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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

のこされし子供達

のこされし子供達 とある村人の後悔

作者: リィズ・ブランディシュカ



 それはもう、ずいぶんと昔の話だ。


 俺達の中の誰もがが忘れてしまいたくなるほどの、過去の話。


 当時の俺達には、神の言葉が必要だった。


 村が壊滅状態で、どうにもならなかったんだ。


 だから、もしかしたら、必然だったのかもしれない。


 それでも、あれはあってはならない事だった。


 当時のその時は、天候不良で作物が育たず、村のみなが腹を空かせていた。


 さらには、狂暴が害獣が暴れまわって、田畑が踏み荒らされる始末。


 食うものに困って、体力のないものから、死んでいく。


 そこはもうだめだ。そう思った。


 だから、自然と土地を捨てて、移動しようという意見が出た。


 だが、俺達は迷っていた。


 その村は、長年住み続けていた場所なのだから、愛着が湧くのは当然。


 どうしても、離れたくないという想いが湧いて出てきたのだ。


 だから、俺達は、占いに託すことにした。


 当時、俺達の村にはは、神の言葉を聞けるという娘がいた。


 外からやってきた娘だが、その言葉はなかなかよくあたる。


 だから、俺達はその時も、頼りにしようという事になった。


 娘は俺達にこう言ってきた。


 絶えれば、危機は、やがて去る。


 だから、村に残れ。


 俺達はその言葉を信じる事にした。


 そうしたら、本当にそうなった。


 状況は良くなっていった。


 俺達はそれからもその場所で生きる事ができるようになったのだった。


 その後に俺達は、恩のあるその娘を大事に扱う事にした。


 よそからきた娘が村になじめるように、と気遣い続けた。


 だが、いつからかその思いが、あらぬ方向へ向かう事になってしまう。


 娘の言葉に依存しきった者達が、その血に価値を見出す事になった。


 それで、その血を絶やさないために、多くの男をけしかけて、間違いをおこさせたのだ。


 結果、血は絶えなかったが、娘はそれを苦に思って、自ら命を絶ってしまった。


 俺達はなんと、恩知らずなのだろう。


 俺達は、残された子供達になんて真実を伝えればいいのか分からなかった。


 けれど、やるべき事はたくさんあった。


 子供には、男もいたが女もいた。


 彼らが成長した時、再び妄信者の手にかからないように、素性を隠すことにした。


 俺達は、ずっとひそかに見守り続けている。


 せめて、恩人の子供達が健やかに成長できるように、とそう願いながら。



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