガラス。


会場は悲鳴に包まれる。


「お嬢様!!」


俺が叫ぶ煙の向こうで。


お嬢様が、尻もちをついていた。


「い、痛いですわ……でもご無事?」


エルミナは無傷。

嘘の涙も驚きで引っ込んだようだ


静寂。


そして――大きな喝采が会場を染め上げた


【学園生徒→リリアーナ 評価:5→42】

【レオンハルト→リリアーナ 動揺:+30】


うお、爆上がり!?


俺は思わず笑いそうになる。

.

(もしかしたら、これで破滅フラグが回避できたんじゃ?)


淡い期待が頭をよぎる。


一方のお嬢様はぽかんとしている。


「な、なんですの? 皆さん、そんなに見て」


シリウス騎士団長候補が低く呟いた。


「命を賭して庇った……?」


レオンハルトが一瞬だけ目を伏せる。


ゲージが揺れる。


【レオンハルト→リリアーナ 好感度:5→28】


よし。


俺は膝をつき、お嬢様の手を取る。


「お怪我は」


「へ、平気ですわ! だってわたくし、悪役令嬢ですもの!」


胸を張るな。


でも、震えてる。


俺は立ち上がり、はっきりと言う。


「殿下。少なくとも“命を救った者”を、その場で処刑宣告するのは賢明とは思えません」


ざわめきが、今度は同調に変わる。


レオンハルトは長い沈黙の後、言った。


「……裁定は保留とする」


よし!


完全回避ではない。だが即バッドエンドは回避できた。

この結果を勝ち取ったお嬢様を誇らしく思う


【BAD END FLAG:一時凍結】


凍結。

破滅フラグは折れたわけじゃなかった。まだ続く。


衛兵が下がる。


観客の視線が変わっている。


さっきまで“悪女を見る目”だったのに。


今は“勇敢な令嬢を見る目”だ。


評価逆転の芽。


お嬢様が俺を見上げる。


「アルト……わたくし、少しは格好良かったかしら?」


「ええ。最高に」


顔がぱあっと明るくなる。


その瞬間。


俺の視界に新たな表示が浮かぶ。


【隠し条件達成】

【共犯執事ルート → 破滅回避ルートへ分岐可能】


……可能?


つまり。


運命は、変えられる。


俺は静かに息を吐く。


(やるしかないだろ)


お嬢様を守る。

俺自身の処刑も回避する。

たとえゲームとは違う展開が襲ってこようとも。


レオンハルトが去り際、小さく呟いた。


「アルト。貴様、ただの執事ではないな」


そのゲージが、静かに上がる。


【レオンハルト→アルト 興味:25/100】


面倒くさいフラグ立ったな。


だが悪くない。


会場を出ると、夜風が頬を撫でた。


お嬢様が俺の袖を掴む。


「アルト……」


「はい」


「あなたがいてくれて、よかったわ」


信頼度100のゲージが、さらに輝いた気がした。


そのとき。


視界の中央に、見慣れない赤い文字が浮かぶ。


《 破滅回避ルート 分岐条件:あと3つ》


そしてその下に。


【???→アルト 監視:100/100】


誰だよ。


背筋に冷たいものが走る。


ゲームとは違うイベント進行に加えて、ゲームに存在しない表示だと?

頭が痛い


俺は夜空を見上げる。


(この世界、思ったよりヤバいな)


だが――


面白い。


運命が固定されているなら、全部ぶち壊すまでだ。


「ねぇ、アルト、わたくし達これからどうなるのかしら…」


か細い声でお嬢様は呟いた

俺はお嬢様の前に一歩立つ。


「大丈夫ですよ。お嬢様の破滅フラグは俺が全力でへし折ります」


彼女は満面の笑みで頷いた。


そしてその瞬間、俺の視界に最後の表示が現れる。


【メインルート更新:公開処刑エンド → 反撃開始】


どうやら本番は、ここかららしい。

最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。

最終話まで全力で駆け抜けて参りたいと思います


ブックマーク・評価・感想、とても励みになります!


それでは次章でお会いしましょう!

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