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天才王女は不穏を察知します

「……以上が、シャルロット商会の上半期決算になります。商会の売り上げは、極めて順調と言えるでしょう」



 私の前で書類をめくりながら、ニコニコと報告をするのはスミスさん。シャルロット商会の副会長です。

 彼の手元にはウチの商会の決裁書があり、それを報告してもらいつつ今後の指針を話し合っているところでした。


 彼の言う通り、シャルロット商会の売り上げは極めて順調ですね。アンネのシャルル商会が日用品に特化した商会ならば、こちらは化粧品やサプリメントなどの薬品、嗜好品に特化した商会。上手く棲み分けが出来たおかげもあって、商会の設立からずっと売り上げは右肩上がりです。



「そして、こちらが王国全体の市場推移になります。こちらも極めて順調、いや、好調と言えるでしょうな」



 続いてスミスさんが私に別の書類を差し出します。それにざっと目を通しつつ、私は飲みかけのコーヒーに口を付けました。


 ……確かに、王国全体で見ても経済は上手く回っていると言えるでしょう。治水工事によって水路を貿易路として活用する術を身に付けた運送業は急速に成長し、それに伴って国内の物流は飛躍的にスムーズになりました。

 また、移民居住地を作ったことによって人口も増加しています。市場には隣国はもちろん、大陸外からの物資すら出回って連日盛況とのことです。

 金鉱の採掘も順調で、空っぽだった国庫にも少しずつお金が戻りつつあります。金鉱の採掘を始めとする公共事業のおかげで、国内の雇用は増加の一途をたどり、だからこそ市場の消費も加速する。


 まさに、『好調』というべき現状です。


 でも……



「大陸外からの物資、なんでこんなに廉価で市場に出回っているの? 輸送費を考えれば利益なんてほとんど出ないと思うのだけど……」


「私も、大陸外の商品の価格には疑問を覚えていました。私の調べですが、特に輸送法などに工夫は見られないとのことです」


「つまり、利益度外視でウチに商品を流してるってことよね。しかも港に近い帝国じゃなくて、大陸のど真ん中に位置するウチにわざわざ……これ、アルカルトはどう考える?」



 執務室の端で書籍を漁っていたアルカルトに声を掛けると、彼は『あくまで想像の域を出ませんが』と前置きして答えます。



「可能性として挙げられるのは二つでしょうね。まず一つ、この大陸に別大陸の物品を馴染ませようという思惑あっての安価な価格設定です。目新しい商品は確かに目を惹きますが、同時に今まで慣れ親しんだ大陸産の商品には知名度で劣ります。そこを薄利多売の精神で一気に物流に乗せることで、多くの消費者に商品の存在を知ってもらおうという寸法です」


「そうね、その可能性を追うのが妥当でしょう。もう一つというのは?」


「物資による侵略です。物資は文化を乗せて市場へ出回りますから、大陸外の物資が市場に出回ればそれだけ市民の間に大陸外の文化が浸透します。別の文化に触れる、ということは発展に欠かせないことではありますが、同時に国家として危険ということはお判りいただけますよね?」


「ええ、もちろん。私が危惧していたのはそこよ」



 文化とは人々の考え方、その根幹に根付くものです。それが失われるということは国家を失うに等しく、長期的な目で見れば間違いなく国は滅びるのです。まさにお金のかからない、静かな侵略とでも言うべき行為です。


 一方で異文化に触れるというのは、社会や国家に恩恵をもたらすのも事実。むやみに規制していいものでもありません。


 なんだか、とてつもなく嫌な予感がします。すでに敵の手中にいるような、そんな感じです。

 私とアルカルトが考えすぎ、という結末が一番ありがたいのですが、見ず知らずの人間の善意に期待するのは危ういと言わざるを得ないでしょう。



「とりあえず、スミスさんは市場の動きを注視して。貴方の目線からでいいから、少しでも違和感があればすぐに報告を上げて頂戴。

 アルカルトは、市民への意識調査と大陸外の諜報活動をお願いできる? 今の状況では、どこの大陸のどんな国から、どれだけの物品がウチに流れてきているのか分からないわ。せめてそれだけでも明らかにしておかないと、後手を取り続けるような気がするの」


「そうですね、諜報部に通達を出しておきます」



 私の言葉に、二人は素早く行動に移ります。


 共和国との戦争が終結し、小国連合の動乱がまだ冷めやらぬ中でのこの暗雲……大事にならなければ良いのですが……

昨日もよもぎ団子さんから感想を頂きました。Thank you for impression!


『感想が欲しい!』と言ったらすぐに感想を頂けるというのは、本当にありがたいことですね。心から感謝申し上げます。



そして本日の更新なのですが、いつもの時間に行うことが出来ませんでした。楽しみにしてくださっていた読者のみなさま、本当に申し訳ありません。


理由としては、周りで悲しいことが起こりすぎたことにあります。ですが、突然のことに皆様への連絡もままならないまま、更新を遅らせたのはやっぱり良くないことだと思います。


今後はこのようなことがないように全力を尽くしますので、これからもよろしくお願いします!

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