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お気に入り小説4

常識ない男と婚約解消しました。今はとても幸せよ。

作者: ユミヨシ

実際に、こんなタイプの男いました。最初の勤め先で。

職場の先輩でしたかね。

ケチでバレンタインデーの義理チョコのお返しも、そいつだけはしてこない。

他にもいろいろと。

仕事も押し付けられて、大変だったです。

マリー・エメルド伯爵令嬢には、婚約者のフィリップ・カイド伯爵令息がいる。父親同士が仲が良くて、同い年の二人は先日婚約を結んだ。歳は共に17歳。


フィリップは金の髪に青い瞳のそれはもう美しい男性で、一目見てマリーは好きになったのだ。


実際に付き合ってみて、マリーは一気に気持ちが冷めていくのが解った。


フィリップはともかく、酷い男で。


マリーの家に婿入りすることになっているので、お茶会はエメルド伯爵家でやる事に。

しかし、手土産一つ持って来る訳でもなく。出された菓子を黙々と食べる。


紅茶を堪能して、


「楽しかった。また、菓子と紅茶を堪能させておくれ」


話題はどうしたの?婚約者ではないの?何で食べているだけ?


疑問だった。


父親同士が友達だとはいえ、あまりフィリップの事を今まで知らなかった。

何だか、一気に好きになった気持ちが冷めていく。


たまには街でデートという話になった。


「今日のお昼は君のおごりだよね。楽しみだな」


え?普通、男性がおごるのではなくて?いかに婿入りだとはいえ、変でしょう??


デートプランもまるで考えていないらしく。


「どこへ行こうか。君が考えてよ。ああ、私は金がないから、君が全部だしてね」


何でそんなに貧乏なの???お父様、どういう付き合いをしているのかしらっ?



結局、マリーはフィリップと共に街へ行き、貴族御用達のアクセサリーショップへ行って、金がないというものだから、自分の買い物に付き合って貰おうと思ったのだが。


「この腕輪、素敵だな。デートの記念に買ってくれないか?」


「え?デートの記念?」


「そうだよ。デートの記念にこの腕輪欲しいな」


おねだりしてくる始末。


仕方がないから買ってやると、


「有難う。大事にするよ」


と、嬉しそうに言われると悪い気はしないけれども。


次は美術館に行けば、絵を見た後に売っていた画家の絵画集を。


「私はこれが欲しい。今日の記念に買って貰ってかまわないか?」


「え?し、仕方がないわね」


ちょっと何でこの人、私に強請ってくるの???


仕方がないから買ってやる。


お昼になったので、貴族御用達の店に行き、共に食事をした。


店で一番豪華な食事をフィリップは注文して。


「やはり美味しい物を食べないとね。支払いはよろしく」


えええ?こちらが支払うんだったら少しは遠慮してよ。


脳内で叫びっぱなしだった。

二度と彼とデートしたくない。


心に強く誓った。


帰り際も、迎えの馬車に乗る前に、フィリップは、


「デートの思い出に、薔薇の花を買ってよ。母上にあげるんだ」


お土産も買わなくてはいけないの???


色々と頭がクラクラして、その場に倒れそうになるが、踏ん張って。


「そうですわね。お義母様にお土産は必要ですわ」


薔薇の花と、何故かケーキまで買わされて、迎えの馬車でフィリップと別れたら、凄くほっとした。マジでほっとした。


家に帰った後、父であるエメルド伯爵に詰め寄った。


「この婚約、解消して下さいませ。いかにうちに婿に来るとは言え、全てお金はこちら持ちのデート。そんなにお金がないんですの?」


エメルド伯爵である父は、


「いや、そんな事はないはずだが。普通に領地経営も上手くいっているし、カイド伯爵とは学園時代に仲良くてな。互いに子が産まれたら結婚させようって誓ったんだ」


「誓わなくてもよろしくてよ。ともかく、彼は嫌ですっ。婚約解消してっーー」


本当に嫌だった。

何であんなにお金がないの???


