クリームソーダの精と俺
クリームソーダ後遺症祭り参加。
クリームソーダ祭り参加出来なかったのに…orz
俺の名は栗井想太。
先日彼女だった彩夏ちゃんと別れたばかり。
うう…。彩夏ちゃん。他に好きな男が出来たって。ちくしょう…。
彩夏ちゃんが好きだったクリームソーダ。
うちでしょっちゅう作ってくれたから、材料は余ってる。作り方も教わった。
俺は未練がましくクリームソーダを作り、彩夏ちゃんを思い出しながら味わっているのだが…。
「女々しいねー」
グラスのふちに、何かいる。赤い帽子に白い髪、緑の服着た妖精っぽいの。何だこいつ。しゃべるフチ子さんなんかガチャで引いた覚えないぞ。
「情けないのぅ」
お前はフチ夫か? ジ◯ーみたいなカッコしやがって。二匹揃うと、T◯Sイン◯ックグループのCMみたいだな。
「匹って言ーな!」
うるせぇ。
「何だ。可哀想なオマエに、我輩達がせっかく願いの一つも叶えてやろうと思ったのに…」
「え」
マジか。やった。
「しゃーない、帰ろっか」
「待って! ごめん! 帰んないで!」
二匹…、ごめん。二人様。お願い叶えて。えーと…、何にしよ。
「分かっとるよ。彼女と同じガチャのクリームソーダが欲しいんじゃろ?」
? そんなこと言ってないよ?
「任せて! さあ、ガチャ引きに行こう!」
違うよ!? 誰もそんなこと言って…、あああ!
◇ ◇ ◇
「ほーら、お揃い。色違いダヨ!」
ダヨ! じゃねぇ。…まぁいいか。俺の300円…、…?
「あ」
何てこった、彩夏ちゃん…。早速あの男と…、あぁ、腕なんか組んで…。しかもおんなじピンクのクリームソーダ、お揃いでカバンに着けやがって…。
ポン。
肩を叩くな。妖精のクセに、俺に情けをかけるな。
「まぁまぁ」
ギュッ。
「プギュ! や、やめろ! つぶれるー!」
「うわあぁーん! やめてー!」
俺は二匹を握りしめた。
「い、いいのか!? 我輩は『ダクテン』なんだぞ!」
は?
「ア、アタシは『ム』なんだよー!?」
…意味分かんねーよ。
「良いか!? お前の名は『栗井想太』…、我等が合体すると…」
栗井ム想太(濁点) → クリームソーダ。
プギュッ。
「!」
ふー。アディオス、妖精共。…さて、このキーホルダー、どーすっかなぁ…。
「あら、いーわねぇ」
ん? ボンキュッボン。せくしーだいなまいとおねーたま。え? これ欲しいの?
「えー? くれるの? ありがとー! やっぱりこーゆーオーソドックスなのが良いわよねー」
デヘヘ。新しい恋の予感。
俺はおねーたまをお茶に誘ってみた。
…断られた。妖精の呪いだ。違う、きっとクリームソーダの呪いだ。症候群だ。後遺症だ。うわーん。