カレーは短い
少年に与えてやったのは粗末なレトルトカレーだ。
電子レンジであたためるだけの、牛肉の噛み心地など期待しようもない夏野菜のレトルトカレーだ。
口にしてすぐにカレーの辛口ぶりに少年はむせ、しきりに水を欲しがるので与えてやった。
電子レンジであたたまるのを待っていた時間より早く粗末なカレーは消えてしまった。
しかし時計を確かめると、実際には調理より食事の時間の方が二分だけ長かった。
少年の食べるさまを眺めている時間を、それだけ私は短いものだと錯覚してしまっていたのだろう。
少年が作ってくれたのは手作りのカレーだ。
市販のルーに定番の野菜と少々つい奮発して買ってあげた角切りの牛肉が入っている。
調理にあたって衣服を汚されるのは洗濯が手間なのでエプロンも買い与えてある。
それと冬場の台所は足元が冷えるので兎を模したフェイクファーのスリッパも履かせてある。
少年には料理という労働を無賃でやらせるのだから最低限の支給品くらい用意して当然だろう。
それにしても待たされる。
イライラする、レトルトカレーに比べてどれだけ長く待たなければいけないのか。
いっそ間食で空腹を慰めてやりたいがここは我慢だ。
いざ運ばれてきたカレーは確かに美味だがあっという間に消えてしまった。
なんとも非効率ではないか。
「お姉さんってば、そんなにあわてて食べなくってもいいのに」
少年の皿にはまだ半分ほどカレーが残っていた。こいつわたしの食べるさまを眺めてたのか
わたしは火照るカラダを冷ましたくてキンキンに冷えた水を逃げるように飲み干した
お読みいただきありがとうございました。
美味しそうな食事シーン、というお題で書かせていただきました。
お楽しみいただけましたら各種評価等よろしくおねがい致します。