父は渋々、互いの性格が合わなかったということで婚約を解消してくれた。


婿入りの相手を探さなくてはならない。

父が必死に探してくれて、とんでもないフィリップ事件から、一月後、新しい婚約者が決まった。

バルト・ブルテルク伯爵子息は、マリーと同い年。


黒髪でそれ程、美男ではないが、マリーをとても気遣ってくれた。


「デートプランは私が立てましょう。お金は全てこちらが支払います。当然でしょう?私は男ですから。君を楽しませる為に頑張りますよ」


そう言ってくれた。


普通、そうよね。周りの友達達の婚約者もこんな感じよね。


彼とのデートは心地よく、手を繋いで、共に丘に沈む夕日を見た時はドキドキした。


バルトは、


「初デートの思い出に、こっそり首飾りを買っておいたんですよ」


そう言って、星の宝石のヘッドがついた首飾りをプレゼントしてくれた。

夜空に輝く一番星みたいに綺麗な首飾り。

素敵な初デートは一生の思い出となった。


バルトはエメルド伯爵家に足繁く通い、父にも気に入られて、結婚も来年に控え、幸せな日々。


顔を会わせるたびにバルトの事が好きなっていく。

バルトもマリーに愛を囁いてくれて。毎日が幸せで。


そんな中、来客が訪れた。

フィリップである。


仕方なく客間に通せば、フィリップは喚いた。


「私のような美しい男と婚約を解消するだなんて、あれから別の令嬢と婚約をしたが、解消された。何故だ?何でなんだ?」


だから、はっきり言ってやった。


「貴方、男でしょう?全て、お金をわたくしに出させて、お土産まで強請って、常識ないなって思ったのよ。もっとこの王国の男性は紳士的よ。わたくしの婚約者、バルト様だってとても紳士的。貴方と婚約解消出来て良かったわ。さっさと帰って頂戴」


「私は美しい。だから、私にお金を出すのは当然だ」


扉を開けて、バルトが入って来た。


ちらりとフィリップを見て一言。


「私の愛しい婚約者に何の用です?」


マリーは一言。


「カイド伯爵令息のご用は済んだわ」


「そうか」


バルトはマリーの隣に座って腰を抱き寄せてきた。

マリーは赤面する。


バルトはちらりとフィリップを見つめ、


「用がないなら帰って下さい。私は婚約者とこれから濃厚な時間を過ごすので」


フィリップはこちらを睨みつけて、部屋を出て行った。


バルトは肩を竦めて、


「あんな常識知らずと婚約を結びたがる家はないだろうな」


「そうよね。本当に酷い男だったわ」


あの男と縁が切れて、愛しいバルトが傍にいることで、マリーは幸せを感じた。




マリーは翌年、バルトと結婚し、バルトはエメルド伯爵を支え、二人の間には、すぐに子が出来て幸せに暮らした。



フィリップは、行方不明になったと、人から聞いたが、あまりその名は思い出したくなかったので、気にしない事にした。


マリーは、バルトと可愛い子供達と共に幸せに暮らしたという。







とある変…辺境騎士団


「今回はドケチな美男の屑」

「愛の教育を」

「触手を駆使して」

「三日三晩だっ」


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― 新着の感想 ―
親同士の友情ごっこの犠牲にならなくてよかったねぇ…。
作品ありがとうございます。メス堕ちエンドもアリかもしれない、と初めて思いました(爆)誰かに寵愛でもされたら元のしみったれた性格が浮上するかもですが、それはそれで。こういう人間、いるものですしね。
男の人ってたま〜〜〜に謎思考な人居ますよね(ㆁωㆁ*) 昔の元彼は自分から付き合おうって言ったのに私から連絡しないと会うも何も無く、自分からは一切連絡とかしてこなかったから、試しにこちらから連絡しなか…
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