1.
物語の始まり
目を開けるとそこには真っ白い空間。
ただ白が広がるだけで何もない。
ここは一体何処だろう…?
私、何してたんだっけ…?
私、『白崎 光』(しらさき みつる)はいつの間にやらよく分からないただ白いだけの空間に来ていた。
「…え、マジでここどこ?」
声に出して周囲を見やるが何も見えない。ブンブンと頭を振っているうちに回りとは別の、少しキラキラした回りが白でも分かるくっきりした白の線が見えた。
「ん?」
その白を探すとどうやら“自分から”垂れ下がっているようで引っ張ると少し痛かった。
「いや待て待て。“自分から垂れ下がっている”なんて表現可笑しいでしょ!?妙に冷静に考えてるけどどう考えてもこれ私の“髪”だよね!?」
そう。生粋の日本人であり、家系を見ても外国人のご先祖はいない、ましてや高校2年生で、いや、今後こんな派手な脱色をすることを考えたこともない、平々凡々な生まれの日本の花の女子高生である私がこんなきれいな美しいプラチナブロンドのはずがないのだ。(余談だが本当の髪色はアウトドア派の親譲りで黒ではなく焦げ茶に近い。)
しかも、こんな胸(※もちろん本来の3倍はありそうな大きさ)より長くは無く、肩に付く程度の長さだった。そして、何故かいつもより体が軽い。
夢の中で別の人の体になっているのかもと思ったが、よく考えたらさっき髪を引っ張った際に“痛かった”事を思い出した。
「じゃあこれは一体…?」
私が頭を捻っていると近くで「うぅん…」と女の子の声がした。というか、この声は…!!
「ったた…なんだよ…眩しいだろうが…今何時だよ…?」
「やっぱり!!樹だ…?」
私の幼なじみの女の子『水瀬 樹』(みなせ いつき)の声だ。しかし、その声はいつの間にやら側で寝ていた“見覚えのある青年”から発せてられている。
「ん?その声は光?よかった~ちょっとオーバーワーク気味なのか体が重くて…ちょっと引っ張ってくんね?…って、はぁ…!?」
中性的とは言え聞けば女性の声である樹の声をした青年は上半身を起こしてこちらを見るなり目を見開き、驚いた顔でこちらを指差した。
「“ミルフィー”!!!?」
「“セイロン”!!!?」
白の空間に私達の驚いた声が響き渡った。